【音読み?訓読み?】お寺と神社の読み方の“基本ルール”

 

日本に住んでいたインドネシア人が「富士山が見たいですっ」と言ってやかましかったから、3月のある晴れた日、田貫湖へ連れて行くことにした。
田貫湖だけだと時間が余ると思い、その途中にあった「大石寺」へ寄ることにする。
ボクの車のGPSは10年ぐらい前から時間が止まったままだったんで、助手席のインドネシア人にグーグルマップでナビをしてもらおうとしたら、「『オオイシデラ』なんてお寺はありませんよ」と言う。

えっ?
明治の作家・大町桂月が「大石寺を見ずして寺を語ることなかれ」と評したあのお寺が廃寺になった?
いやいやそんなバカな。

なんて思ったら、そのお寺の名前は「たいせきじ」であることが発覚。
大石寺のことは前から知っていて、それまでずっと「おおいしでら」と読んでいたのに、正解はまさかの音読みだったでござるの巻。

外国人がグーグルマップを見たら、ローマ字(かその国の言語)で正しく表記されているから読み間違えることはない。
でも日本人だと、だからこそ迷ったり間違うことがある。
ただそのインドネシア人は地図上の田貫湖を見て、「『tanuki』って動物のたぬきのことですか?」というカン違いはした。

 

さてきょう12月27日は、外国人にも人気爆発の観光地・浅草寺の参道にある「仲見世」が生まれ変わった日だ。
“日本最古の商店街”とも言われる仲見世が誕生したのは江戸時代前期で、地元住民が浅草寺の境内や参道の清掃をする代わり、幕府から参道に店を出して営業する許可をもらったことが起源になっている。
(それは一説には1685年ごろ)
そして1885年の12月27日、レンガ造りのモダンな建物になって仲見世商店街が誕生した。

それは目出度いし、これからも愛でたい。
でも「浅草寺」の読み方がややこしい。

この寺のある地域の浅草なら「あさくさ」と読み、浅草寺だと「あさくさでら(じ)」ではなくて「せんそうじ」になる。
その理由は「大石寺」と同じで、中国から伝わった仏教に関するものは基本的に音読み(中国語発音)だから。
逆に日本生まれの神社には訓読みが多い。
だから、浅草寺のすぐ近くにある「浅草神社」の正しい読み方は、「せんそう」ではなくて「あさくさじんじゃ」になる。
(「せんそうじんじゃ」だと軍靴の足音が聞こえる人がいるかも。)

このニッチな情報にネットの反応は?

・ここのおみくじ凶の比率高すぎるだろ
・東京近隣に住んでなけりゃどうでもいいし知らんわな
・よく音声では「アサクサセンソウジ」って言う場合があるのがなんか草
・あさくさ寺だと臭いイメージ
・島もほとんど「~じま」って読むのになんで北海道のだけ「~とう」なん?

 

「お寺は音読み、神社は訓読み」というのは一つの目安であって、もちろん例外はある。
リトアニア人と京都旅行をしていたとき、「最後の文字が ジ ならお寺で、そうじゃないのは神社」と言ったら、清水寺で「ここは ジ じゃないから、ジンジャですね」とさわやかな笑顔で言われて困った。
まぁセイスイジ(聖水寺)なら意味的には間違いでもない。

鎌倉へ行ったときも長谷寺を見て、「ナガタニデラ?ナガタニジ?ハセデラ?ハセジ?」と悩んだけど、グーグルマップを見ていたタイ人にそんな迷いはない。
浅間神社は訓読みの「あさま」も、音読みの「せんげん」も正解だ。
ということで読み方に迷ったら、「中国由来のお寺は音読み、日本生まれの神社は訓読み」という基本ルールで判断して、正解はグーグルマップを見ている外国人に教えてもらえばいい。

 

 

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1 個のコメント

  • > 「中国由来のお寺は音読み、日本生まれの神社は訓読み」という基本ルールで判断して、

    その法則に従うのであれば、中国由来語も「外来語」の一種ですから、お寺関係の用語は全て「カタカナ」で書いてもいいような?
    と言うのも、元々、カタカナそのものが「お経の読み方を示す記号」から成立したものであるからです。お経はほとんど中国語つまり外国語なので、その読み方は「カタカナ」で示すのが(現在でも)当たり前と言えば当たり前でしょうか?
    ナンマンダブ、ナンマンダブ、・・・。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。