【深刻な海洋汚染】いま、日本の魚がヤバいんだが?

 

日本には、他の国にはないユニークな祝日がある。
それが来月7月にある「海の日」。
海の恵みに感謝するための祝日なんだけど、こんな日があるのは世界で日本だけ。

日本人はむかしから、海の恵みに支えられて生きてきた。
日本人にとってはあたり前のことだけど、訪日外国人には、それが印象的に映ることもある。

例えば、明治の日本にやって来たアメリカの動物学者モースは、こんなことを書いている。

下層民が使用する食物の名を列記したら興味があるであろう。海にある物は殆ど全部 一般国民の食膳にのぼる。魚類ばかりでなく、海胆、海鼠、烏賊及びある種の虫さえも食う。薄い緑色の葉の海藻も食うが、これは乾燥してブリキの箱に入れる。

「日本その日その日 (モース エドワード・シルヴェスター)」

*海胆は「ウニ」、海鼠は「なまこ」、烏賊は「イカ」のこと。

 

「薄い緑色の葉の海藻も食う」というのは、きっとワカメ。
「乾燥してブリキの箱に入れる」というのはノリ。

日本人や韓国人はノリが好きだけど、欧米人は食べない。
「日本に来て初めてノリを食べた」という外国人はよくいる。

ただ、イギリスのウェールズ地方にはノリがあって、ジャムのようにパンにつけて食べることがある。

 

このモースと申す者は、大森貝塚を発掘したことでも有名。

 

また、昭和の日本を訪れたドイツの世界的な建築家ブルーノ・タウトは、日本料理についてこう言う。

日本料理そのものが既に特別な一章を成すに足るものを持っている。料理は主として自然なままの状態である。栄養があって美味しい刺身のように生ではないにしても、常に明瞭、簡素、純粋の状態で饗されるがゆえに、ヨーロッパ人にとっては実に喜ばしく、驚くべきものがあり

「ニッポン 講談社学術文庫」

 

ブルーノ・タウト

タウトは桂離宮を「奇跡」と呼んで絶賛した。

昭和初期、ドイツから日本に亡命した建築家・ブルーノ・タウトが、パルテノン、タージ・マハルとともに世界三大美建築と絶讃した桂離宮。

NHK特集 桂離宮 よみがえる日本の美

 

こんな感じに「海の民」日本人は、むかしから海の恵みによって生かされてきた。

その海がいまピンチ。
魚もヤバいことになっている。

 

これは日本三大砂丘のひとつ「中田島浜砂丘」。
あとの2つは鳥取砂丘と吹上浜。
でも、中田島浜砂丘を三大砂丘に入れていいのか不安がある。

 

まえにこんな記事を書いた。

【海洋汚染】ヨーロッパ人はプラスチックが大っ嫌い。

いま世界的に海洋汚染が進んでいる。
海洋ごみの85%がプラスチックという。
それで近年のヨーロッパでは、プラスチック製品を禁止する動きが急速に進んでいる。

海の敵は「マイクロプラスチック」だ。

海に捨てられたレジ袋やペットボトルなどのプラスチックごみは、海にただよっている間に太陽光や塩分で、大きさが5ミリ以下の「マイクロプラスチック」になってしまう。

このマイクロプラスチックによる海洋汚染が進んでいて、世界的な大問題になっている。

 

「じゃあ、プラスチックごみを海に捨てなかったらいいじゃん」と思ってしまうのだけど、そう単純な問題でもないらしい。

毎日新聞は社説(2017年7月17日)で、ヨーロッパを見習って、日本でもプラスチック製品の使用を削減するべきだと提言している。

レジ袋の規制は欧州で進んでいる。欧州連合は14年、加盟国に削減案策定を義務づけ、1人年40枚に減らす目標を掲げた。

1人年300枚のレジ袋を使う日本には法的規制や数値目標はない。自治体ごとの対応に委ね、有料化による削減策などにとどまる。自治体間の温度差も大きい。

「海汚すプラスチックごみ 国の危機感と対応は鈍い」

 

先ほどの「マイクロプラスチック」がコワいのは、海にいる魚が、有害物質をふくんだマイクロプラスチックを食べてしまうこと。

読売新聞の社説(2018年05月30日)によると、最近、東京湾や大阪湾でそうした魚が見つかっている。

日本周辺海域では、北太平洋全体の約16倍、世界の海の27倍もの密度でマイクロプラスチックが見つかった。北極の氷にも、多くのプラ粒子が確認されている。

東京農工大の調査によると、東京湾で採取したカタクチイワシの8割から、マイクロプラスチックが検出された。別の調査では、大阪湾内などの魚からも、高い割合で見つかっている。

「微細プラごみ 海洋汚染の深刻化が心配だ」

 

これは東京湾と大阪湾だけの話ではないはず。
日本全体で、海や魚の汚染が進んでいると考えていい。
だから、毎日新聞や読売新聞が社説で訴えている。

こうなると、「栄養があって美味しい刺身」を食べたくなくなってしまう。
「海にある物は殆ど全部 一般国民の食膳にのぼる」という”海の民”にとっては大問題だ。

 

 

「プラスチック禁止」の世界的な流れは、九州にもやってきた。

きのう(6月1日)から、北九州のスーパー7社がレジ袋の無料配布を中止した。
無料ではなくて、有料になる。

「myliving」の記事(2018年05月31日)から。

店舗によって、3円~5円程度でレジ袋の販売は行うようだが、各自でエコバッグ等を持参して買い物に行くのを忘れないようにしたい。

あすからレジ袋有料化!北九州市内のスーパー81店舗が一斉に

浜松では、数年前にレジ袋は有料化になっていた。
日本全体がそうだと思っていたのだけど、地方によってばらつきがあるのか。

でも、日本もそのうち、プラスチック製品の使用が制限・禁止される”ヨーロッパ化”が進むと思う。

 

 

世界的な科学者アインシュタインが大正時代の日本にやって来た。
日本の印象について、アインシュタインはこう話している。

京都大学の博士学位授与式 式辞 (2007年1月23日)から。

アインシュタインのことに、またもどりますが、彼が日本で最も強い感銘を受けたのは、日本の美しい自然と、自然と一体になった芸術でした。「日本における私の印象」から引用すると、「日本では、自然と人間は一体化しているように見えます」として、

 

アインシュタインは「日本の風光は美しい。日本の自然を洗っている光はことのほか美しい」とも言った。
こういう自然を守って行きたいですね。

 

いま世界の海には、どれぐらいのプラスチックごみがただよっているのか?
この動画で確認プリーズ。

Plastic Pollution Coalitionの動画から。

 

 

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2 件のコメント

  • 太平洋のマグロや鰻の件でもそうなのですが、海洋国家の割に動きの鈍い日本が不思議でならない。どんな利権が絡んで国の動きが鈍いのか、それも見えてこないのはメディアも関係して闇が深いのかもしれない。

  • そういう動きがあると困る人がいるかもしれませんね。
    まあ日本人は、プラスチックごみをあまり海に捨てないこともあると思いますけど。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。