日本の天龍人? 京都人に“フルボッコ”にされた外国人さん

 

誇り高く尊い存在として、すべての種族の中で最高位にいる人たち。
「下々民どもと同じ空気を吸いたくない」という超上から目線の発想で、特別なマスクをつけて宇宙服のような特異な外見をしている。
そんな世界貴族が道を通る時、一般人は土下座をしないといけない。
『ONE PIECE』に出てくる天竜人はそんな高貴なキャラ。

それを元ネタにしてつくられた台湾のネットスラングが「天龍人」で、大都市の台北に住む人たちを、それ以外の台湾人が天龍人と冷めた目で呼ぶ。

【台湾の上級国民】天龍国に住む天龍人ってどんな人?

 

台湾にはそんな「天龍人」がいるということを、台中出身の台湾人から聞いて初めて知った。
「台湾は2つに分けられます。台北と”それ以外”です」と言って笑うような台北人が、その台湾人からするとまさに天龍人だ。
個人としては良い台北人もいるけど、全体的には「いけ好かないヤツラ」というイメージを持っているその台湾人は、「日本の天龍人は東京人ですよね?」と聞いてくる。
どうだろう?
個人的に東京人とは、ほとんど会ったことがないからよく分からない。
でも、新宿区出身の人から「東京にいて、東京を鼻にかけるのは地方出身者だけです」という話を聞いたことがある。
真の東京人は他を見下すことはなく、周囲がどれだけ東京に近いか競い合っているのを眺めているという。
東京人にも天龍人の素質はあるかもだけど、でも、台湾における天龍人を日本で探すなら、それはやっぱり京都人でしょ。

 

主に京都に住んでる人たちによって構成されていて、かなりニッチな情報を投稿し合うSNSグループがある。
「今日は社参の日です」といった、分かる人だけ分かればいいというスタンスのピンポイント情報があったり、「下鴨神社の神事・みたらし祭(御手洗祭)について聞きたいことがあります」といった質問に京都人が答えたりする。

そんなグループに、あるとき外国人がこんな質問を投下した。

「京都には何か観光スポットがありますか?」

想像するに、ある程度の日本語のできるこの外国人は、一般的な京都観光のサイトにはないようなディープな情報を知りたいのだろう。
この日本語は大ざっぱでラフな表現だけど悪意はないし、少なくともこの外国人は京都に興味を持って、知りたいと思っている。
この質問には、「京都観光は春夏秋冬によって味わいが違います。行かれる時期で調べて、京都の風情を楽しんでください」、「○○寺に行ってから、近くの○○で〇〇を食べるのがおススメですよ」と好意的なメッセージをする京都人もいた。
が、見たところ、7~8割はこんな厳しいコメントだ。

・外国の方がたくさん観光に来ます。みなさん、事前に調べてきていますので、ある程度はご自身で勉強されてはどうでしょうか。
唐突に聞かれてもお答えできません。悪しからず
・翻訳サイトで作った日本語ですかね。
とても挑発的な文章で、喧嘩を売ってるの?と思われても仕方ないです。英語ができるなら、英語で書いてください。
・観光スポットは京都市全部です。
・何に興味があるのか、もう少し的をしぼって質問したらどうです?
・雑すぎる、乱暴な質問やと思いますよ。
質問の仕方にその人の知性や品性、人間性が出るものです。
・こんな質問、修学旅行の小学生でもしない
・旅は計画段階から始まってます。
計画段階というのは、場所・気候・過去の時事などの下調べ
これをしないと、旅の楽しみは半分以下になる
・京都には見るべきものがないと思うなら、来る必要はありません。

こんな“お説教”をくらうとは思っていなかったらしく、その外国人は「誤解しています。皆さんに推薦してもらいたいのです」と弁明をする。
でも、おすすめ情報はほぼ教えてくれず、なんか“フルボッコ”という状態。
その後どうなったかな~?と思ってのぞいてみたら、この質問は削除されてた。

 

ボクは京都に4年間住んでたんで、京都人のことはそれなりに知ってるつもりだ。
程度の差はあっても、京都市民は全体的に”特別感”を持っていることは基本的に間違いなく、そのへんの事情は同じ京都府民に聞くとよく分かる。
たとえば福知山や綾部市出身の人からこんな話を聞いた。

「京都市民の頭の中で、京都は京都市と“それ以外”に分かれています。“京都人”とは市内に住む人だけで、京都府に住んでいても、わたしらを京都人なんて思っていませんよ。日本海に面した京丹後市を“京都人”なんて言ったら、鼻で笑われますね。もちろん、その場ではニコニコしてますけど。」

「心の広い人なら、亀岡市民も京都人に入れてくれますね」と言う京都府民もいた。
ただ京都市内にもランクがあって、御所周辺の上京・中京区は最もステータスが高いから、台北でいえば「天母」地区になる。
ボクの住んでいた右京区は、けっこうランクが低くて驚いた。

 

「何か観光スポットがありますか?」と外国人が質問して、「唐突に聞かれてもお答えできません。悪しからず」とコメントするのはリアルに京都人らしいと思う。
外国人が興味を持ってくれたなら、台北人は自分の好きなスポットをどんどん紹介するだろうし、東京人もこんな塩対応をしないのでは?
「誇り高い」という意味では、台北人も京都人も”天龍人”だ。
でも、「京都に来たいのなら、まずは自分で調べてください。分からなかったら教えます」といった敷居の高さはきっと台北人にはない。こういう質問を非礼と感じて、腹を立てることもない。
“京都の洗礼”を浴びて、心に傷を負ったこの外国人が京都旅行をキャンセルしないといいのだけど。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。