きょう2月16日は「寒天の日」。
2005年のこの日、テレビ番組で寒天が健康食品として紹介されて大ブームになったこと、寒天はこの時期によく作られることから、日本一の寒天の産地である長野県でこの記念日が決められたとか。
そして寒天の日の2日前はチョコの日。
バレンタインデーのこの日は世界中でチョコが大量消費されから、たくさんのガナッシュも作られて食べられたはず。
さて東の寒天と西のガナッシュ、この2つにはお菓子ということの他に「セレンディピティ(serendipity)」という共通点があるのをご存知だろうか?
それがこれからのお話ですよ。
「寒い空」という意味を持つ寒天は、まさにいまのような冬に偶然生まれた。
そう。これはねらって作ったのではなくて、ホントにたまたまできたのだ。
寒天もトコロテンもテングサやオゴノリとかの海藻を、ゆでて煮溶かして作る点ではまったく同じでも、先に生まれたのはトコロテンだ。
正倉院の書物に「心天」という文字があるから、奈良時代には食べられていたらしい。
ちなみに海にある植物で根・茎・葉の部分の区別ができるものが「海草」で、根・茎・葉の区別がはっきりしていないのが「海藻」だ。
アオノリ、コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズク、テングサなどは海藻だから、日常生活でよく見るものは海藻と考えてヨシ。
江戸時代、いまの京都市伏見区で「美濃屋」という旅館を経営していた太郎左衛門という男がいた。
あるとき彼は客に出して余ったトコロテンを外に出して置いた(たぶん捨てた)ところ、それが凍った状態になっているのを見つける。
すっかり水分がなくなって固まったトコロテンを見て、太郎左衞門はそれからまたトコロテンを作ってみようと考えた。
それで「元トコロテン」をお湯に入れて溶かしてみたところ、普通のトコロテンよりも透明で美しく、臭みのないバージョンアップしたモノができたのだ。
お寺にいた中国人の僧・隠元禅師に食べてもらったところ、これは海藻から作られたもので肉食を禁止されている仏教僧でも口に入れることができると、隠元に気に入られて「寒天」と名前を付けてもらったという。
日持ちする寒天は遠くに運ぶのに便利だから、このあと全国で食べられるようになる。
*寒天の誕生話は他にもあるけど、よく言われるのがこの説だ。
トコロテンは海藻を煮溶かして固めたもので、寒天はそのトコロテンを冷たく乾燥(フリーズドライ)させたもの。
「海なし県」の長野県が日本一の寒天どころになっている理由は、冬がとても寒いからトコロテンを簡単に凍らせることができるためだとか。
トコロテンを外に出しといたことが寒天の発見につながった。
こんなふうに、予想外の偶然から生まれる発見や幸せをセレンディピティ(serendipity)という。
ニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついたし、フレミングは実験で間違ってアオカビを混入させたことで、抗生物質のペニシリンを見つけた。
世紀の大発見は「たまたま偶然」がけっこう多い。
寒天氷もち
画像:Nightshadow28
チョコレートに生クリームを入れて作るガナッシュも、たまたま生まれたもの。
19世紀のフランス・パリで、チョコレートを作っていた見習いの菓子職人が、パワハラな職場だったせいかそれとも天然なのか、溶かしたチョコレートの中に間違ってミルクを入れてしまった。
それを見た親方シェフが「ガナッシュ(役立たず)!」と怒鳴りつける。
でもこの失敗作を口に入れると、ビックリするほど美味しいじゃないですか!
それでこのペースト状のチョコは、「ガナッシュ」と呼ばれるようになったという。
そんな話がゴディバの公式ホームページ「チョコレートの文化と歴史」に書いてある。
ということで東西のスイーツの横綱(か?)、寒天とガナッシュは偶然から生まれたセレンディピティだった。
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