【デザートの話】パフェとトライフルの意味、サンデーは日曜日

 

きのう6月28日の「パフェ日」は、かなり強引なチカラ技でうまれた記念日。
1950年のこの日、日本のプロ野球で初めてパーフェクトゲーム(完全試合)が達成されたから、パフェの日となった。
な…何を言っているのか、わからねーと思うが、事実そうなった。
デザートのパフェは「完全な(デザート)」を意味するフランス語(parfait)に由来する日本語で、それと野球の偉業をからめて「パフェの日」がつくったという、イタリア人男性もビックリの強引さ。

フランスで誕生したパフェが日本で進化して、全国のスイーツ男子・女子を魅了するこんなパフェが出来上がったという。

 

 

だがしかし、日本ではパフェによく似たサンデーやトライフルってデザートもある。
中身はアイスクリーム、フルーツ、いちごやチョコのソース、生クリームなどで、どれも大体同じで見た目もあまり変わらない。

ではこの3つの違いは何か?
ってのが今回のお題だ。

 

 

結論から言うとパフェとサンデーに明確な違いはなくて、提供する企業が商品の名称をきめている。

パフェには具材がたくさんあって細長い容器が使われている一方、サンデーは丸い容器で中身が少なく、値段はサンデーよりパフェのほうが高いというイメージがあると思う。
そういうレストランは多いけど、デニーズの「デザート」を見るとサンデーのほうが器も値段も高いし、中身もガッツリ量がある。
ちなみにデニーズが「パルフェ」とフランス語で表記しているのは、ちょっとハイクラスのファミレスを意識したせいか。
具材による違いはほとんどないのだ。
あえていえば、コーンフレークがあればそれはパフェとみていい。

言葉から判断するとパフェはフランス語で、アメリカで生まれたサンデーは英語(sundae)という決定的な違いがある。
サンデーがアメリカ発祥のデザートのせいか、日本のデザートで「ソフトクリーム+コーンフレーク」の組み合わせを見て、「信じられない…」と絶句するアメリカ人がよくいる。

 

サンデーの由来も残念ながら正確には不明。
ネットを見ると、こんな説明をしているサイトがよくある。

サンデーとは日曜日のこと。
キリスト教の安息日(教会に行ってお祈りをする日)である日曜日に豪華なパフェを食べることは避けて、もっと質素なデザートを食べるようになったことから、それがサンデーと呼ばれるようになった。
安息日の「Sunday」と同じだと神に対して失礼だから、 「sundae」と少し文字を変えた。

これはウィキペディアの「パフェ」にある説明とほぼ同じで、これをそのまま書き写したのだろう。

サンデーがアメリカ発祥のデザートなら、英語版ウィキペディアの説明のほうがきっと信頼性が高い。
ということでそっちを見てみよう。
するとまずサンデーは「アイスクリームソーダの一種」(a variation of the popular ice cream soda)とあって、なんか日本と違う。
1890年代のイリノイ州では、日曜日にソーダを販売することが禁止されていた。それはあまりにも”豪華”と考えられていたから。

the sale of soda was prohibited on Sundays in Illinois because they were considered too “frilly”.

Sundae 

 

「frill」は洋服のフリルのことだから、このソーダはゴージャスなものだったと思われ。
でも、「上に政策あれば、下に対策あり」で禁止されたソーダ水を抜いて、アイスクリームにシロップをかけたものを売り出した。
この「ソーダ水のないソーダ=サンデー・ソーダ」(This sodaless soda was the Sunday soda)がヒットし、熱心なキリスト教信者が安息日の「Sunday」に反発したから、同じ発音でつづりを変えた「sundae」になったという。

*英語ではこういうことがよくある。
ビックリしたときに言う「オーマイゴッド!」も安易に神の名を言うのは失礼だからと、「オーマイゴッシュ!」に言い換える人もいる。

ただこれは「イリノイ州発祥」説で、アメリカではほかにもニューヨーク州やウィスコンシン州もサンデーの起源を主張している。
すべてを知りたかったら上のリンクを見てくれ。
どの説でも、サンデーの由来が日曜日であることでは共通している。

 

トライフル

 

トライフル」とは言葉の意味から察するに「全力で挑戦する」ということだと思いきや、辞書を見ると「つまらないもの、ささいなこと」とある。
これはイギリス生まれのお菓子で、「トライフル」という名前は1596年に出版された本の中でその作り方が紹介されている。
文字どおり、残り物やあり合わせで作った簡単なデザートというニュアンスがあるようだ。
特徴的なのは1650年ごろに、スポンジケーキの上にカスタードを乗せるようにレシピが改良されたこと。
ガストのトライフルを見ても、パフェやサンデーにはない具材のパンケーキが入っている。
「フワフワ系」が入っていればそれはトライフルのようだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。