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今の慰安婦像の問題では、日本はかなり強気に出ている。
産経新聞の記事(2017年1月7日)から。
対抗措置の背景はこれだ 日本政府「反日無罪」許さず 日韓合意の道徳的優位で韓国の合意不履行を世界に発信
日韓合意に基づく義務を韓国側が果たしていないことを印象づけることで、国際世論の支持を得られるとの計算がある。年内の韓国次期大統領選も見据え、安易な「反日無罪」はもう通用しないとくぎを刺したい考えだ。
残念なことに、「日本に対してなら、何をやっても許される」という雰囲気が韓国にはある。
韓国の法に反しているにもかかわらず慰安婦像を建ててしまった背景には、こんな「反日無罪」の空気があったはず。
慰安婦像そのものより、「反日なら、違法行為が認められてしまう」という韓国社会の空気に注目してもいい。
「反日無罪」や「愛国無罪」の雰囲気がなくならないままなら、今回の問題が解決してもまた別の問題が出てくるだけ。
反日無罪
中国や韓国などで日本国、日本人、日本の組織に対して利益を害する行為を行った者が罪に問われない(あるいはごく軽い刑に処される程度)ことを指して「反日無罪」と呼ぶマスメディアもある。
(ウィキペディア)
前回の記事で韓国の歴史教科書(中学)から引用したときに下の地図をのせた。
この地図をもう一回、よ~く見てください。
地図の上の方にある「中共軍不法介入」という言葉に注目。
画像は「韓国の中学校歴史教科書 明石書店」から。
中共軍とは「中国人民解放軍」のこと。
韓国の教科書では「中共軍」と書いている。
前にも書いたけど、朝鮮戦争の中国でのよび方を覚えてる?
北朝鮮を支援した中華人民共和国では抗美援朝戦争(「美」は中国語表記でアメリカの略)または朝鮮戦争と呼ばれている。
(ウィキペディア)
「抗美援朝戦争」というのは、「アメリカに対抗して、中国が北朝鮮を支援した戦争」ということなんだろう。
つまり中国は、朝鮮戦争をそんなふうに認識しているということ。
でも韓国は、中国の見方とはちがう。
韓国では、中国の行為は「不法」だと考えている。
もちろん、中国は北朝鮮への支援を不法だとは絶対に考えていない。
正しい行動だったと思っているはず。
朝鮮戦争の歴史認識については、韓国と中国とではまったく違う。
洛陽(中国)の食堂
それにしても、韓国では中学生の歴史教科書で「中共軍不法介入」という強い非難の言葉を使っていることに驚いた。
でも韓国は、中国にこの「不法行為」の反省と謝罪を求めたことがない。
日本に対してくり返しくり返し、何度も何度も歴史の反省と謝罪を求めているのに。
中共軍が「不法」に朝鮮戦争に介入してきたことによって、韓国のよる朝鮮半島の統一はできなかった。
韓国人の犠牲者もたくさん出た。
それでも韓国は、中国に心からの反省や謝罪を要求しない。
韓国は中国には優しい。
というか、弱い。
「中国軍の犠牲となった韓国人の像をつくろう!」なんてことを聞いたことがない。
ましてや、その像を中国大使館の前に建てるなんて絶対にしないはず。
中国と日本とでは、韓国に対してやったことは違う。
でも、韓国の日中への反応の違いは、「やったこと」よりも「やった国」の違いによるところが大きいだろう。
中国にはしないことでも、日本にならする。
そんなことだから、「反日無罪」という言葉が生まれてしまう。
「反中無罪」なんて言葉は聞いたことがない。
韓国人はそんな行動をしないから。
中国を怒らせたらどんなひどい目にあうか、韓国人は分かっているから。
日本と韓国には歴史認識の違いがあって、それが問題となることが多い。
今回の慰安婦像の問題もそのひとつ。
でも韓国は、中国とも歴史認識の違いから生まれる問題をかかえている。
そのひとつに、「東北工程(とうほくこうてい)」がある。
「東北工程」とは、「東北辺疆歴史与現状系列研究工程」の略称のこと。
これは、「中国東北部(旧満州)の歴史研究を目的とする中華人民共和国の国家プロジェクト(ウィキペディア)」というもの。
中国と韓国とでは歴史認識が違う。
「高句麗は韓国のものか?それとも中国のものか?」という点での考え方が違うため、中韓でもめていた。
その中で高句麗と渤海(百済や新羅も含まれることがある)を中国史の地方政権とした扱いに対して、韓国国内で激しい抗議が発生し、2006年には中韓間の外交問題に発展した。
(ウィキペディア)
韓国はこう主張する。
「高句麗と渤海は韓国のものだから韓国の歴史だ!」
でも中国はこう言う。
「高句麗と渤海は『中国の地方』だから、中国史になる!」
ボクは高校の世界史の授業で、「高句麗は韓国の歴史」と教わった。
だから今でもそういう認識でいる。
日本では一般的に、「高句麗は韓国史の一部」と思われているはず。
でも今のボクには中国と韓国のどちらが正しいのか、ようわからん。
だから、「高句麗は中国のものか?韓国のものか?」という議論は置いておく。
それより興味があったのは、韓国は歴史認識の違いから「中国にも強く抗議するのか?」ということ。
日本に対しては強い態度で出るように、韓国は中国にも同じ姿勢でのぞむのだろうか?
