負の連鎖:流出(盗作)イチゴで韓国紙「日本を追い出した」

 

日本のグーグルやヤフーに「韓国 イチゴ」と入力して検索すると、関連キーワードに「美味しい」や「値段」よりも先に、「パクリ」「盗む」といったネガティブな単語が出てくる。

農林水産省が数年前、日本のイチゴが韓国へ流出し無断栽培されたことで、5年間で最大220億円の損失を受けたと発表して話題になった。
日本へ高額のロイヤリティを払いたくなかった韓国は、日本産イチゴの『章姫』と『レッドパール』を掛け合わせて『ソルヒャン(雪香)』という品種を生み出す。(これは違法行為ではない)
これだと“国産”を主張できるから、日本に年間10億円以上のロイヤルティを支払わずに済む。
日本イチゴを両親にもつソルヒャンはたしかに美味しくて人気も高く、アジア各国へ輸出してかなりの利益を韓国にもたらしている。
でも日本のイチゴ関係者にとっては、ロイヤリティは入ってこないし、韓国やアジアへの輸出の機会を失ったりとまさに踏んだり蹴ったり。
日本イチゴが敵になったようなものだから、これに勝つのはむずかしい。

この問題には国民の関心も高く、以前からいろいろなメディアが記事で伝えている。
たとえばこれはデイリー新潮(2018年03月03日)

韓国の盗作イチゴ、日本の被害額は220億円… 農林水産相も指摘

イチゴが「流出した」か「盗まれた」と表現するかは、その人の考え方や立場によって違うけど、同じ事象を指している。
*ネットでたまに見る「韓国人が日本からイチゴの苗を盗み出した」というのは事実ではない。

この問題についてはウィキペデアで項目まで作られているし、日本人に韓国への悪印象を与えたことは間違いない。

2006年の日本の韓国産イチゴの輸入量は2001年に比較して12%まで減少した。その後、事件の余波もあり2016年時点は1%程度にまで落ちている。

韓国における日本産品種の無断栽培問題 

 

この流出問題は、韓国だけを一方的に責めればいいというコトでもなく、日本側にも知的財産の意識が低かったとか、法整備が遅れていたとかの反省点はある。
イチゴで痛い目にあったから、いまはもう「流出・無断栽培させない体制」ができているとは思う。
これは日韓関係に負の影響を与える地雷だから、なるべく触れないでほしいところなのに、韓国では全国紙がこんな「上から目線」の報道をするから、日本では嫌韓ムードが広がってしまう。

ハンギョレ新聞(2018-12-05)

日本産を追い出した“韓国産イチゴ”…“イチゴ韓流”狙う

聯合ニュース(2018.03.07)

カーリング女子日本代表もほめた韓国イチゴ 国産普及率93%に

中央日報(2020.12.03)

韓経:「日本を完全に抜いた」…韓国のイチゴが書いた逆転ドラマ

このテーマは韓国でかなり読者受けがいいらしい。
つい先日も朝鮮日報がこんな記事を載せていた。(2022/04/17)

日本の品種を追い出して光復、大韓イチゴ万歳!

韓国の市場で80%を占めていた日本の品種を『ソルヒャン』が追い出すことに成功し、イチゴの国産化率は約96%に上昇したという。
また2012年には約27億4000万円だった輸出が、2021年には約77億6000万円に爆上がりした。
このソルヒャンは、日本イチゴから作られた品種というのはさっき書いたとおり。
「光復」とは、日本に統治されていた韓国が1945年に主権を回復した(独立した)ことを指す用語で、この場合は「事実上の『種子独立』を成し遂げたイチゴ」のことをいうらしい。
韓国紙のいう「事実上」のウラにはたいてい闇がある。

 

韓国では日本の影響を否定的に捉えているから、それを削除することはよくあって、日本語はよくそのターゲットにされる。
朝鮮日報(2022/01/05)

韓国法務省、法律用語の難しい漢字語・日本語式表現を韓国語に改正

言葉のほかにもことしの春には、全土にある日本の桜を引き抜いて、韓国のサクラ「王桜」を植えようとするキャンペーンが始まった。
それなら一度、韓国にある日本に由来するイチゴをすべて消滅させて、独力でオリジナル・イチゴを作ればいい。
…ということがムリなのは知ってる。
ならせめて、「流出イチゴ」や「盗作イチゴ」でもって、「日本を追い出してた、大韓イチゴ万歳!」といった煽り記事を書くのをやめてほしい。
でないと「韓国 イチゴ」と入れると、「パクリ」「盗む」というワードが出てきて、その理由を調べた日本人をイラっとさせる状況は終わらない。
これは日韓関係にとって負の連鎖しか生まない。
こんなことで勝ち誇っていると、回り回って韓国にも手痛いブーメランになる。

 

 

【文化強国の韓国】“品格”を気にするなら、日本に仏像を返そう

旅㉑おにぎりをめぐる日本と中国・韓国の食文化のちがい

満州の旅②東南アジアのルーズな時間感覚!ゴムのようにのびる。

満州の旅⑦空港でビックリ!平気で下着を見せる中国人女性

満州の旅⑧中国の「ニーハオ(你好)トイレ」入門編 ~知る~

中国を知ろう! 「目次」 ②

「旅」カテゴリー目次 ②

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。