【安倍元首相 銃撃】日本を知るアメリカ人の反応・米の選挙活動 

 

先週の金曜日、奈良で応援演説をしていた安倍元首相が銃撃されて亡くなった。
国内の衝撃の大きさはここで書くまでもないとして、このあと2日後の日曜日、カルフォルニア州にいるアメリカ人女性と話をしたんで、今回はその人から聞いた話を中心に書いていこう。

そのアメリカ人は日本の中学校で3年ほど英語を教えていたから、日本の事情はよく知っている。
まずこの事件についてアメリカの反応を聞いたら、新聞やテレビなどすべてのメディアでトップニュースで伝えていたから、この事件は本当によく知られていると言う。
以下、彼女の話。

いまアメリカ社会で最も深刻で、全国民的な関心のある問題は銃によって人が死傷する事件。
日本はそうした悲劇がまず起こらない国だと、アメリカ・メディアが紹介することが多かったから、今回の事件には多くの人にとって衝撃的だった。
自分も日本にいて、銃のコントロールがとてもうまくいっている国で、銃犯罪がほとんどないことを知っているから、ニュースの見出しを見て、はじめはこんなことが起こる理由がまったく想像できなかった。
こうした事件が世界で最も起こらない国が日本だと思っていた。

 

 

自分の家族も事件の映像を見て、言葉をなくすほどビックリした。
オバマ、トランプ元大統領と同じレベルにいるような重要な政治家に、銃を持った人間がなんでこんなに近くにいるのか!
襲撃犯が安倍元首相のわずか数メートルにまで近づけたというのは、自分や両親や兄弟の常識では考えられない。
日本の選挙活動でよくある「街頭演説」は、アメリカでもどこかであるかもしれないけど、自分も家族も見たことがないから、少なくともアメリカでは一般的ではない。
アメリカの選挙活動でする演説というと、巨大なスタジアムを貸し切って数万人の支持者の前で行うものや、市役所のホールで百人ぐらいの有権者を相手にするといった形のもの。

(街頭演説がないとしたら、どうやって候補者の政策や考え方を知るのか?)
選挙の時期になると家に各候補者のパンフレットが届くし、アメリカの選挙活動は日本と違って個別訪問がOKだから、それで知ることができる。
電話がかかってくることも多い。
日本のような政見放送はなくて、各陣営がテレビCMの枠を買って宣伝をしたり、ライバル候補をこき下ろす。
最近ではネットに力を入れていて、ユーチューブ、Facebook、Twitter、インスタグラムでよく広告を見る。

 

 

なんでアメリカの選挙活動に街頭演説がないかというと、治安の問題もあるだろうけど、日本とは社会の構造が違っていてそれは効果的ではないから。
日本ではよく聞いた「街中」というエリアがアメリカにはない。
アメリカは車社会で、自宅から会社や学校までマイカーで行くから、日本では駅前で街頭演説をしているのを見たことあるけど、アメリカならあんなにたくさんの通行人はいないから意味がない。
プライベートでも自宅から車で、ショッピングモール、映画館、スポーツ観戦に行って戻ってくるから、浜松のように駅を中心に人が集まるような「街中」はない。

くわしいことは知らないけど、日米の選挙活動を比べると、日本では市民との距離感がすごく近いと感じる。
日本は安全だからそれで良かったのだろうけど、今回はそのウラをつかれた。
今回のような銃撃事件が何度も起これば別だけど、この一事で「日本の安全神話が崩壊した」とは思わない。

ということで知人のアメリカ人の見方だと、今回の悲劇の原因は警備の甘さに尽きる。
いまそう思う日本人は多いだろうし、この点は否定できない。
日本の治安はまだまだ世界トップクラスにあるのだろうけど、それを前提にすると思わぬミスも起こる。
これから日本の選挙活動はアメリカのように、セキュリティー重視で市民とは離れたものになる予感がする。

 

韓国のパク・クネ元大統領が今年3月に釈放されて、話をしているときに焼酎のビンが投げられた。
これぐらいの警備があのときにあったら…。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。