日本人は無神経? スポーツで日本語を尊重する海外の外国人

 

きょねん開催された東京五輪で、日本人アナウンサーによるテレビ中継を見ていて、「和製英語」が気になったという外国人が何人もいた。
「フライングスタート」や「ガッツポーズ」とは何なのか?
そう思った人がいれば、サッカーの「マイボール」「ロスタイム」「メンバーチェンジ」、野球では「トップバッター」「デッドボール」「ヘッドスライディング」に違和感を感じる人もいた。

【なにそれ…】在日外国人が気になる和製英語・スポーツ編

これらは和製英語だから、外国人には基本的に意味不明。
いっそのこと、すべて日本語で言ってくれたらまだイイ。
でも日本人は、英語を勝手に組み合わせて変な単語をつくるから、「ロスタイムは3分です」とか「あ~っとデッドボールです。これは心配ですね」という言葉を聞くと、外国人としてはイラっとくることがあるらしい。

 

外国人は逆に、日本へ配慮や敬意を示すところがある。
例えば海外で柔道の試合がおこなわれる場合、「Ippon」「Waza-ari」「Yuko」といった用語が使われるから、柔道大国のフランスでもは「イッポン」「ワザアリ」「ユーコー」「ハジメ」といった日本語が定着していて、アナウンサーも試合の実況でこうした言葉を使うという。

いま知人のドイツ人がブレーメンにいて弓道を習っている。
ヨーロッパで畳はとんでもなく高いから、専用の道場ではなくて、大きなスポーツジムの中に弓道をするスペースがある。
そのレッスンの流れを聞いて驚いた。

まず全員が弓道用の服に着替えた後、ドイツ人の先生の前に生徒全員が正座をして座る。
それは想像の範囲内だったけど、神棚に向かって先生が「レイ」と言うと生徒も手をついて頭を下げると聞いてビックリ。
まさか神棚があるとは!
その時には「カミザ(上座)」という言葉を先生がよく使う。
ちなみに、たまに集中力を高めるために瞑想をするという。
それで先生がこのまえウクライナ戦争の話をして「犠牲者のために祈りましょう」と言うと、生徒も正座をして祈りをした。
日本の弓道場なら、たぶんこんな政治的な話はしない。

レッスンでは「ハセツ」がとても大切にされていて、先生がよく言うから彼も自然に覚えたという。
ハセツか。確かにあれは重要だ。…でハセツってなに?
と思って聞いたら、「え?日本人のあなたが知らないの?」と驚かれたの巻。
ネットで調べたらこれは、足踏み(立ち位置を決める)、胴造り(姿勢を整える)といった「八節(射法八節)」という弓道における射法の基本的な動きのことだった。
矢を射る時には「三分の二」の動作が大事ということで、「サンブンノニ」も覚えた。
彼が「タイハイ」と言うから、大敗や退廃を思い浮かべたら、弓道では「体配」という用語があることを知る。
そのジムでは生徒がそれぞれ練習をしていて、先生が見回りながら、気づいたことがあったらアドバイスをしている。
ちなみにドイツには「ザンシン」(残心)という名の弓道雑誌があるらしい。
このドイツ人はメールでは「そんな自分の本当の感じはどうやって対処する?」とよく分からない文章を書くのに、かなりむずかしい日本語を知ってて驚いた。
「弓道は日本のスポーツだから、日本語を使うのは当然だよ」と言われると、ド正論すぎて「ハイその通りですね」としか言えない。

 

海外で外国人は、日本発祥の柔道で「イッポン」「ユーコー」「ハジメ」という日本語を使っていて、弓道では「タイハイ」「ハセツ」という一般の日本人では分からないような用語を使って練習している。
もちろんこれは大氷山の一角で、世界全体では分からない。
でも日本人のように、外国由来のスポーツで「マイボール」「メンバーチェンジ」「トップバッター」とか、勝手に言葉をつくって使うことは海外では少ないのでは?
でも、「柔道や弓道は日本で生まれたんだから、外国人が正しい日本語を使うのはアタリマエ」なんて思ってる人は多そう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。