5月13日はカクテルの日。
ビールやワインなどのお酒をそのまま飲むんじゃなくて、別のお酒や飲み物なんかを混ぜてつくる飲み物がカクテル。
モスコミュールやマティーニなんかは有名だけど、サワーやチューハイもカクテルに分類されることは案外知られてないかも。
こういうアルコール飲料を飲むことができないのがイスラム教徒で、その理由は聖書のクルアーン(コーラン)にこんな言葉があるから。
悪魔は酒と賭け矢によっておまえたちの間に敵意と憎しみを惹き起こし、おまえたちをアッラーの唱念と礼拝から逸らそうとしているにほかならない。
クルアーンに書いてあるから、イスラム教徒にお酒はNGということは知ってたけど、「ウェットティッシュもノンアルコールでないと使えません。」とインドネシア人のイスラム教徒に言われたときは驚いた。
といっても、平気でアルコールタイプを使うイスラム教徒もいたし、このへんの判断は人による。
日本では聖徳太子がいた7世紀、いまのサウジアラビアでイスラム教が誕生したこともあって、中東ではこの宗教の影響が特に強い。
だからエジプトでは、「お酒はお避けなさい」なんてイメージがあったんだが、エジプトを旅行しているとき、「ここでは昔から酒があって、ピラミッドを建てた労働者もビールを飲んでいたんだぜ」という話をエジプト人から聞いて目からウロコが落ちた感。
現在と違って、イスラム前の中東はアルコール飲料の先進地域だった。
数千年前の古代メソポタミア、エジプト文明の時代には、ビールやワインがよく飲まれていたし(たぶん起源もこの地域)、古代エジプトにはビールにハチミツを加えた原始的なカクテルもあったという。
中東の国の中でもトルコは異質で、簡単にお酒が手に入る。
「ラク」という蒸留酒はトルコの名物でそこらの店で売っていたし、宿のトルコ人からも勧められた。
イスラム圏で酒をすすめられるというのは完全な予想外。
なんでここではアルコールにゆるいのかトルコ人に聞くと、「イスラム教ではお酒を禁止していないから」と目からウロコどころか、それまでのイスラム教の認識がひっくり返るような驚天動地なことを言われた。
そのトルコ人の説明では、クルアーンにはお酒を飲むことで神や礼拝を忘れてはいけないと書いてあるから、そこまで酔っ払ってはいけないというだけで、飲酒そのものは禁止していない。
でもバングラデシュ人やインドネシア人のイスラム教徒に聞くと、やっぱりイスラム教では飲酒は厳禁されていると言う。
調べてみるとオスマン・トルコ帝国で優勢だったイスラム教の一派、ハナフィー派は飲酒を大目にみていたし、いまのトルコにあるアレヴィー派も飲酒を合法にしている。
日本にいるインテリのトルコ人に聞くと、地理的・伝統的にヨーロッパの影響を受けてきたり、20世紀初めに「脱イスラム教」の革命が起きたりして、トルコはほかのイスラム圏の国と違って飲酒はかなり認められている。
そのトルコ人の父親はふだんはビールやワインを飲んでいて、イスラムの聖なる月「ラマダン月」になるとその1カ月間は禁酒するらしい。
イスラム教では飲酒は禁止されている、ということは基本的に正しいけれど、トルコのような例外もある。
アルコールタイプのウェットティッシュと同じで、同じイスラム教徒でも行動基準は人や地域によって違う。
だからトルコで「カクテルの日」にキャンペーンが行われていても、もはや驚かない。
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