外国人と話をするときは相手の価値観や考え方が分からないうちは、政治や宗教の話題を持ち出さないのがお約束。
譲れない殴り合いになる可能性が高いから。
こちらがそんなルールを守っていても、相手に巻き込まれることもある。
数年前に米サンフランシスコ市が慰安婦像を建てると発表すると、「国際社会に誤ったメッセージを発信する」と当時の吉村市長が危惧して再考を求めた。が、サ市は聞く耳持たずで像を設置。
大阪市が連絡をしてもサ市は最後には返事すら寄こさず、「非礼な行為だと思う」と大阪市長は怒る。
このときは像だけじゃなく、一緒に設置された碑文も問題になった。
「一九三一年から一九四五年まで日本軍によって性奴隷にされ、「慰安婦」と呼ばれたアジア太平洋地域十三ヵ国にわたった何十万人の女性と少女の苦しみを表しています。その女性たちの大多数は、戦時中囚われの身のまま命を落としました。」
旧日本軍によって、女性が性奴隷にされたことを裏付ける根拠は一つも出てきてないし、何十万人とかいう前に「少女」が1人でもいたのか。
こんなわい曲された歴史を碑文として刻めば、「国際社会に誤ったメッセージを発信する」と不安になるのも当然。
こうした不信感から、2018年に大阪市がサ市との姉妹都市関係を解消したとき、多くの日本人はこの決定を支持した。
このとき、海外メディアの報道で騒動を知った知人のアメリカ人(20代の女性)から、「日本人はどう思ってるのか?」とメールできかれた。
日本は朝鮮人女性を何十万人も強制連行し、性奴隷にしたと信じているそのアメリカ人は、大阪市は負の歴史を否定し、サンフランシスコ市に圧力をかける悪役のようにみていた。
その報道も韓国寄りで、日本を一方的に非難していたらしい。
メールでのやり取りの中で、「日本が強制連行したという説には根拠がない。だから事実とは言えない」と書くとアメリカ人はこう反論する。
「Koreans wouldn’t have forced their own women to be sex slaves」
(韓国人が自国の女性を強制的に性奴隷にするはずがない。)
この人は性奴隷説と強制連行説という韓国の主張を固く固く信じていて、こちらの話を一切受けつけない。
では根拠を示してほしいと言うと、ネットにただよう真偽不明のサイトのリンクを寄越して、「あなたはこれでもまだ否定するつもり?」と上から目線で怒り出す。
この2つの説については、日本政府がことし発表した外交白書(2021年度版)でも完全に否定されている。
強制連行:これまでに日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった。
性奴隷:「性奴隷」という表現は、事実に反するので使用すべきでない。この点は、2015年12月の日韓合意の際に韓国側とも確認しており、同合意においても一切使われていない。
「まだ否定するつもり?」と言われても、なかったことを「あった」と言うことはできない。
でも向こうは向こうで考えを変えるつもりはなく、結局このときは、もう二度とこの話題を持ち出すべきではないということを確認して終わり。
だからいまでもそのアメリカ人の頭の中には、間違った歴史認識が入っているはず。
こんな感じにある日突然、歴史問題に巻き込まれることもある。
最も有効な対策は正しい認識が海外に広まることで、そのためには、まずは日本国内から歴史の間違いや誤解を招くような表現をなくさないといけない。
その一歩となる動きが最近あった。
時事通信の記事(2021年09月08日)
「従軍慰安婦」などの記述削除 教科書会社5社、閣議決定で―文科省
日本政府が「従軍慰安婦」や「強制連行」という表現を不適切とする閣議決定をしたことを受け、文部科学省が教科書会社に表現を訂正するよう求めた。
結果、教科書会社5社が削除や変更を申請して文部科学省が承認した。
政府の意図については読売新聞の社説に書いてある。(2021/05/01)
慰安婦表記 「従軍」の使用は避けるべきだ
従軍慰安婦という用語は「強制連行があったかのような誤解を招きやすい」から、事実が尊重されるべき教科書で「使うことは不適当であり、不使用を徹底したい」という。
ごもっとも。
そもそも「従軍慰安婦」は1970年代以降にできた言葉で、太平洋戦争中は存在していなかった。
