オレたちの吉野家の味が、変わったかもしれない。
吉野家ではカリフォルニア産の米を、多い時で1割ほど入れてブレンド米にしていたのをやめ、これからは100%国産米にすることにした。
すでにことし4月には、もう日本の全店舗で切り替えられている。
最近の円安・ドル高の影響で、カリフォルニア米と国産米の値段はほぼ同じらしい。
これにネット民の思いは?
・牛丼はサラッとした米がいいからゆめぴりかがいいな。
・つうかアメリカの米使ってたのかよ
・新潟の煎餅屋もそうだが米だけは国産を使えよ
・カリフォルニア米は、日本米とタイ米の中間みたいな感じ
カレーとか丼物ならカリフォルニア米が良いかと
・円安で日本が再生されていくな
日本の米はたしかに美味。
中華圏の人は基本的にあったかいご飯を食べて、冷たい飯を避けるから、知人の香港人は日本に来てもおにぎりを食べなかった。
でもあるとき試しに食べてみると、「ナニコレうましっ!」と感動する。
美味しさの理由を考えてみると、調理の仕方よりも、やっぱり香港とはもともとの米の味が違うことに気づいたという。
日本で自慢できることを日本人に聞いたら、治安の良さと米の味をあげる人は多いと思う。
そんな米好きの日本人なら並河成資(なみかわ しげすけ)と、彼が1931年(昭和6年)に開発した農林1号というイネの品種をぜひ知っておいてほしい。
農林1号は初めて農林登録されたイネの品種で、これからコシヒカリやササニシキなどが生まれたから、いまの多くの日本米の祖先になっている。
日本と韓国の米の違い。おいしい理由は、農林1号と並河成資だ。
美味しい日本のお米は世界に誇ることができる。
といっても、あまり調子に乗ってはいけない。
こんな食べ物を開発した国は日本しか知らない。
20世紀最大級ともいわれる記録的な冷夏によって、1993年の日本は壮大な米不足におちいった。
スーパーやコンビニから米が消えて入手困難になり、国民は“コメ難民”となって(言い過ぎか?)、この現象は「平成の米騒動」と呼ばれるようになる。
政府は各国に米の緊急輸入をお願いすると、タイ政府が真っ先に応えてくれた。
日本の要請に応じ、タイ政府が保管している米を輸出してくれたのはよかったんだが、日本人は日本の米を食べて育ってきたから、タイ米はマズかったり(というか日本人の口に合わない)、衛生問題が発生したりして人気は出なかった。
それでこうなる。
店舗では、日本産のジャポニカ米とタイ米の抱き合わせ販売が行われたが、それでもタイ米だけを廃棄する消費者が跡を絶たなかった。
で、タイはどうなったか?
大量の米を日本に輸出したから、国内では米の価格が爆上がりして国民は混乱し、所得の少ない人の生活は本当に大変になった。
一方、「平成の米騒動」で困っていたはずの日本人さんは、タイ米を捨てたり家畜の飼料にしたりする。
これを知ったタイ人が激怒したという話を、その数年後にタイへ行ったとき日本語ガイドから聞いた。
「あの時はタイ人は食べるお米が無くなって困ったというのに、日本人は本当にヒドイですよ!」と言われても、さすがにこれには何も言い返せない。
食べる米がないから送ってほしいと日本政府に頼まれたから、国民生活を圧迫してまでも、タイ政府は大量の米を輸出したのに、日本人は「美味しくない」と言って捨てるし家畜のエサにする。
日本米が最高にウマイのが事実だとしても、外国の米にも一定のリスペクトは必要だ。
逆の立場だったら、日本人はタイを向こう10年は許さない気がする。
反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」
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