中国東北部(満州)には、明治時代に日本人が建てた建物がそのまま残っている。
愛知県の明治村よりも明治時代を感じることができる。
これは瀋陽(中国)の博物館にあったもの。
「高句麗は中国の一部」と説明しているらしい。
このときにいた中国人ガイドも、「高句麗は中国の地方政権の1つです。韓国の主張は間違っています」とハッキリ言っていた。
上の説明文を見て、「これは日本だったらないだろうなあ」と思った。
日本の大都市の博物館なら、韓国政府を怒らせるような展示はしないだろう。
しかもこの中国の博物館では、「ただし、韓国はこう主張している」と韓国側の意見を書いてはいない。
韓国の主張を完全に無視している。
東北工程のことを知りたかったから、大連で別の中国人ガイドにも話を聞いてみた。
その女性も、こうキッパリと言う。
「韓国は間違ってます。韓国人は歴史を知りませんから」
中国人はもともと遠慮や配慮というものをしない人たちだ。
「中国人は本音でものを言う」ということは知っていた。
でも、中国人が韓国との歴史認識の違いについて話すときは、すべて断定した言い方をしていたから驚いた。
「~だと思います」「~と中国は考えています」という控えめな言い方はしない。「中国が正しいです」「韓国は間違っています」と言い切っていた。
この山城は高句麗の遺跡
ある韓国人の旅行者がこの山で、「高句麗はわれらの領土」と書いた紙を持って記念撮影をした。
そのことで中国の警察に捕まってしまったという。
でも、すぐに解放されたらしいけど。
韓国人の旅行者が日本で「独島(竹島)はわれらの領土」という紙と一緒に写真を撮ったとする。
そのことで日本の警察が彼を逮捕されたら、韓国は大騒ぎするはず。
やっぱり韓国は中国には優しい。
というか弱い。
逆に言えば中国は韓国に強い。
今の韓国は東北工程という「歴史わい曲」についてどう考えているのか?
韓国側が黙っていることで、問題化してはいないらしい。
結果的に「学術討論で解決していき、政治問題としない」との合意で政府レベルではひとまず沈静化しているが、韓国メディアが「潜伏状態」と表現する通り、民間レベルや歴史教育の分野ではしばしば問題となり、両国間の潜在的な懸案となっている。
(ウィキペディア)
でも、日本が相手だったら違う。
韓国は日本と歴史認識が違ったときには、マスコミも政府も一体となって猛烈に抗議する。
韓国が日本に対して、「潜伏状態」と口を閉じることはない。
日本にはそんな配慮をしてくれない。
中国旅行で知ったことや東北工程での韓国の対応を考えると、「韓国は相手が日本か中国かで、態度がまったく違う」としか思えない。
韓国は日本には強く出るけど、中国には弱い。
これは、大同の雲崗石窟(うんこうせっくつ)にあった仏像。
この仏像は韓服のような服を身に着けている。
「なんでこの仏像は、韓服を着ているんだろう?」
そんな疑問を持ったから中国人ガイドに聞いてみた。
そのことは次回に。
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