トイレで男性用なら青、女性用なら赤色で表示されている、というこれまでの常識が変わるかも。
神戸新聞の記事(2021/10/9)
公園のトイレ、男女色分けせず 「性的少数者への配慮足りない」の声反映
兵庫県明石市が新しく公園に設置するトイレの色について市民からアンケートをとった結果、男性用トイレを青、女性用を赤色とする案が最多だったので市はそれを採用した。が、「そういう決めつけは性的少数者への配慮が足らない」といった批判が寄せられ市はこれを撤回し、男女のトイレを同じ色にすることにした。
ちなみに現在のように男女のトイレマークが青と赤で色分けされたのは、1964年の東京オリンピックがきっかけらしい。
これからは「性別を色で分けない」が日本のスタンダードになるかもしれないが、いまのところは男女を青と赤で区別しても問題ない。
でもこの色の違いに、上下優劣などの違いや差をつけるとNGだ。
これは知人のアメリカ人が中学生だったのころの話。
それまで先生がテストの採点で正解を青色、間違いは赤色でチェックしていたのに、あるときから突然そのルールが反対になった。
不思議に思った知人がその理由をきいたら、先生がこんな話をする。
「中国系アメリカ人の親からクレームがきたのよ。『赤は中国では伝統的に良い意味の色だから、それで間違いを表すのはやめてほしい』って。だから逆に赤を正解、青色は間違った答えに使うことにしたの」
先生としては特に色にこだわりはなかったし、ここは粘るところでもないからアッサリ受け入れたという。
日本でも「赤ペン先生」のように、間違いを正すときは赤色を使うことが一般的だ。
赤は人の注意を引く色だからかもしれないけど、改めて考えてみるとなんで緑や茶色ではなく、「赤」なのかはよくワカラン。
現在の中国で赤色は共産主義のシンボルカラーで、伝統的には魔除けの良いイメージがある。
「赤」は結婚式や正月など、めでたいときによく使われるラッキーカラーだ。
国立民族学博物館のホームページで中国について研究しているスタッフ(韓敏さん)が、中国では喜ばしい結婚式を「紅事」、悲しい葬式を「白事」と表現することに触れてこう書く。
太陽神と火神の崇拝から太陽と火のもつ赤色の崇拝へと変わったのは漢族の「赤」への憧(あこが)れのルーツだと思う。赤は魔よけ、吉祥、生命力の色として信仰され、中国人が最も好む色だ。
中国の伝統文化・京劇の隈取(くまどり)で赤は忠誠を表す色、白は険悪を意味する色として使われるという。
関羽がよく赤ら顔で表現されるのもそういう理由なのか?
中国人が赤を良い意味として考えた理由には、
・たくさんの種子がある赤いザクロは子だくさんや子孫繁栄を象徴するから
・生命のしるしである血は赤色だから
など諸説ある。
ただ、これだと赤いトイレは“女性優位”になってしまう。
中国の廟では赤色の布に自分の願いを書いていた。
きょねん結婚式を挙げた台湾人女性がいて、その写真を見たら式では赤が乱れ飛んでいた。
これは結婚式とは直接関係ないけど、花嫁の家の扉に貼ってある縁起物の札がまず赤色だ。
花嫁は赤いドレスを着るのがお約束。
ただ最近では欧米の影響から、白いウェディングドレスもよく着る。
引き出物のバッグなど、結婚式では赤い紙で贈り物を包むのが一般的。
こういう伝統文化の世界で育った人から見たら、「赤」で間違いを示されるとクレームを入れたくなるのかも。
ただトイレの色分けも含めて、抗議をするかどうか結局は個人の主観や性格による。
でも人の認識は色によって変わるのも事実だ。
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