【幽霊の見方】日本・東南アジア、アラブ・欧米の認識の違い

 

フツウの人間には見えない「ヤバいの」(幽霊)が見えるようになった女子高生の「みこ」。
そんな彼女が全力で見えないフリするというアニメ『見える子ちゃん』がいま放送中だ。

 

 

この考え方からすと、岸田首相は『見える子ちゃん』ではないらしい。
産経新聞(2021/12/13)

岸田首相「公邸の幽霊、見ていない」 二・二六事件の舞台

首相公邸は1936(昭和11)年の「二・二六事件」の舞台となった場所で、「犠牲者の幽霊が出る」というウワサがあるのだ。
そこに旧民主党政権の野田元首相以来、約9年ぶりに岸田首相が住むことになった。
公邸で幽霊を見たか記者団に聞かれた岸田文雄首相は、

「今のところ、まだ見ておりません」

と笑顔で答えたとか。
ちなみに政府は2013年、「首相公邸の幽霊」について「承知していない」とする答弁書を閣議決定した。
岸田首相が公邸から退去したら、それは「見えてしまった」ということだろう。

 

 

で、これは2019年に、名古屋にある大学の外国人寮(女性だけ)に住んでいたモロッコ人から聞いた話。
あるとき寮の中で「〇〇で幽霊を見た!」というウワサが流れて、外国人学生の間に衝撃が走った。
でも、よくよく話を聞くと、その“走り方”が国や地域によってどうも違う。
タイ人やベトナム人など東南アジアやインドの学生は恐怖で震えた一方で、自分のようなアラブ人や欧米人は「マジで?その霊を見てみたい!」とワクワクする人が多かった。
この反応の違いから、モロッコ人は「背景には文化的な理由があるのでは?」と想像して、何人かに幽霊のイメージを聞いてみた。

まず、何かの恨みや特別な思いのある人が死ぬと、この世に幽霊となって現れるという話はどの国の人も同じ。
そのあとは大まかにいうと、東南アジアやインドの人たちは幽霊について人を殺すこともある恐ろしい存在と考えていて、自分や欧米人は、幽霊はそこらをさまようだけで人に危害を与えない存在とみていた。
日本人の友人は「オソロシイ派」で、恨みをもった人が幽霊になって誰かを殺したり、事故で亡くなった人が霊となって事故を引き起こす話が日本にあると言う。

 

幽霊に対する見方や認識は日本人の中でも個人差があるし、全ての人を「怖がる/楽しむ」の二つに一つに分けるのは無理。
ただ、寮での反応をみると全体的に多神教の多いアジアの人は前者、自分や欧米人のイスラム教やキリスト教の一神教の文化圏にいる人は後者に分かれる傾向があった。

その理由についてモロッコ人と話をしていて、こんな結論にたどり着く。
幽霊はアッラーやゴッドによってつくられた存在で、全知全能の偉大な神の前ではすべての幽霊はもはや雑魚キャラも同然。
人が神に祈ってその力で守られると、幽霊なんて大した存在ではない。
(といってもそのモロッコ人にも恐怖心はあるから、みんなでなら見に行きたいけど、一人だったら無理だと言う。)

それに対してタイ、インド、日本など仏教やヒンドゥー教の文化圏には、全ての神を合わせて1つにしたような絶対的な神はいない。
幽霊がモンスターのように人を殺せるほど強い力を持つようになるのも、そうした絶対神がいないからでは?

これはサイゼリヤでモロッコ人と話をしていたときに出てきた見方だから、学問的な裏付けはないしツッコミどころも多々あると思う。
でも、キリスト教やイスラム教の一神教の世界には「すべてを絶対神と相対化する」という発想があって、そこが日本やタイなどの文化圏とは違うと思う。

 

参考までに、心霊研究がイギリスで特に発展した背景には「彼らは霊を怖がらない」という指摘がある。

その理由は、ひとつにはイギリス人の気質が知的な探究心が旺盛なため、幽霊が現れるとされればそれを怖がったりせず積極的に知的に調べてみたがるためとも言われている。

幽霊・西洋 

 

こう考えると、幽霊が見えるとヤバいしコワい、という『見える子ちゃん』の設定は日本の伝統的な文化や見方が前提になっていることがわかる。

 

 

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3 件のコメント

  • > 参考までに、心霊研究がイギリスで特に発展した背景には「彼らは霊を怖がらない」という指摘がある。
    > その理由は、ひとつにはイギリス人の気質が知的な探究心が旺盛なため、幽霊が現れるとされればそれを怖がったりせず積極的に知的に調べてみたがるためとも言われている。

    ううう、でも映画「エクソシスト」は英国ロンドンの話で、最初見た時は死ぬほど怖かったです。
    たぶん英国人でも怖がると思うなぁ。ただし霊ではなく「悪魔祓い」の話ですが。
    神にも反逆する悪魔は、霊なんかとは別格扱いなのかな?

  • もちろんイギリス人でも幽霊を怖がる人はいます。
    それについて2人のイギリス人に事故物件の除霊について聞きました。
    そのうち記事にしますね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。