【お断り】残念ながら、日本にもある外国人差別・排除

 

ロシアのウクライナ侵攻は許せん!
ダンコ抗議する!

という気持ちは分かる。が、だからといって、越えてはいけない一線や守るべきルールはある。
滋賀県長浜市にある宿泊施設がこのほどホームページに、「ロシアのウクライナ侵略に対して反対を表明します」と宣言したのはまだいいとして、

「ロシア人とベラルーシ人の今後一切の宿泊受け入れを停止します」

とまで書いてしまい、滋賀県から行政指導をくらってソッコーで削除した。
旅館業法で宿泊を禁止しているのは、伝染病にかかっていると認められる客や、風紀を乱す行為をする恐れがある客などで、国籍を理由に「宿泊拒否!」なんていったらそりゃ差別だ。

ネットでもあきれる人が続出。

・大暴走ワロタ
・パスポートを見なければロシア人なのかウクライナ人なのかわからないくせに
・ロビーに「ロシアは戦争をやめよ ウクライナに平和を」の表示でも掲げればいいんでね?
・ロシア人には何をしても良いって風潮が世界に広まってるね
・プーチンが嫌で逃げてきた人もいるだろうに
・政府と民間の区別がつかないど田舎はここですか?

 

まず人種差別が一切ない、ピュアな善人だけが住む夢のような国は地球上に存在してないし、日本もそのひとつだ。
ただ日本では、人を傷つけるような暴力的な人種差別行為は聞かない。
アメリカで肌の色が理由で射殺されるとか、ヨーロッパの国で街を歩いていたら、顔に塩酸をかけられるという事件というニュースは日本で見たことがない。

きょねんパリで日本人が顔に塩酸をかけられる事件が起きた。
その時、フランス在住の日本人が下の記事で「もともとフランスには、アジア人に対する差別というものは、特に表面化することはなくても、存在していました。」と書いた。(2021/02/18)

パリ17区で起こった日本人への塩酸襲撃事件で考えさせられること

 

さいわい日本でこういう事件はないが、不幸にして外国人を排除しようとする人が一部にいて、入り口に「日本人だけ」とか「外国人お断り」と書いた看板を平気で置く店がある。
世界中の外国人が参考にする英語版ウィキペデアでも、これが日本にある差別の具体例として紹介されている。

A significant number of apartments, and some motels, night clubs, brothels, sex parlours and public baths in Japan have put up signs stating that foreigners are not allowed, or that they must be accompanied by a Japanese person to enter.

Racism in Japan 

 

日本ではかなりの数のアパート、それと一部のモーテル、ナイトクラブ、風俗店、銭湯などで、外国人の立ち入りを禁止する、または日本人の同伴が必要であるという看板が設置されている。

…とウィキベテアには書いてあるんだが、個人的にはそんな看板を見たことは1度もない。
ネットでたまに見かけるけど、「A significant number of apartments」はさすがに盛り過ぎだろう。
でも、コロナ禍がひどかった2年前、入店を拒否された外国人がネットでそれを告発しているのをちょくちょく見たし、どうも日本人は「外国人お断り」のハードルが低いように思う。

全国でみれば「外国人お断り」のカンバンは例外中の例外で、遭遇率は「はぐれメタル」より低いと思われる。
でも、ウィキペデアにこう書いてあったら、外国人はそのまま信じて日本をそういう国だと思うだろう。
いまの時代、人種差別(Racism)の風評被害は致命的だ。
せっかく有名人から一般人まで、いろんな人が日本のイメージアップに貢献しているのに、「外国人お断り」にはその努力を粉砕する威力がある。
もうこんな看板や言葉や、そもそも外国人を排除する発想はこの国からなくさないといけない。

 

 

一言で、打ち切り&解雇。米の人種差別意識に日本人もビックリ

浜ちゃんの”黒メーク騒動”。日本と欧米の人種差別意識の違い。

人種と民族の違い。黒人の日本人(民族)がいて「ふつう」の時代

日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

黒人の人種差別問題⑥アメリカの「奇妙な果実」って知ってる?

アメリカ 「目次」

 

4 件のコメント

  • > ネットでたまに見かけるけど、「A significant number of apartments」はさすがに盛り過ぎだろう。

    ま、おそらく「反日活動にいそしむ一部の国の人」によるものでしょうね。ネット上で「ときどき見かける」というふうに定期的に投稿されているらしいから、それこそが証拠です。

  • 三島由紀夫「日本人には威張り、外国人にはヘイコラするというのが、明治(建国)初年の通訳から、戦後占領時代の一部日本人にいたる伝統的な精神態度でありました。 これが一ぺん裏返しになると、外国人を敵視し、ヒステリックな症状を呈し、日本を世界の中心、絶対不敗の神の国と考える妄想に発展します。」

    出典:「不道徳教育講座」(1960年)

  • ヘアカット専門店を経営していますが、海外の方には非常に手を焼いています。
    もちろん、「外国人お断り」とは謳っていませんが、日本語、英語でコミュニケーションが取れない方はお断りの貼り紙を貼っています。
    コミュニケーションが取れなければオーダーは取れませんし、身振り手振りにも限界があります。
    また刃物を使う商売ですし、切り過ぎれば取り返しがつかない為、勘でというわけにもいきません。
    多いのが、英語も日本語も全く通じず、ふんぞり帰って「とにかくやれっ!」とジェスチャーするお客様、店のシステム(サービス内容)を無視したサービスを要求し、話が通じないまま激情する方です。
    このような事が続いていると、従業員も嫌になって辞めてしまい、営業さえ厳しくなります。
    実際に経営して実害があれば、「外国人お断り」を張り出す気持ちはよく分かりますし、自分の店でも海外の方は来てもらわなくて結構と思ってます。
    差別と言いますが、実際に貼り出した宿泊業の方々の実害を理解し、死活問題を認識した上での話なのでしょうか?
    極論で例えると、貴方が経営している店にアフリカ民族の方が毎日大勢来たとして「外国人お断り」と考えませんか?
    私には第三者の立場からの無責任な評論にしか見えません。

  • 現場からの貴重な意見をありがとうございます。
    「外国人お断り」の背景・理由は人種差別的なものから、経営(家族や従業員)を守るためのものなどいろいろあると思います。

    日本は法治国家なので、社会的なOK/NGは最終的には裁判所が判断することになります。
    伝染病など合理的な理由があれば「入店お断り」は問題ナシですが、外国人を理由にしたものはまず間違いなくアウトでしょう。
    言語を理由した場合を裁判所がどう判断するかは分かりません。
    この記事では全体的な傾向について書きました。
    いまの日本はこの問題にはかなり厳しい視線を向けているように感じます。

    https://www.asahi.com/articles/ASN625RXVN4WUTIL020.html

    ただ同じ「外国人お断り」でも、外国人への差別感情がある場合とない場合を同一視することはできません。
    代替案なしに叩くだけでは無責任で、「ではどうするのか?」の具体例や案を出すのは行政の仕事でしょう。
    そのためにも現場の立場から声を上げることは大事だと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。