「バカボン」の由来は仏語や韓国語?それとも仏教の薄伽梵?

 

いつものように華麗にネットを見ていたら、天才バカボンの「バカボン」は実は仏教用語の「薄伽梵」(バギャボン)に由来するという投稿を発見。

「バカボンのパパの有名な言葉「これでいいのだ!」は、 あるがままを「ありのままに受け入れる」という悟りの境地なのです。」

マジか!
バカボンの由来は、フランス語で放浪者を意味する「バガボンド(vagabond)」だと思ってたわ。
「それでいいのか?」という感じはしたけど、これを投じた人は実名を出しているお寺の住職だから信頼性は高い。
で調べてみた結果からいうと、これも正しいかもしれない。
バカボンの由来には諸説あってその中の一つが「薄伽梵」だから、これを間違いと否定することはできないけど、正解と断定することもできないのだ。

赤塚不二夫公認サイト『これでいいのだ!!』の「バカボン度テスト」では、名前の由来についての質問で次の3つの選択肢が掲載されていた。

・「韓国語でバカなボンボンの意、バカボスミダからとった」
・「フランス語で放浪者の意、バガボンドからとった」
・「イタリア語で『これでいいのだ!』の意、バカボンド~ラからとった」

 

ということで「バカボン=薄伽梵」説は不明としても、仏教用語の「薄伽梵」(バギャボン・バガボン)は一般知識として覚えておいていい。
辞書(デジタル大辞泉)によると、これは古代インドのサンスクリット語「bhagavat(バガバッド)」を漢字で表したもの(音写)でこんな意味がある。

1 仏の称号。
2 インドで、仙人や貴人に対して用いる呼称。

これを「Bhagavān(バガヴァン)の音写」と紹介している場合もある。
とにかく「薄伽梵」とは仏典では悟りを開いたブッダを指しているし、ヒンドゥー教(バラモン教)ではクリシュナやシヴァなどの神をこう呼ぶ。
ヒンドゥー教の聖典で有名な「バガヴァッド・ギーター」は「バガヴァンの詩(神の詩)」の意味になる。
「これでいいのだ!」というセリフは、悟りを開いた境地を分かりやすく表現しているように聞こえるから、現役のお坊さんがファクトチェックもしないで飛びついてしまったと思われ。

 

朝日新聞の『ことば談話室』には赤塚不二夫さんが生前、「仏の言葉にバカボンという言葉があるんだよ」と言ったという話が載っている。(2011/06/30)

「サンスクリット語の『薄伽梵』で、薄伽が徳、梵が成就の意味」だとして、「煩悩を超えた徳のある存在なのだ!」とのこと。

あの有名キャラ、元祖はお釈迦様?

 

でも赤塚さんは、薄伽梵からバカボンと命名されたかどうかについてはハッキリ言わなかった。
公認サイトには出てこないから、「薄伽梵」は赤塚さんがあとから知った情報ではないか?
確実に言えることは「バカボン」とは息子のことであって、パパの名前ではないということ。
赤塚さんが「好きな名前で呼んでいいのだ」と言っているから、パパの名前は何でもいいらしい。

 

 

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2 件のコメント

  • > 天才バカボンの「バカボン」は実は仏教用語の「薄伽梵」(バギャボン)に由来するという投稿を発見。
    > 「バカボンのパパの有名な言葉「これでいいのだ!」は、 あるがままを「ありのままに受け入れる」という悟りの境地なのです。」
    ええっと、この話、50年くらい前に私が子供だった頃にも聞いたことがありますよ。
    その時は、「何だかよく分からんが、すげーな」と思いました。夏休みの日誌に書いたような気がする。

    > マジか!
    > バカボンの由来は、フランス語で放浪者を意味する「バガボンド(vagabond)」だと思ってたわ。
    こちらは、90年代末から連載されていた井上雄彦の漫画(原作は吉川英治の『宮本武蔵』)のタイトルですよね。途中から休載のままですけど。

  • 「バカボン」の由来ははっきりわかりませんが、個人的には公式サイトにある仏語の「バガボンド」ではないと思ってます。
    「薄伽梵」も面白いんですけどね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。