【悪夢の気配】韓国の30年前の日本認識・李在明氏の日本観 

 

いまから30年ほど前、玉 麗玉(チョン・ヨオク)という人が著書『悲しい日本人』(金学文・訳、1994年出版)でこんなことを書いた。

「日本との精算されぬ過去を我々がそのままにしておけば、それは歴史に対する罪になる。」
「韓国人らしい率直さでもって、良心的に日本人に要求すべきことは要求すべきである。」

ただこの玉氏は日本に対して、かなり独特で厳しい見方をしている。
たとえば地下鉄に乗っていて、周囲にいた30人ほどの乗客を観察していると、「なんて日本女性はブスなんだろう」とつぶやいた自分に気づいたとこの本に書いている。
だからこの人の対日観は一般的な韓国人とは違う。
でも上の2つの内容は、韓国でもかなりの共感や支持を得られたはずだ。

いまさらこんな昔の言葉を非難するつもりはなく、30年前の韓国社会にあった空気や日本に対する見方を伝えたかっただけのこと。
問題はこのあと2015年に慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認して、日本から「心からのお詫び」と10億円の支援金を受け取ったにもかかわらず、それを無視して、いまでも日本に謝罪や反省、賠償を要求する人がいることだ。
しかも大統領選の有力候補で。

 

近ごろのアメリカは日韓関係をとても重視している。
国務省のランバート副次官補はあした決まる韓国の新しい大統領と、最優先で議論する課題に「日韓の正常化」を挙げた。

朝鮮日報(2022/02/16)

米高官「韓国の新しい大統領と韓日関係改善を調整」

アメリカの超重要な外交政策である「インド・太平洋戦略」を進めるうえで、最大の障害物は「日韓関係の悪化」とこの高官は考えている。
でもアメリカが「オマエラ仲良くしろよ!」と強く迫ることはなく、両国が「共同の利害に基づき自発的に関係を改善しなければならない」という。

そんなランバートさんに悲報がある。

共同通信(2/28)

早期に日韓首脳会談の用意 李候補、歴史問題で厳しい姿勢

大統領選挙は李在明(イ・ジェミョン)氏と尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の一騎打ちで、どちらかがあした次の韓国のリーダーになる。(はず)
日韓関係にとって望ましいのは尹氏の方で、李氏だと戦後最悪のいまの関係が、予測不可能な暗黒ゾーンに突入してしまう。

たとえば対日強硬をアピールする李氏は政見放送で、こんな独自の対日認識を示した。

「日本政府は日韓共同宣言に持続的に違反している。歪曲歴史教科書で教育し、独島を竹島と主張し、慰安婦を否定している」
「歴史法廷に時効は無い。戦争と人権に関わる問題はよりそうだ」

そして関係悪化の最大原因となっている元徴用工問題については、解決の責任を日本へ押し付けやがります。

「解決方法は日本政府が見いだすべきで、韓国政府に要求するのは正しくない」

この問題は1965年の請求権協定で韓国自身が「完全かつ最終的に解決」し、「いかなる主張もすることはできない」と確認して、日本はそれを信じて5億ドルというばく大な経済支援金を、かなり無理して捻出して全額キッチリ渡したのだ。
そしてその後、この約束が土台になって日韓関係が発展しいく。
それを2018年に、韓国最高裁が元徴用工訴訟で日本企業へ賠償を命じる判決を下し、この大事な合意をひっくり返したことで両国関係は急速に暗転していく。
日本との合意を破り、国際法に違反する状態を生み出したのは韓国側だ。
日本政府が韓国政府にこの問題の解決を求めるのは当然しごく。
にもかかわらず、文政権はこれまで日本の要求を無視してきたから、気づいたときには戦後最悪。

