日本人から見たフランス人「自分が犠牲になるのはイヤ」

 

ほんじつ8月26日は「人権宣言記念日」だっ。
(覚えやすい並びの)1789年のこの日、フランスで人間と市民の権利の宣言が採択されたことを記念してこの日がつくられた。
フランス革命の理念となった「人間の自由と平等、人民主権、言論の自由」などが刻まれたこのフランス人権宣言を誇りに思うフランス人はきわめて多し。

フランス社会では個人の自由や権利がとても大事にされていて、国民もそれを当然と思っているから、外部から指示されるとよく激しい反発が生まれる。
これには人権宣言の影響があると思われ。
この点、不満を言わずに個(自分)を全体に合わせる日本人とは価値観や考え方が大きく違うのだ。

それで昔、野球のフランス代表チームの監督をまかされた吉田義男さん(阪神元監督)はフランス人の野球スタイルを見て日本人との違いにことばを失った。

産経新聞のコラム「産経抄」(2021/7/29)

バントのサインを出しても「自分が犠牲になるのはいやだ」とそっぽを向く。打席に立てば、ゴロで三遊間を抜くより外野にフライを打ちたがる。

7月29日

 

チームが勝利するためなら、犠牲バンドをしてランナーを進めるのは当たり前。
得点の可能性を高くするためならよろこんで自分はアウトになるし、自分の気持ちを抑えて監督の指示にしたがう。
これは日本野球では言うまでもない常識。
だから自分よりチームを優先する指示には、平気で拒絶するフランス選手の態度に吉田さんは驚がくする。
監督の指示を無視して、選手が好きなように打ったら野球は成立しない。
それで吉田さんは「チームプレーの大切さを教えこむこと」を重視し、フランス代表は1994年には世界アマチュア野球選手権に初出場するまでに成長したとコラムにある。

といっても、選手の力を引き出しチームが勝利するためのやり方として、日本の方法がどの国でも最善最高ということはない。
サッカーでフランス代表に日本代表が勝つなんてことは、いまのところは現実というよりはミラクルやファンタジーに近いのだから。

 

とにかく外部からの指示が自分の権利や自由を侵害すると感じると、フランスの人たちは全身全霊で怒り反発する。という傾向は、少なくとも日本人に比べれば間違いない。
だから日本では起こらないようなことが当然のように発生する。

共同通信の記事(2021/08/01)

仏で接種促進反対デモが拡大 20万人超、コロナワクチン 

新型コロナウイルスに対する切り札がワクチン接種であることは、世界各国ですでに結論が出ている。
でも「ノン」と言う国民が多いことから、マクロン大統領は強硬策に打って出た。
ワクチン接種完了か陰性の証明がなければレストランやショッピングモール、病院などを利用できなくすると発表した。

でも、その政策で「自分が犠牲になるのはいやだ」と思ったか知らんけど、国が命令・強制するのは市民の権利や自由を脅かすと国民が怒り大規模なデモになった。
世論全体としてはマクロン大統領の対応を支持する人のほうが多い。
でも、反ワクチンデモはフランス全土で3週連続で起こり、合計で約20万5千人が参加したというから、これはフランスの国民性や価値観の一端を表しているとみていいはず。

これに日本のネットでは、

・少数派は声がデカい
・感染拡大の為の協力は惜しまないデモ
・自由を勝ち取った国だからね
・いかにもフランスらしいで
こういう反応待ってた
・強制接種なら反対するのも分からんでもない
・未知のものに対する恐怖心は人類の生存の基本

と理解を示す人も少しいるけど、そうネットに書き込むだけ。
日本の場合、「接種したいのに予約がとれん!」と怒る人はよくいるけど、反対デモなんて聞いたことない。
アメリカではワクチンを拒否してコロナに感染した人が病院で、「すぐにワクチン接種をしてほしい!」と医師に懇願するというケースがよくある。
でも、かかった後では無意味だから、自分の判断を後悔しながら死んでしまう人は多いという。

 

さて、現地で暮らす日本人はフランス人についてどう思っているのか?
ネットで聞いてみたので、「フランス人は気さくで優しいと思います」というポジティブな意見は別の機会に紹介するとして、今回は短所を中心に載せようと思う。

・コロナでは罰則のない宣言は無意味です。私は昨年まで米国にいてどこの店も厳しい入場制限あり、それ以前に不要不急の外出者は罰金が課せられました。フランスも相当厳しかったです。何も罰則なく単にご協力ください、では意味ないです。

・フランスで働いて10年以上になります。
どの職場でも、無断欠勤を繰り返すフランス人女性が必ずいます。1回につき3日連続とか、月3回無断欠勤を繰り返す同僚もいました。なかには2か月無断欠勤した人もいます。
バカンスの初日に、「こんなに忙しいの耐えられるわけないでしょ!」と泣きわめいて早退して、そのあとバカンス中、病欠を使った同僚もいましたね。
それで私が休みなしで彼女たちの分まで働かされるのですが、社長からクビを言い渡された同僚が私のせいにすることも多々あります。
それでなぜか私が転職することも。

・謙虚で和を求める私たち日本人には、自尊心と独立心と反国家精神の強い彼らの勢いに飲み込まれてしまいそうな危機感を感じます。制限速度で運転したらアホ、自分の意見は正論、だまされないようにいつも警戒、ワクチンは政府の陰謀など、極論と優越感で物事を考える姿勢が多いように見えて、議論や話し合いがしにくくストレスを感じています。

・日本人経営の日本食レストランは例えフランス語が苦手でも、日本人しか雇いたがりません。不真面目なフランス人ほど自己主張が強いからだと思います。
私のいるところは夏と冬は殺人的に忙しいけど、春と秋にはホテルやお店などは閉まってしまいます。
キャンピングカーで生活する季節労働者も多いです。彼らは問題を起こしても、次のシ-ズンは別の街に行けばいいだけなので、無断欠勤を繰り返す人がたくさんいるのかもしれません。とにかく笑えないエピソードが山のようにあります。10年間パリ症候群を発症中です。
住むには福祉が充実しているし遊ぶ分にも面白いけど、一緒に働くなら日本人がいいです。

*「パリ症候群」とは、パリで暮らし始めた外国人がイメージと現実のパリとの違いにショックを受けて、うまく適応できずに精神的なバランスを崩すことをいう。

ということで全体的にみて、「自分が犠牲になるのはいやだ」とそっぽを向くフランス人に驚いたり、不満を感じる日本人はいまでも多そうだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。