【過去最悪】日本で自殺が多い理由、アフリカ人はどう考える?

 

今回はこれ以上なく不幸な話題。

韓国紙の朝鮮日報によると、いわゆる「先進国」と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国・地域のうち、最も自殺率が高いのは韓国だった。(2021/10/15)

自殺率OECD1位は韓国…米国6位、日本は? 

2020年の韓国の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は23.5人で世界最多、あとはリトアニア、スロベニア、ベルギー、日本、アメリカとつづく。
ここ最近の韓国では10代・20代の自殺が大幅に増えているという。
ちなみに韓国のメディアは「自殺」というネガティブな表現は避けて、「極端な選択を選ぶ」といった言い方をよくする。

 

まえに東アフリカのマダガスカル人と話をしたとき、「日本について良くないと思うことは何かある?」と聞いたら、「自殺がとても多いこと」という答えが返ってきた。
これには反論デキマセン。
韓国だけではなく、日本も昔から自殺が多いことで世界的に有名だ。
毎年3月は厚生労働省が定めた自殺対策強化月間で、東京都はそれに加えて9月も自殺対策強化月間に指定している。
最悪の不幸を防ぐため、これほど対策に力を入れているのに、2020年度に日本で自殺した子どもの数は過去最悪(最多)だった。

NHKニュース(2021年10月13日)

子どもの自殺 初の400人超 不登校は19万人以上で過去最多

小学生が7人、中学生が103人、高校生が305人で合わせて415人となり、前年度に比べて100人近くも増えている。
子どもの自殺はここ10年で2.7倍に増加しているから、コロナ禍に関係なく、この負の傾向は続いているということだ。
その原因(子どもの置かれていた状況)は「不明」が218人と過半数を占め、それ以外では「家庭の不和」が約50人と最も多い。

この事態にネット民の反応は?

・ただでさえ少子化なのにマジで老人だらけの国になってしまうな
・国ガチャに外れた子供たち
・飢えに苦しんでいるような地域で自殺者が増えたとか聞かないのは?
・欧米では日曜日に教会に出かける習いが救いになっているのではないか
あちらはご丁寧に禁じている。
・命を感じる時がないから命を軽んじる

「欧米では~」という話はよく聞くけど、日本の自殺率はベルギーより低いしアメリカとそう変わらない。

さて、この問題をアフリカ人ならどう考えるのか?

 

タンザニアの食べ物

 

きょねん9月に日本の大学を卒業したアフリカ人男性(タンザニア人)と一緒にご飯を食べに行ったとき、「日本みたいな恵まれた国で、自殺が多い理由がわからなかった」とこの話題が出てきた。

そう、彼にとってこれはもはや過去形。
日本に住んで日本人と付き合ってみると、その理由が見えてきたという。
彼から見て、母国の人間と日本人の大きな違いは対人関係の距離感。
アフリカ人は基本フレンドリーで、知らない人に話しかけることは日常茶飯事である一方、日本でそれは絶対に、と言っていいほどない。
ただしここでいう「フレンドリー」は、日本人には図々しくてウザく感じることが多々あると思われ。

日本の電車や地下鉄の中はとても静かで、他者への配慮や敬意を感じるけど、多くの人が同じところにいて声が聞こえないのは不自然で冷たい印象を受ける。
アフリカだったら車内のあちらこちらで、乗客同士で会話が始まっているところ。

 

大学では一緒に遊びに出かける日本人の友人が何人かできたけど、何かつながりが薄い気がして物足りなさを感じていた。
アフリカ人の友人同士なら気軽に頼みごとをしたり、困っていることや悩みを相談するのに、自分が外国人のせいかもしれないが、日本人からはそんなことがなかった。
あるとき日本人の友人がたまたまお金を持ってなくて自分が出したら、「ありがとう」と2、3回言われて後日、そのお金をきっちり返してくれた。
でも彼の感覚だとこれぐらいなら、友人同士で「ありがとう」なんて言う必要がないし、数百円なら返さなくてもよかった。
日本人の「貸し借りナシ」の付き合いは何かさみしい。

同じ東アフリカからの留学生のウガンダ人に聞いても、日本人は口で言うことと心で思っていることが合っていないことがあって、本当の気持ちを隠しているように感じると言う。
だからアフリカ人に比べると、日本人の対人関係は全体的にアッサリしていてつながりが薄い。
スマホにはいろんな人の連絡先があるけど、困っているときは助け合うような場面が少ないから、彼は日本人の人間関係を「ネットワークはある。でも、リレーションがない」と表現する。
ウガンダ人と話をしていて、日本で自殺が多い理由はそういうところが原因ではないかという結論に達したという。

たしかに「極端な選択をする」日本人には、まわりに人がいても孤独を感じていたように思う。
孤独ならまだしも、孤立だと人の数が多いほど辛くなる。
数より深さのリレーションは日本人に必要な考え方かも。

 

 

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2 件のコメント

  • <<<国ガチャに外れた子供たち
    ・欧米では日曜日に教会に出かける習いが救いになっているのではないか
    あちらはご丁寧に禁じている。

    <<<「欧米では~」という話はよく聞くけど…

    藤原惺窩の頃から根本的に変わっていない日本

    戦国時代:
    儒教の聖地中国に憧れ、「日本じゃなくて、中国か朝鮮に生まれたかった!」とほざき、「明と朝鮮の連合軍で日本を占領して欲しい」との言葉を残した藤原惺窩

  • > 数より深さのリレーションは日本人に必要な考え方かも。

    うーん、その対策で、もしかすると自殺は減るかもしれないですが、他の問題が多発するような気がします。
    たとえば、現代の日本での殺人事件の大半は、親族関係で起きていることを考えてみても。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71424?page=4

    > 彼は日本人の人間関係を「ネットワークはある。でも、リレーションがない」と表現する。

    日本は昔から、人口密度が高くて、黙っていても意思伝達が容易にできてしまう(情報が知られてしまう)、プライバシーが確保しづらい社会です。それでいて、なおかつ他人の目を気にする傾向がとても強く、他人からの批判に弱く、孤立に耐える強さがない。そんな我々日本人が「社会の秩序を保って」暮らしていくための知恵の一つが、「薄く広がった人間関係」であるのかもしれません。
    ネットの普及により、世の中は、ますます心穏やかに暮らすことが難しくなってきたように思えます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。