【韓国人の目】スピードより、配慮と確実性を重視する日本人

 

知人の韓国人女性が10年ほど前、大学生だったころに、ワーキングホリデーで日本へやって来て東京で暮らすこととなった。
まずは生活で必要な品を買い集めると同時に、生活費をかせぐためのアルバイト探しを始める。
100円ショップに行くと未知のアイデア商品が山盛りあって、かえって買い物がむずかしくなったけど日本人の創造性には感心した。

日常会話レベルの日本語ができる彼女は、アルバイト情報誌で見つけた良さげなファストフード店に連絡して面接を受けることになる。
当日、店内で店長と向かい合って座り、履歴書を見せたあとにいくつかの質問に答えて、「本日はありがとうございました。では、結果は1週間ぐらいで連絡しますね」と言われて面接終了。
ボクと会ったときにそのことをふり返って、「え?って思いましたよ。韓国人の感覚だとあれには驚きですね。」と言う。
その後に受けたバイトの面接も同じで、5日後や1週間後に合否の連絡をすると言う。
韓国人はスピードを重視するから、バイトの採用ならその場で、

「はい、合格です!あしたから来てくださいねー。」
「わかりましたー。よろしくお願いしまーす。」

となることがフツーにあるから、何日もかかって合否を決める日本人の慎重さには戸惑った。
そもそも韓国でバイトをしたときは、履歴書の提出なんて求められなかったという。
東京で1年間を過ごして、彼女が感じた日本人と韓国人の大きな違いは「スピード感」と「配慮」。
韓国人は早く物事を片づけたり進めるのが好きで、逆に遅いことには耐えられないから、社会もその価値観に合わせてとてもスピーディーに動く。
対して日本人は、ときどきイラっとするほど何でもゆっくり。だけど100円ショップの商品のように、韓国人では気づかないような細かい配慮がある。
だから何事にもトラブルが少なくて、正確性や精度が高い。

 

韓国情報サイト「ワウコリア」のこの記事を見てそんな話を思い出した。(2021/10/01)

1回目の接種もまだ済んでないのに2回目接種の通知が? 接種スピード上げようとしてトラブル多発=韓国報道

いま韓国では政府が先頭に立って関係機関がそれにつづき、国をあげて全力でコロナのワクチン接種を進めている最中だ。
それは日本も同じなんだが、韓国ではスピード重視で、正確性は「あとからついてこい!」みたいな感覚で突っ走ってる。
まだ一度も受けてないのに、疾病管理庁から「10月28日午前11時に恩平区の予防接種センターで2回目の接種を受けるように」というメールが届くようなトラブルが発生して困惑する人が出てきている。
疾病庁が確認しないでメールを一斉送信したのか、それともデータ上では接種済みになっているのか理由は謎。

韓国では国民の希望日ではなく、当局が日にちを指定することが一般的らしい。
まぁ上が計画・管理して、国民がそれに合わせたほうがスピードは速い。

ただ、「10月までに2回目の接種率70%達成」を最優先にしている分、精度には欠ける。
防疫当局と現場とのコミュニケーションがとれていないケースもあって、疾病庁が指定した日に病院へ行ったら、予約がパンクしていて接種できなかった人もいた。

韓国人の場合、こんな感じに日本人と比較するデータを見せるとやる気が出てきて加速する。
中央日報の記事(2021.09.13)

韓国1次接種率は日米を上回ったが…2次は韓国38%・日本50%・米国54%

 

日本語の「思い立ったが吉日」と似たような意味で、韓国では「始めたら半分だ」という言葉があると知人の韓国人から聞いた。
始めてしまえば半分終わった(達成した)ようなものというニュアンスで、楽天的&スピード重視の韓国人らしい発想が凝縮されていてると思う。
「日本人と韓国人を合わせて、2で割るとちょうどいいんですけどね~」と知人は言うんだが、日本人の安全重視と韓国人のスピード重視は対立概念だから、「ビビンバ-グごはん」みたいなハーモニーは生まれず、ムリに合わせるときっと精神がパンクする。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。