日本代表する祭・祇園祭 その歴史や目的、外国人の反応

 

大阪の天神祭、東京の神田祭とならぶ日本三大祭のひとつで、ユネスコ無形文化遺産にも登録されているのが京都の祇園祭
今回はこの日本を代表する祭の歴史や、外国人の感想を見ていこうか。

つい最近、日本に住んでいる外国人がこんなメッセージをSNSに投稿した。

「Summer in Japan is not just hot but humid, extra humid.」
(日本の夏は暑いだけでなく、湿度が高い。湿度がとんでもなく高い。)

7月は日本の夏が本気を出すころで、暑さや食べ物のせいで体調を崩す人がよく出てくる。
それで京都府は先日、食中毒注意報を発令して、食べ物は早く食べる、十分に火を通す、まな板や包丁などの消毒をよくするよう呼びかけた。

地球が温暖化する前で今ほどではなかったとしても、平安時代の日本もこの時期から、本格的な蒸し暑さがスタートしたに違いない。
平安京はもともと高温多湿だった地域で、たくさんの人が集中的に住んでいて、上水道も冷蔵庫もなかった昔は、夏になると感染症が流行して命を落とす人も多かった。
まだウイルスや細菌の存在を知らなかったころ、日本人は感染症の原因を悪霊や怨霊、疫病神など“怪異”のしわざと考えた。

それで869年に東北で地震が起きたり、全国で疫病が流行して多くの人が亡くなったとき、朝廷はそれを、怪異のしわざと考え、祇園神社の神である牛頭天王(=スサノオ)を祀り、御霊会(ごりょうえ)を行って無病息災を祈念した。
これが祇園祭の始まりと言われる。
その後、やがて夏が始まるころ、疫病封じや厄災の除去を願って、この御霊会が毎年おこなわれるようになる。
祇園祭の目的は、牛頭天王の怒りを鎮めるためとか、この神の力で悪霊を退散させるためとも言われている。
2019年には1150周年のお祝いがあった。
*明治時代に政府から神仏分離令がだされ、それまで比叡山に属していた祇園社が「八坂神社」になったとき、祇園御霊会や祇園会と呼ばれていたものが「祇園祭」へ改称された。

 

江戸時代に描かれた祇園会(祇園祭)のようす

 

7月1日の「吉符入」から31日の「疫神社夏越祭」の1ヶ月にわたって、いろんな神事や行事がおこわれる祇園祭のハイライトは、満場一致で「山鉾(やまぼこ)」と呼ばれる山車(屋台)の引き回しだ。(山鉾巡行)

 

 

コロナのせいで、2年連続で中止されていた京都の夏の風物詩・山鉾巡行がことし、3年ぶりに実施されることがきまって京都市民が歓喜した。
もう興奮しまくりで、夜しか眠れない人もいるはず。

この山鉾巡行が中止になったことは前にもあった。
「京都人が『この前の戦争』と言えば、それは応仁の乱を指す」なんて都市伝説で使われている応仁の乱が起きたときも、山鉾巡行はおこなわれなかった。
日本各地の守護大名が細川勝元をトップとする東軍と、山名宗全の率いる西軍の2つに分かれて争って、主戦場となった京都が焼け野原となったころは、さすがに祇園祭なんてムリ。
きょう7月3日は1500年に、応仁の乱で中断していた山鉾巡行が33年ぶりに復活した日だ。

 

中断期間があったとしても、約1200年もつづく伝統行事は世界でもなかなかないはず。
この日本を代表する祭を外国人はどう思うのか?

トリップアドバイザーの「Gion Matsuri」にある外国人のレビューを見ると、まず総合評価は5点満点中、4.5と高くてその内訳はこんな感じ。

Excellent:116
Very good:58
Average:9:
Poor:1
Terrible:1

では、外国人の感想を見ていこう。

・First time visiting the Gion festival. The festival itself was so exciting. So many beautiful floats pulled and carried by men. Wonderful experience.
初めて祇園祭に行きました。
祭はとてもエキサイティングでした。たくさんの美しい山車が男たちに引かれていました。
素晴らしい経験でした。

・Gion Matsuri really gives you the feeling of “Summer in Kyoto”. Every year at the Gion Matsuri, Kyoto was burning hot with high level of humidity, making everyone in the streets perspire with excitement.
祇園祭は本当に「京都の夏」を感じさせてくれます。毎年、祇園祭の日の京都は灼熱の暑さで湿度も高く、道行く人も汗だくになります。

*以下は日本語訳だけで。

・これは日本最大の伝統的なイベントの1つで、京都にある古いものをそのまま見ることができます。
・ほとんどの人は暑くて途中で帰ってしまいました。最後まで残っていたのは私たち3人だけです。
・夕方に行くのがおすすめ。夕日がきれいだから。
・海外からの観光客と思うけど、iPadで動画を撮るのはやめてほしい。後ろの人は全く見えない。

 

疫病を流行させる怨霊を鎮めることには成功しても、京都の地獄の暑さを封じることは今もムリらしい。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。