【酒を持ってこい】左党(左きき)や上戸の由来って?

 

きょう9月17日は「キュートな日」。
917を「キュー・ト(10)・な」と強引に読ませる語呂合わせで爆誕ようだ。
さらにこの日は、この歌を詠んだ人の命日でもある。

「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」

みんなでワイワイ飲むお酒もおいしいけど、秋の夜にひとり静かに飲む酒もいいもんだ。
9月17日はそんな歌を詠んだ歌人・若山牧水がこの世を去った日。
牧水は左党として有名で、彼の誕生日の8月24日は「愛酒の日」になっている。

ちなみに彼は自分が最も愛していたもの、母の名前「牧(まき)」と生まれた家の周囲にあった「雨や谷川」の2つを組み合わせて「牧水」の号をつくったという。
*号とは廃人、おっと俳人としてのニックネーム。

 

とここまで読んできて、「左党ってなに?」とならなかっただろうか。
いやそこで引っかかってほしい。
左党とは革命政党のこと。という意味もあるし、酒が好きな人や酒飲みを「左党(さとう)」や「左きき」と表すことがある。
なぜか甘いものが嫌いな人も「左党」という。
この反対で、酒がダメで甘いものが好きな人は「右党」になる。

フランス議会で議長席に対して左側に座っていたから左党(左翼)、その反対を右党(右翼)と呼ばれたというのはいいとして、なんでお酒が好きな人を「左」で表すのか?
その由来は諸説あるんだが、ここでは有力とされる説を紹介しよう。

むかし鉱山で働いていた男たちは右手に金づち、左手にノミを持って固い岩盤を掘っていて、右手を「ツチ手」、左手を「ノミ手」と言うようになった。
あとは「キュートな日」と同じく、日本人の好きなダジャレだ。
「ノミ手」に引っかけて左手が「飲み手」になり、そんな人たちの集団を「左党」と言われるようになったという。

 

酒飲みを表す言葉にはほかにも「上戸(じょうご)」がある。
この由来は奈良時代にさかのぼる。
まず701年に制定された大宝律令では金持ちの家を「上戸」、貧しい家を「下戸」と区別した。
*中国でも唐の時代、裕福な家を「上戸」といった。
そして江戸時代の随筆『塩尻(しおじり)』に、結婚式で上戸の家では酒が八瓶、下戸の家では二瓶でてきたことから、酒をめっちゃ飲める人が「上戸」、苦手な人が「下戸」とよばれるようになったとある。

ほかに中国起源説もアリ。
「戸」は酒の量を表していて、酒飲みを意味する「上頓(じょうとん)」と「戸大(こだい)」の頭文字をつなげて「上戸」とし、その逆を下戸とした。

以上の説は「日本大百科全書(ニッポニカ)」の上戸・下戸の解説にあるもの。

「秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」という酒飲みは左党や上戸とちがって、もっと上品な感じ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。