【日本人あるある】“間接話法”にインド人とアメリカ人が不満 

 

インドの人たちは基本的に、おもてなしをすることも、されることも大好き。
日本人の「今度ぜひ」という社交辞令ではなくて、インド人は知り合ったばかりの人でも自宅に招待することがよくある。
それで、3人のインド人とハイキングをすることになった時、まえにその中の一人、20代のインド人男性から、「いつでも遊びに来てください」と言われたのを思い出して、「ハイキングの後であなたのアパートへ行って、みんなでチャイを飲みながら話をしてもいいですか?」とメールで聞いた。
「もちろんですよ!では、チャイとお菓子を用意しておきます」という返事がくるかと思ったら、「それはダメです」と冒頭に書いてあってやや傷つく。
それにはこんな理由があった。

いま彼は浜松市で、会社が借りているアパートにかなり安い家賃で住んでいる。
ちょっと前にそこへインド人の友人を呼んで、4人でご飯を食べ夜遅くまで話をして楽しんだ。
その数日後、会社で「ちょっといい?」と上司に呼ばれて、何かと思ったら「このまえの土曜日、友だちとパーティーをしてた?」と聞かれ、「なんで知ってんの!」という内心の動揺を隠しつつ、「はい、しました。それが何か?」と答える。
すると、契約している不動産会社から会社に「お宅のインド人社員がうるさいと、近くの部屋の人から苦情がありました。かなり騒々しかったようで、その人は怒っています。だから、そちらから社員に注意してください」と連絡があったという話を聞く。
ということでそのインド人には、身内以外の人間はしばらくアパートに入れてはいけないという「パーティー禁止令」が言い渡された。
いやいや、会社がそれを命じるのはおかしい!と抵抗してみたけど、いろいろな力関係もあって結局それを受け入れた。
「それはダメです」の背後には、会社とのこんなやり取りがあったらしい。

後日、ハイキングでそのインド人から話を聞くと、彼のツッコミどころは「“近くの部屋の人”はなんで直接、自分たちに文句を言わなかったのか?」ってこと。
悪意はなかったけど、知らないうちに迷惑をかけていたかもしれない。
でも、「あのインド人うるさしっ」と思ってから、不動産会社→会社→自分と数日かけて遠回しに伝えることが理解できないという。
インド人だったら、その時にドアをノックして「もう少し静かにしてくれ」と言って、「わかった。すまなかった。」と謝ってオワリな件。
話を聞いた別のインド人も、日本人は他人を通して遠回しに伝えることが多くて、たまにイラっとくると言う。

 

あるインド人のディナーで出てきたメニュー

 

これと同じような経験をアメリカ人も横浜でした。
横浜の中学校で英語を教えていた彼が、同じ仕事をしていたアメリカ人やイギリス人を呼んで、ちょっとしたパーティーを土曜日にした。
3日後の火曜日、学校に行ったら彼は教頭に呼び出され、「この前の土曜日、君は友人とアパートの部屋でパーティーをしたの?」と質問されて、「なぜ知ってる?」と驚いた。
「その時うるさかったようで、学校に苦情の電話が入ったんだよ。それは同じアパートの人か、近くの住民かは分からない。とにかく今度からは、もう少し静かに頼むよ」と教頭に言われて言葉を失うアメリカ人。

そう言ったのはたぶん隣の部屋にいる日本人だろうけど、それはどうでもいい。
その時その場で文句を言えば終わることなのに、なんでその日本人はうるさいのをガマンして、月曜日に学校へ文句を言うのか?
その思考回路が理解できない。
直接話ができたら、こっちも何がどういけないのか分かって、「すまない」と謝ったうえで話し声や音楽の音などを調節することができる。
顔の見えない相手から一方的に苦情を言われて、こちらの意見を言えないというのは、彼としてはかなり気分が悪かった。
他人を介して相手に伝えるのは「日本人あるある」の一つだろう。

でも、日本で生活していて、日本人の考え方や行動に接すると、この国の人たちは相手に向かって直接怒ったり、文句を言うことが苦手なんだと分かるようになる。
怒りの感情だけではなくて、日本人は全体的に自分の気持ちや考えを言葉にしないで、ちょっとした表情や態度で伝える。
日本人がハッキリした態度を見せず、間接的、遠回しに伝えるのは文化だから、日本にいる以上はそれを前提に、こちらの感受性を高めて相手の意思を鋭く感じ取るしかない。
はじめのインド人もこのアメリカ人の境地に達しつつある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。