きのうヤクザについて書いた記事で、チョイと出てきた「指詰め」。
この風習は海外にも知られていて、英語版ウィキペディアでは Yubitsume の項目があり、「日本の儀式(Japanese ritual)」と紹介されている。
でもそうは言われても、いまではこれはヤクザとかの「ハンシャ(反社会的勢力)」の世界の話であって、普通に生きている人にはカンケーない。
こんな状況はイヤすぎるんだが、「五本の指の中でどの指の先を失いたいか?」と言われて拒否できないとしたら、一番生活に支障がなくて目立たなそうな小指を選ぶ人は多いだろう。
歴史的にみると、鎌倉時代に成立した歴史書『吾妻鏡』(あづまかがみ)に「指切り」が出てくる。
戦闘の際に味方を討ってしまった御家人に対し、責任をとらせる意味で「指切の刑」を行なったという記述がある。
‥とここまで読んできて、「アレ?」と引っかかったことはないだろうか。
吾妻鏡
「指詰め」について英語版ウィキペディアにはこんな説明がアリ。
In Japanese swordsmanship, or Kendo, Iaido, the little finger’s grip is the tightest on the hilt. A little finger-amputee was therefore unable to grip his sword properly, weakening him in battle and making him more dependent on the protection of his boss.
日本の剣術、剣道、居合道では小指の握りが最も強い。
だから小指を切断した人は刀をしっかり握ることができず、戦いに弱くなるから、力のある人間の保護を必要とするようになる。
小指の先は本当に小さな部分だけど、その人間の戦闘力を大幅に下げる“効果”がある。
だから、昔の日本人にとっては特に重要な意味があったはずだ。
いまでは銃を使って攻撃するヤクザも、昭和の時代は日本刀を武器としていた。
小指をなくすと刀のツカを握る力が半減してしまうから、ヤクザにとっては生活にめっちゃ支障をきたすことになる。
だからそれを自ら切り取って相手に渡す行為は、これ以上ない反省や謝罪の気持ちを表すことになるから、指詰めをされた側はその人間を許していた。
この考え方や精神は鎌倉時代の御家人に通じると思うんだ。
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