約束を破った側が守った側に問題の解決を求めるとか、日韓共同宣言に違反しているのは日本だとか、ここまで価値観の逆転した世界にいる李氏と話をしても、越えられない壁ととてつもない疲労感を感じて終わることは目に見えている。
李氏がこのままの認識なら。
「歪曲歴史教科書で教育し、慰安婦を否定している」と非難すれど、その具体的な中身はまったくなし。
「最終的な解決」を2回も確認してお金を受け取って、「いかなる主張もすることはできない」と約束したのに、今になって「歴史法廷に時効は無い」と言い出す人間とは天気の話ぐらいしかできない。

李氏が大統領になったら、歴史問題を蒸し返して日韓関係をどん底に落とした文政権の繰り返しになりそうだ。
それでいて自分が当選すれば、「すぐに日本の首相との首脳会談を推進し、包括的解決に向けた対話に乗り出す用意がある」と強調するも具体的なプランはない。
岸田首相は日本に納得できる解決案を韓国側が提示しない限り、首脳会談には応じないと何度も言っている。
李氏は日本や現実性を無視して、自分の言いたいことを一方的に言っているだけ。
これで問題が起これば、「韓国政府に解決を要求するのは正しくない」と言い出すことは見えている。
これでは、「日本との精算されぬ過去を我々がそのままにしておけば、それは歴史に対する罪になる。」と言っていた30年前と変わっていないか、むしろ退化している。
「なんて日本女性はブスなんだろう」と、つぶやかないだけマシなぐらいで。

 

一方、尹氏はこんな反日強硬の李氏を冷ややかに見ているから、日本としてはこちらが大統領になってくれるとまだ光がある。
米ワシントン・ポスト(WP)も対日関係を考えるなら尹氏がイチオシらしい。
中央日報(2022.03.08)

米WP「尹錫悦大統領候補、日本との関係で重要な変化が見えるだろう」

とはいえアメリカはもうサジを放り投げてるし、文政権が日韓の間に残した不信と傷はあまりにも深い。
だからあした李氏が大統領になって、上のことを有言実行するのなら、「日韓関係」と書いて「サヨウナラ」と読むようになるだろうし、尹氏がなっても関係をすぐに元どおりにすることはできないだろう。
どっちにしても、日韓の氷河&暗黒期はまだまだ続くと思っていい。

 

 

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5 件のコメント

  • 大統領選挙の結果、最悪は免れました。
    しかし、上記本文に書いたように、尹さんが日韓関係を一気に望ましい方向へ解決することはできない。
    私は韓日間の不和は韓国側に全面的に過ちがあると思いますが、ほとんどの韓国人はイ·ジェミョンさんと同じ考えを持っていますし、ユンさんの考えもあまり違わないと思います。
    それで相変らず韓日は近くて遠い関係で過ごさざるを得ないです。ひとつ肯定的なシグナルといえば、尹さんが基本的には韓日間、韓美間の関係を回復すべきだという考えを持っているということです。
    難しくても一つ一つ作っていかなければなりません。

  • ユンさんも日本の反省や謝罪を口にしています。
    日本政府には受け入れられないことですが、韓国ではこう言わないと大統領にはなれないでしょう。
    急に変わることはないですが、期待は持ちたいです。

  • “韓国ではこう言わないと大統領にはなれないでしょう。”—- そうです。
    重要なのは本人の本心だと思うんですが, 残念ながら、これまでの尹氏の行動を見ると、彼の意識(日本との近代史に対する)も左派のそれと全然違わないということです。

  • 日本の周囲には友好的関係とは言えない隣国がいっぱいあります。ロシア、中国、北朝鮮など。
    世界にだって、英国とアイルランド、米国とメキシコ、インドと中国、など対立を抱えた2国間関係ならばたくさんあります。その全てが武力紛争にまで至っているというわけじゃない。普段は通常の2国間関係です。

  • > “韓国ではこう言わないと大統領にはなれないでしょう。”—- そうです。

    もう一つ、付け加えるべきですね。
    「韓国ではこう言わないと、大統領には居続けられないでしょう」と。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。