【いまも感謝】杉原千畝に敬意をこめ、エルサレムに広場が誕生

 

湖に浮ぶ上の写真の城はトラカイ島城という。
このステキな城のある東ヨーロッパのリトアニアは、いまでこそ平和でやたらと寒い国なんだが、第二次世界大戦のときには、人がまるで“虫”のように命を奪われる地獄が現出していた。
それを可能な限り救ったのが杉原千畝(ちうね)という日本人。

 

杉原千畝

 

リトアニアの都市カナウスの日本総領事館に赴任してきた杉原は、1940年7月18日の朝、外で多くの人の声が聞こえて異変が起きているのを感じた。
そのときの様子を彼はこう記す。

「私は急ぎカーテンの端の隙間から外をうかがうに、なんと、これはヨレヨレの服装をした老若男女で、いろいろの人相の人々が、ザッと100人も公邸の鉄柵に寄り掛かって、こちらに向かって何かを訴えている光景が眼に映った」

彼らはナチス=ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人だった。
人種差別主義者のナチスはユダヤ人を「害虫」のように考え、ヨーロッパ中で「ユダヤ人狩り」を行い、見つけては殺害していった。
「ヨレヨレの服装をした老若男女」を救おうと決意した杉原は、彼らがリトアニアを脱出できるようにビザを書く。書いて書いて、書きまくった。
一日中ビザを書いて、夜には力尽きてベッドに倒れ込む日々が続き、痛みで腕が動かなくなると夫人がマッサージして、夫婦二人三脚でとにかく一人も多くのユダヤ人を救うために杉原はビザを書く。

外務省からベルリンへの異動を命じられた杉原は、その日、ベルリンへ向かう汽車に乗り込んだあと、外にいるユダヤ人にビザを書いて窓から渡した。
「許して下さい、私にはもう書けない。みなさんのご無事を祈っています」という杉原に、「私たちはあなたを忘れません。もう一度あなたにお会いしますよ」という叫び声があがったという。
こうして約6000人のユダヤ人の命が救われた。
2018年にリトアニアを訪問した安倍首相は、杉原千畝を「日本人として誇り」と称賛する。

 

杉原が書いたビザは「命のビザ」と呼ばれた。

 

杉原からビザをもらって、国外へ脱出できたユダヤ人は幸運だった。
逃げ遅れた人たちは、ユダヤ人を銃殺するためのナチスの部隊「アインザッツグルッペン」(移動殺戮部隊)に殺されたり、ドイツやソ連の強制収容所へ送られそこで殺害された。

 

子供を守ろうとするユダヤ人女性を銃殺するアインザッツグルッペン(1942年 ウクライナ)

 

ナチスがユダヤ人絶滅を遂行するなかで、ユダヤ人を守った功績が認められ、杉原千畝はイスラエル政府から「諸国民の中の正義の人」という称号を授与された。
だけじゃない。
エルサレム市にその名を冠した「チウネ・スギハラ広場」がつくられて、今月11日に記念式典が行われた。

時事通信の記事(2021年10月12日)

エルサレムに杉原千畝広場 「崇高な行為への感謝の印」

「崇高な行為に対する感謝の印」というエルサレム市長から分かるように、イスラエル人(ユダヤ人)たちはいまも杉原への「ありがとう」の気持ちを忘れていない。
*でもイスラエルで、スギハラの名前はあまり知られていないのだが。

これに日本のネットの反応は?

・遠いナチよりもすぐそこに迫ったソ連が怖かったというのが真実
・ファイザー入ったのはこのおかげ
・送り出した側だけじゃなく
受け入れて預かっていた側も
顕彰してやれよ
・ユダヤとアラブのイザコザはいつまでも続く
・急いでたから中身が結構メチャクチャなビザだったけど日本政府は入国を認めてくれたんだよな
まるで千畝だけの功績かのように語られるけど

 

まえに米軍による広島への原爆投下について外国人に意見を求めたら、アメリカ人からこんなコメントがきた。

People forget Japan used to be as vicious as the Nazis, and were even on their side. Not saying the nukes are the best decision, but people gotta have a reality check.

日本がかつてナチスと同じくらい悪質で、ナチスの味方であったことを人々は忘れている。
核兵器が最も良い決断とは言わないが、現実を見なければいけない。

日本はナチス=ドイツと政治的に同盟関係を結んでいたが、ユダヤ人虐殺には一切関わっていない。
こういう彼に、英語版ウィキペディアにある杉原千畝のリンクを送ったら、それから返事はなし。
大事なことを忘れているか、知らないこのアメリカ人が、現実を見て受け入れてくれるといいのだけど。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。