ボストン茶会事件で、米国人が「紅茶<コーヒー」になった説

 

知人のアメリカ人とイギリス人のカップルが引っ越しをするというから、このまえ手伝いに行ってきた。
で、そのあと「お疲れ&サンキュー」の簡単なお茶会を開いてくれたのが上の写真ですよ。

紅茶かコーヒーか聞かれてボクは紅茶、イギリス人女性もティー、アメリカ男性はコーヒーをチョイスする。
となるとこれは、アメリカがイギリスから独立戦争をおっぱじめる原因となった「ボストン茶会事件」を思い出すしかない。
この事件はちょうど248年前のきょう、1773年12月16日に起きたのだった。

 

この時代、イギリスはフランスと世界各地で植民地をめぐる戦争をしていて、北アメリカでは1754年にフレンチ・インディアン戦争(七年戦争)があった。

腹が減っては戦は出禁。(この誤変換わらった)
食べ物や兵器など戦争にはぼう大なカネが使われるから、イギリス本国はその負担を植民地(北アメリカ)にいた人たちにも押し付けた。
それが、新聞や各種証書、トランプなどに印紙を貼ることを義務付けた印紙法や、茶・ガラス・紙などに関税をかけるタウンゼンド諸法だ。
一方的に税金を取られたら、反イギリスの空気が高まるのは必然。
そんなムードを背景に1770年、ボストンでイギリス軍が民間人5人を射殺した「ボストン虐殺事件」が発生し、後に独立戦争が始まるきっかけの一つとなる。
(この時代のイギリスはわりと滅茶苦茶なことをしていた。)

植民地の大反発を受けて、イギリスは印紙法とタウンゼンド諸法はすぐに撤廃。茶税以外は。
これはかなりもうかるようで、イギリスは茶税は手放せなかった。
一方、植民地側ではオランダ商人から違法で安くお茶を買って、アメリカで売っていたヤツラがたくさんいた。

イギリスはこの密輸入(茶税逃れ)をなくすため、1773年に新たな茶法を制定し、イギリス東インド会社に関税なしで茶を独占的に販売する権利を与えた。
東インド会社は通常の半額ほどで茶を売り出そうとしたから、これだと密輸入された茶よりも安くなる。
この事態に植民地の人たちは怒りはしたが、彼らが問題にしたのは「代表なくして課税なし」で、あくまでも税金であってイギリス本国からの独立ではない。
そんな一触即発の雰囲気のなかで事件は起こる。

茶を積んだ東インド会社の船がボストンに到着すると、現地からは、荷揚げせずにイギリスへ退去するよう求められた。
これにイギリス側の返事はNO。
貿易船は荷揚げされないまま、ボストン港で停泊することとなる。
そして1773年12月16日の夜、50人ほどの現地人がこの船を「ヒャッハー!」と襲撃し、「ボストン港をティー・ポットにする!」と叫びながら、342箱の茶箱を海に投げ捨てた。
被害総額はなんと1,000,000ドル!
現在の価値に換算すると、まあ、「とんでもなくたくさん!」だ。

このボストン茶会事件が直接的なきっかけとなって、翌年にイギリス軍と植民地民兵が衝突(レキシントン・コンコードの戦い)し、アメリカ独立革命が始まった。

 

事件を描いた絵

 

ボストン茶会事件はアメリカ側に、こんな変化をもたらしたと「UCC上島珈琲」のHPにある。

この事件をきっかけに、アメリカの人はコーヒーを飲むようになり、独立への気運も高まったといわれているんです。

アメリカ独立革命は、コーヒー革命!? 

 

2019年にフランスで開催されたサッカー女子ワールドカップの試合で、イングランド相手に決勝点を決めたアメリカのモーガン選手が、カップで紅茶を飲むようなゴールパ・フォーマンスを見せた。
これはもちろんボストン茶会事件を意識したもの。

 

 

アメリカ人にはジョークでも、英紙ガーディアンが「イギリス人をあざ笑った」と伝えるなどイギリス人は不快に感じたらしい。
引っ越しのあとのティーパーティーでアメリカ人がコーヒーをチョイスしたのは、この気概をイギリス人に見せつけたかったのかも。(いやしらんけど)

 

 

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1 個のコメント

  • フレンチ・インディアン戦争(French and Indian War)という名称ですが、歴史学会は、どうしてこの戦争だけ奇妙なカタカナ語に翻訳しているのでしょうかね? 「フレンチ・アンド・インディアン戦争」じゃ、まるでフランス人とインディアンが戦争していたみたいだからかな?
    もう少し正確に翻訳してほしい。たとえば「フランス人・インディアンとの戦争(英国の立場では)」とか。もしくは「七年戦争」の方が誤解を招かないからまだマシです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。