【台湾人がみた日本】困ること・同じや違い・火事と火災

 

東京で働いている台湾人と、その知り合いでことし3月に来日して、いまは日本語学校に通っている2人の台湾人とゴールデンウイークにハイキングに行ってきた。
ということで今回は、そのとき3人から聞いた話の内容をシェアしようと思う。

 

〇日本で感じた台湾との違い。

・日本ではよく体が冷える。
レストランではサービスとして氷水をよく出してくれるけど、台湾人の自分たちには常温や熱い飲み物の方がうれしい。
だから日本へ来てから、問答無用で冷たい水を提供されることが多くて、身体が凍えるような思いをよくしてけっこう困った。

・昼寝
台湾では学校でも職場でも、昼の休憩中に寝る。
台湾で働いていたときは、昼休みに職場で自分の机の上に枕を置いて寝ていた。
日本の会社ではそれが許されないのが残念無念。
途中で休憩をはさんだほうが、仕事の効率は上がると思う。

 

 

〇日本と台湾の似てるトコ

・自然
上の景色を見て、海と山が近くて台湾と日本の自然は似ていると言う。
(沖縄より南にある台湾は、キホン常夏で似てるけど同じではない)
春には桜が咲いて、そのあとツツジが咲くのも日本とソックリ。
でも、台湾のツツジは山にあるけど、日本では街中で見ることができるところが違う。

 

山頂からは清水の名勝地「三保の松原」が見えた。

 

・富士山とちびまる子ちゃん

日台はとても近いし台湾人は日本が大好きだから、いろんな情報がすぐ伝わってくる。
「富士山は日本にある」ではなくて「静岡県にある」と知っている人は多いし、静岡と聞いて「まる子のふるさと」と連想する人もよくいる。
「三保の松原」は初耳だけど、「ちびまる子ちゃん(台湾では”櫻桃小丸子”)」なら家族構成や友人の名前も分かる。
山頂から眺めて「あそこがまる子の生まれた場所か~」と感激する台湾人さんは、世界遺産の「三保の松原」はガン無視の模様。

*台湾では教育部(教育省)が小中学生向けの台湾語教育の教材として、「ちびまる子ちゃん」や「少年アシベ GO!GO!ゴマちゃん」を採用している。
教育部の特設サイト

 

〇日本と台湾の言葉

・「ぼったくり」
日本語の「ぼったくり」について話をしていたとき、台湾語ではどう言うか聞いたら「ぽうり」という。
*ボクの耳には「ぽうり」と聞こえた。
「ひょっとして」と思ったら、漢字だとやっぱり「暴利」だった。
「ぼったくり」の語源はこの暴利で、大正時代に米騒動が起きたころにできた言葉だから、当時は日本統治下にあった台湾にも伝わったかも。

日本の「ぼったくり」は、大正時代から。第一次世界大戦からの米騒動。

 

・火災

台湾語(中国語)では「火事」ではなくて、「火災」を使うという。
まえに日本語を学んでいる外国人から、

「火事と火災の違いってなんなんだ?英語にするとどっちも「fire」なんだが?」

と質問されて、その違いがワカランかったから、とりあえず死んだフリをしようかと思った。
燃えた規模や被害の違いではなさそう。
なのでそのときは個人的な感覚として、どっちも同じ意味だけど、「火災」はニュースや新聞で使うオフィシャルな言葉で、「火事」は会話で使うカジュアルな言葉と説明しとく。
でも今回、台湾人から「火災」はあっても「火事」はないと聞いたんで、前者は中国からきた言葉で、後者はもともと日本にあった言葉だろうと推測して、調べてみるとどうやらビンゴだ。
平安時代には「fire」を「ひのこと(火の事)」と言っていて、10世紀の蜻蛉日記にはこんな文がある。

「宵うちすぎてののしる。ひのことなりけり。いとちかしなどさわぐをきけば」

(よいを過ぎたころ大騒ぎになった。火事だという。とても近いですなどと(侍女たちが)騒いでいるのを聞くと)

たぶん「ひのこと」より「カジ」の方が短くて言いやすいから、火事が日本に定着したと思われ。
同時に中国語の「火災」も使っていたから、現代の日本人がこんがらがることになった。
ごせんぞー!
*ネットを見ると、「火事」とは火が出てモノが燃えることで、それによってケガ人や死者が出るといった災いが起こると「火災」になるという説明がある。
だとしたら、火災のスタートや前段階が火事になるから、ご先祖はそう区別していたのか。

 

・「狩り」

登山道を歩いていると、上の方から「ブ~ン」という機械音が聞こえてくる。
「あれは何の音ですか?」と聞く台湾人に、「山賊かな」というジョークが通じるとは思わなかったから、「草刈り機で草を切ってる音だよ」とマジレス。
これを日本語の「狩り」とカン違いした台湾人がこんなことを言う。

「日本では『イチゴ狩り』『紅葉狩り』というように、”狩る”という言葉を使います。でも、台湾で”狩る”は生き物に対してだけで、食べ物や植物には使いません。だから”フルーツ狩り”という表現には違和感がありますね」

言われてみれば「狩」は「ケモノへん」だし、もともとは獣・鳥・魚介類に浸かっていて、日本では独自に進化したのだろう。
台湾人と一緒にいると、ホント漢字や言葉の勉強になるわー。

 

 

台湾 「目次」 ①

台湾 「目次」 ②

日本を旅行した台湾人の話①違い・驚き・好き/嫌いなこと

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

台湾人、韓国の「反日」や「日帝残滓」を知って絶句する

 

1 個のコメント

  • > ネットを見ると、「火事」とは火が出てモノが燃えることで、それによってケガ人や死者が出るといった災いが起こると「火災」になるという説明がある。

    その通りです。つまり「火災」とは「災害」の一種なんです。これに対して「火事」は、そのような現象のことを言います。
    したがって、人的あるいは物的被害が出ているかどうか分からないけど、まずは表現しなければならない大変なできごととして「山火事」という単語が使われます。「山火災」とは言いませんよね。でも、山火事が起きた後になって、そのことを振り返って、災害の一つであったことを客観的に表す専門用語として「山林火災」という単語があるわけです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。