日米のジェンダーレス社会:ママタレと女子スポーツの公平

 

ロンドンから車で2~3時間のところに住んでいる知人のイギリス人が、小学校へ通う子どもの書類を書いていたとき、性別を記入する箇所に「男・女」のほか、そのどちらでもない「X」があって驚いたという。
いま世界はジェンダーレスの時代へ突入しているから、日本の学校もそのうちこうなるでしょ。

日本でも男女の性差や、性別の違いからくる”役割”に超敏感肌な人がいて、このまえも家具を売る店のCMで、居間でくつろぐ父親と子どもに母親がお菓子を持ってくるシーンを流すと、「家政婦扱いしている!性差別だ!」という声が上がってプチ炎上。
もちろん「いやいや、どこにでもいる普通の家族でしょ」と擁護の声も多数あったが。
でもこうなると父親が運んでも性差別で、子どもなら「虐待」と非難されるかも。
「フロ・メシ・ネル」の昭和がなつかしい。

 

ファミマの「お母さん食堂」さえ、”差別的”と問題視する人がいるのがいまの日本だ。
男と女、父と母の区別があいまいになるジェンダーレスの時代では、「ママタレ」にも、これまでとは違う光があてられているらしい。
CMで「ママ」を強調した場合、どんな反応がわき上がってくるか誰でも想像がつくから、需要よりリスク回避を選択する企業が出るのは必然。
実際、ママタレという言葉に批判がくることもあるし、テレビ番組で起用するには細心で最新の注意が必要になりそう。

いま進みつつあるジェンダーレス社会について、日本ではこんな状態なワケだが、“先進国”で浮上している問題はもっと深刻だ。

東京スポーツ(2021年12月28日)

米のトランスジェンダースイマーに抗議し審判辞任「すべての公正なものが破壊されている」

それまで男性として競技を行ってきた選手が、トランスジェンダー選手となって女子の大会に参加する。
するとぶっちぎりで優勝したり、圧倒的な新記録を樹立することがあるから、公平性をめぐっていま米社会で熱い議論がぶつかり合っているところ。

トランスジェンダーのリア選手が女子の大会に参加すると知って、米国水泳連盟に30年間勤務してきた役員のシンシア・ミレン氏が抗議して連盟を辞任した。
この人は近く行われる水泳大会で審判を務める予定だった。
「リアは神の子であり、大切な人です」と選手は擁護するこのベテラン役員は、

「私は生物学的な男性が女性と競争することを認めるスポーツには、もう参加できない、と仲間たちに言いました。水泳に関するすべての公正なものが破壊されている」

と主張したという。
水泳だけなくて、いろんな女子スポーツでいまこの問題が話題になっている。
これはもうすぐ日本の問題にもなると思われるが、とりあえずネット民はこう思った。

・トランスジェンダー部門つくれよ
・男女分け自体やめたらいい
・将棋ですら男女差あるからなぁ
・男女関係なく同じ土俵で競い合うスポーツってモータースポーツくらい?
・女性とフリーで分けるべきなんだよな
・多様性ゴリ押しした結果よ
・観てる側からしてもシラケてしまって面白くないし、女性競技の衰退に繋がるよ

「平等」は差別に対して強くても、権利や公平とぶつかると解決がむずかしい。
これからのジェンダーレス時代には、そんな問題が山ほど起こるはず。

 

 

宗教 「目次」

アメリカ 「目次」

【ジェンダー配慮】He や She ではなく、性的中立の「they」

日本のポリコレ②「お母さん」が”差別用語”になる時代

外国人「独とか蒙古って漢字は差別だろ?」、日本人「えっ?」

英会話を学ぼう㊿英語テーマ:ヴォーグでの日本人への人種差別

メリークリスマスが言えないアメリカ。多文化社会という特徴。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。