夢から始まる清水寺の歴史・外国人に高評価のところ

 

奈良時代の末期、奈良で修行をしていた仏教僧・賢心(けんしん)がある夜、不思議な夢を見た。
その夢で告げられたとおり北へと歩いてくと、賢心は京都の音羽山まで来て、清らかな水がわき出る滝を見つける。
近くには小さな庵(いおり)があって、老仙人がそこに住んで修行をしていた。
「おまえが来るのを待っていた。ずっとまえから」と仙人は賢心に言うと、伝説の剣・エクスカリバーを渡し「これで世界を救ってくれ…」と頼むことはなく、自分はこれから東国に行くから、この霊木で観音像をつくり、この霊地にお堂を建てて祀ってほしいとお願いすると老仙人は姿を消す。
丸投げされた賢心は霊木で千手観音の像を刻んで、それを老仙人の庵に安置した。

あるとき武人の坂上田村麻呂(758年 – 811年)が鹿狩りで音羽山にやって来ると、修行中の賢心と出会うと、彼のかもし出す「聖賢オーラ」に圧倒されて賢心の弟子になる。
そして田村麻呂はそこに、十一面千手観世音菩薩を本尊とする寺を建立し、キレイな滝から「清水寺」と名づけた。(清水寺の歴史

その後、いまの東北地方の平定を朝廷から命じられ、征夷大将軍となった坂上田村麻呂は見事そのミッションをクリアして京都に戻ってくる。
戦いの勝利は観音菩薩らのおかげと考えた田村麻呂は、798年のきょう8月17日、清水寺を大規模に改築したという。(8月17日

 

21世紀のいま清水寺は世界的に有名で、京都旅行に行った外国人には外せない定番スポットだ。
そんな外国人に感想を聞くと、由来となった清らかな「音羽の滝」は気づかずスルーして、「え?ナニソレ?」という人がよくいる。

 

 

で、清水寺で良かったところを聞くと、そこから京都市内が一望できることを挙げる人が本当に多い。
日本については「古い歴史や伝統文化、それと近代的な面をあわせ持つ国」とイメージする外国人はよくいて、清水寺ではそれを実感することができる。
これは外国人には印象的らしい。
トリップアドバイザーを見てもそんな感想がよくある。

アメリカ人
With less tourists now you have more time to take in the panorama of the city.
(コロナで)観光客も少なく、ゆっくりと街のパノラマを楽しむことができるようになった。

インドネシア人
one of my bucket list for place to visit before i die,great view of this temple with kyoto city in the background.
死ぬまでに行きたいところの一つ。
京都の街を背景にしたこのお寺の眺めが素晴らしい。

イギリス人
Kiyomizudera is beautiful and offers some stunning views of Kyoto.
清水寺は美しく、京都の素晴らしい景色を見ることができます。

 

 

清水寺から京都市内を見渡すことができる理由には、小高いところに建っているというロケーションの他に、きっと「日想観」がある。
清水寺の西門ではむかし、沈む太陽や赤く染まる空を見て極楽浄土をイメージする「日想観」という仏教修行がおこなわれていたのだ。
清水寺のホームページにその説明がある。

清水寺境内の入り口近くに建つ西門(重要文化財)は、日想観の聖地です。京都屈指の夕陽の名所でもあるこの場所は、日没時には多くの参詣者が立ち止まり、西の空に沈む夕陽に思いを馳せています。

日想観

 

現代の清水寺は外国人には「the panorama of the city」を楽しむことができて、日本人には映える夕日スポットとして親しまれている。
8世紀、夢に導かれて滝を見つけた賢心も、「おまえをずっと待っていた」と語りかけた老仙人も、清水寺を建てた坂上田村麻呂もまったく想像できなかっただろうけど。

 

 

坂上田村麻呂が建てた清水寺にある、「阿弖流為と母禮」の碑

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。