日本が朝鮮人女性を強制連行し慰安婦にしたという吉田清治氏の虚偽証言もあって、この造語が国の内外で広まってしまう。
でもこの証言内容はあとから吉田氏自身が“ウソ”だったと白状して、慰安婦の強制連行を報じた日本のメディアも間違いを認めて記事を取り消したのだから、「従軍慰安婦」という言葉を使うのは確かにおかしい。
中学校の歴史教科書から「従軍慰安婦」の記述はなくなったけど、今年から使われ始めた中学校の教科書に再び登場して、来年から使用される高校の教科書でも2社がこの表現を使っているという。
教科書が率先して生徒の誤解を招いてどうするのか。
こうした状況から、政府は「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切である」という統一見解を示した。
これを読売新聞は「当然である」と評価。
さらに教科書会社には、「誤解が生じかねない用語の使用を避ける責任があることをしっかり認識してもらいたい」と注文をつける。
この社説が強調している部分がココだ。
国連の委員会では過去に、慰安婦を「日本軍による性奴隷」と決めつける報告書が出されている。慰安婦を象徴する少女像の設置といった韓国系市民団体による反日活動も続いている。
事実に基づかない批判をこれ以上拡散させぬよう、政府は対外発信を強化しなければなるまい。
こうした反日活動に、大阪市が一矢報いたのは冒頭で書いたとおり。
政府は政府でそれまで「慰安婦の少女像」や「慰安婦像」と言っていたのを「慰安婦像」に統一するなど、日本は「正しい用語」で対抗している。
産経新聞の記事(2017.2.3)
韓国側には慰安婦像を「少女像」とすることで、旧日本軍の残虐性を強調する狙いがある。
×「少女像」、○「慰安婦像」 政府が用語統一、菅義偉官房長官「そのものずばり」
「従軍慰安婦」にも、旧日本軍の残虐性を強調する狙いがあるのは明らかだ。
でも遅いし弱い。
「反日活動も続いている」という現状があって、間違った歴史認識をこれ以上拡散させないよう、政府は対外発信を強化しなけれいけないのに、真実がフェイクに追いついていない。
海外では慰安婦像や、そこに設置された碑文の内容が事実として定着する一方、日本の対外発信力は弱すぎるとしか思えない。
日本の主張を支持する海外メディアは絶望的に少ない。
SNSのコメントを見てると、日本が好きな外国人でも歴史認識は韓国と同じで、強制連行説や性奴隷説を妄信し、こちらがちょっとでも反論すると、人格を否定するような反応が返ってきて傷つくことも多い。
日韓の歴史問題とは関係ない外国人から、「sex slaves」と非難される日本人はほかにもいるはず。
認めよう。歴史戦において、日本の発信力や訂正力は現状では韓国に完敗だ。
政府は国内にある不適切な言葉を是正することより、海外に流布している歴史の”ウソ”を否定して、正しい歴史をもっともっと積極的に発信してほしい。
間違ったことは断固認めず、関係消滅さえ決意した吉村元市長ぐらいの強い気持ちで。
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韓国人が私のこのコメントを見たら、売国奴だと非難するでしょうが、それでも真実のために文章を書きます。
韓国人の日本に対する反感と敵愾心は歴史に対する誤解から始まっています。
その中でも最も代表的な誤解が、慰安婦についてです。韓国人のほとんどは日本軍が強制的に、まるで奴隷狩りのように純潔な朝鮮人女性を拉致し、凶暴な日本軍の性奴隷にしたという誤解をしています。
しかし、明らかになりつつある歴史的事実は、まったくその事実とは異なります。実情が十分に知られていないという傍証です。最近、韓国では一団の歴史学者らを中心に、間違って知られている日本軍慰安婦問題の真実を知らせる作業が活発に行われています。歴史の真実を正確に知ってこそ、韓日間の不必要な紛争が消えるはずです。そんな点で日本と日本政府の努力は足りない感じです。
こういう指摘をするのは韓国では勇気がいると思います。
でも感情に流されず、客観的な事実を主張する人が韓国メディアに登場しているのが希望です。
慰安婦の人たちが苦しい思いをして、日本政府が道義的責任を認めたのは事実ですが、事実から離れた歴史を唱えるのは日韓にとって有害です。
日本の努力が足りないというのはそのとおりですね。