スラブ語で「辺境」や「国境地方」を意味するウクライナ。
そこへロシア軍が攻め込んで数日たったいま、話題になってる動画がある。
機関銃で武装したロシア兵にふだん着の女性が近づいて、「お前たちは何をしにわたしたちの国へ来た?」と詰め寄ると、「話しても意味はない。これ以上、状況を悪化させたくないんだ」と軍人は動揺する。
女性はそんな兵士に、「このヒマワリのタネをポケットに入れておけ。おまえが死ねば、そこから花が咲くだろうから」と迫る。
ヒマワリはロシアの国花だ。
この他にもウクライナ市民に捕まり、罵声を浴びせられ頭を抱えるロシア兵とか、ロシア軍の士気の低さを示すような動画がいくつもある。
上のように、市民の“尋問”を受けたロシア兵が「exercise(軍の演習)としてここに送られた」と答える動画もある。
「Shock Russian soldier “I thought it was an exercise」で検索すれば出てくるはずだ。
ロシア軍が苦戦している(=ウクライナが善戦している)理由の一つに、「お前えらは何をしに来た?」と迫る市民にひるむ兵士が象徴するように戦意の違いがある。
母国を死守するウクライナ軍の士気はとても高く、命をかえりみない防戦を続けているし、その徹底抗戦に参加する市民も多い。
日本経済新聞(2022年2月26日)
ウクライナが予想外の善戦をしているのは間違いない。
背景にはウクライナの軍人や市民とロシア兵との士気の差もある。ロシア軍の侵攻に対する怒りは市民に広がっており、キエフにとどまる市民は自警団を作り武装し始めた。キエフ市街戦、ウクライナ決死の防戦 兵の士気高く
ロシア軍の戦意の低さは産経新聞も指摘している。(2/27)
「ロシア兵への詰問」動画、SNSで拡散 士気の低さも示唆
韓国メディアの中央日報もこう報じた。(2022.02.28)
13万人志願入隊、ウクライナが決死抗戦…ロシア軍は予想外の苦戦
だだ下がりの士気を高めるためか、プーチン大統領は27日に、ロシア軍兵士へ感謝の気持ちを表明するビデオメッセージを公開した。
ここ数か月のウクライナとロシアの状況を考えれば、銃を持って戦車で都市に入れば、これはエクササイズではなく戦争で、ここが戦場だと誰だって分かるはずだ。
だから、「演習としてここに送られた」というロシア兵の言い訳はウソにきまってる。
と思ってました、つい最近までは。
1991年にソ連と戦って独立を成しとげて、地理的にも心情的にもウクライナに近いリトアニア人から、昨日こんなメッセージをもらった。
「according to the trusted sources, the captured soldiers were told that they are going to a training and once they reached Ukraine borders, their captains said that if you won’t go to war now, it will be treason and you will be sentenced to death because of that. And the troops are mainly young men, around 18-20 years old.
Probably one of the reasons why Russia is loosing this war.」
信頼できる情報筋によると、捕虜になった兵士たちは訓練に行くと言われたのに、ウクライナの国境に着くと、隊長から「これから戦争に行く。もし拒否する者がいたら、それは反逆罪になって死刑を宣告されるだろう」と言われた。
隊員は18~20歳くらいの若い男性が中心だ。
ロシアがこの戦争で負けている理由の1つがこれだろう。
ウソでも何でもウクライナへ連れて来られたら、兵士がもう「いやだ!ロシアに帰る!」なんて言えるわけがない。
ロシア軍が苦戦していることや、兵士の戦意が不自然なほど低いことは間違いない。
そのワケは本当にこれかもしれない。
戦争なんてしたくなかったのに拒否権がなくて巻き込まれた兵士は、プーチン大統領の被害者でもある。
「ここに何しに来た?」と迫られたロシア兵もその1人かも。
ただ、ロシアとウクライナの軍事力の違いを客観的にみれば、ロシアの方が圧倒的に上で米CNNは「ダビテとゴリアテの戦争レベル」と表現した。
*ちょうどいま中央日報のこんな記事を見つけました。(2022.02.28)
「プーチンにだまされた、訓練だと思っていた」 ウクライナに捕えられた20歳ロシア軍人の絶叫
最近、ウクライナは死亡したり、捕虜となったロシア兵を検索できるウェブサイトを開設した。
ロシア兵の家族を支援することが目的というが、ロシア人に心理的なゆさぶりをかけて厭戦気分を盛り上げるねらいがあると思われ。
命の“選別”・トリアージとは?その歴史や日本での訴訟事例など
ロシア兵の士気は上がらず、ウクライナは予想外に善戦しているのは間違いない。ですが現実には、ロシアの戦力は圧倒的であり、ウクライナがこれに善戦できているのも西側諸国からの莫大な武器援助あっての話です。最終的にどのような結末が待っているのかまだ分かりませんが、核戦争・世界大戦に結びつくことのないよう願います。ですが、プーチンだったら、それも厭わないでしょう。初期のナチス・ドイツを甘く見たことが結局は第二次世界大戦を招いたという歴史的事実に、欧米諸国はまだ学習していないのか?
ウクライナの人々を応援したいのだが、自分自身も日本国もできることはほとんどありません。せめて、支援募金だけは協力させていただきました。