まあ何というか、世界は回り回ってつながっているんですね、というのが今回の話。
前回の記事で「雉(キジ)も鳴かずば撃たれまい」という諺を紹介した。
たとえば男性が妻とドライブをしていて、「あの店のピザって美味しいんだよね」と言った後に、そこは浮気相手と行った店と気づく。
すると「え?」という妻の反応から浮気がバレて修羅場を迎えてしまう。
余計なことを言って墓穴を掘るようすを第三者が見ると、「雉も鳴かずば撃たれまい」と言ってため息をつく。
これと同じ内容を中国のネット用語で「不作死不会死」と表現する。
イランことをしなければ、死ぬほどツライ目にあわなくて済んだのに、という自業自得の意味だ。
この言葉は中国のネットでよく使われて、2013年には中国版ツイッター・微博(ウェイボー)のネット流行語トップ10に入った。
だけじゃない。
2014年にはこれを英語にした「no zuo no die」という言葉が、英語圏の人がよく見る「Urban Dictionary」に採用されて中国で大きな注目を浴びた。
Means if you don’t do stupid things, they won’t come back and bite you in the ass.(But if you do, they most certainly will.) Zuo /zwo/ is a Chinese character meaning ‘act silly or daring (for attention)’
バカなことをしなければ、それで自分がダメージを負うことはない(自分のお尻を噛まれない)といった意味で、Zuo は「(注目を集めるために)愚かな、大胆な行動をする」を表す漢字。
「作(Zuo)」にあたるちょうどいい英語がなかったらしく、この中国語発音がそのまま採用された。
いまでは英語版ウィキペディアにも、「No zuo no die」という項目がつくられている。
中国語がそのまま英語圏で使われたというのは、中国人的にどういうことなのか?
多くの中国人がこれで世界における自国の影響力を感じて、誇らしく思ったという。
それで中国メディアの人民網日が記事にした。(2014年04月18日)
現在では、今回の「zuo」や、金遣いが荒く品のない金持ちを意味する「土豪」を英語化した「Tuhao」のように、中国語の発音をそのまま用いる単語が増加している。
中国のネット流行語が英語に訳されオンライン辞典に収録
日本のネット用語の「草」が外国人も使うようになって、「kusa」と海外の辞書に載ったら、日本人として悪い気はしないはず。
話はこれで終わらない。
「No zuo no die」の元となった中国語の「不作死不会死」は、アニメ『機動戦士Zガンダム』に出てくるセリフが元ネタと言われているのだ。
上の中国メディアには、ガンダムの「出てこなければ、やられなかったのに」のセリフに由来しているという説を紹介しているし、別のメディアには「前に出てこなければ、無駄に死ぬことなかった」が由来とある。
細かいことは置いといて、ガンダムでのセリフが「不作死不会死」になった可能性が高い。
国境のないネット空間では世界中がつながっているから、面白いモノがあればすぐに拡散し共有される。
でも今回のケースは、そもそもの始まりとなった日本アニメの影響力がすごかったことになる。つまり日本大勝利。
というのは言い過ぎとしても、日本の創造力と中国の存在感がコラボした結果ではある。
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