【攻めてる神社】特異な立地と日本初の御朱印・熊野皇大神社

 

約2000年前に景行天皇に命じられて西と東の“蛮族”を討ち、だいたい九州~関東をヤマト政権の支配地にした武人が日本武尊(やまとたけるのみこと)。
そんな日本神話についてさっき書きましたよ。

九州~関東を平定した日本武尊 焼津と東(アヅマ)の由来

この伝説的英雄に関連して、とても攻めてる神社があるので今回はそれを紹介しよう。

 

ヤマトタケルが東国を平定して奈良へ帰る途中、ある峠を通っていた時に深い霧が発生して道に迷ってしまった。
すると一羽のカラス(八咫烏)が現れ、道案内をしてくれたことで無事に山頂へ到達することができた。
ヤマトタケルはそれに感謝し、熊野の神を分けてその地へ移した(勧請)ことで、現在の熊野皇大神社(くまのこうたいじんじゃ)が誕生したという。

この神社のユニークなところはその立地にある。
群馬県と長野県の境にあって、神社の階段や建物の中央を県境が通っていて、文字どおり真っ二つに分かれているのだ。
こんな神社は日本でもここだけ。
…と言いたいところだが、栃木と茨城の県境にある鷲子山上神社も、左右が別の県に属しているから探せばほかにあるかも。

 

 

上下とも熊野皇大神社ホームページのキャプチャー
この神社はとても自由で、HPはドラゴンクエスト風になっている。
それでてっきり、公式HPではないのかとカン違いした。

 

 

神社であっても、日本では世俗の法に従わないといけない。
それで戦後、都道府県ごとに宗教法人の登記をしないといけなくなった時、ここは一つの神社でありながら長野県側は「熊野皇大神社」、群馬県側は「熊野神社」という別々の宗教法人になった。
これは書類上のことで、付近の両県にいる住民は「峠山(とうげさん)」と呼んでいるらしい。
さらに、電気は中部電力から送電されているけど、神社の所在地は群馬県になっているから東京電力のサービスエリアになっているとか、熊野皇大神社はわりとややこしい。

こんな特異な立地にある熊野皇大神社には、RPG風のHPからも伝わるように柔軟な発想や独自性がある。
「自分の限界を乗り越えろ!」という意味を込めて「境界御守」を売り出したり、境内の御神木が飛び出す日本で唯一の御朱印(下の動画で8分45秒)を製作したりと、オンリーワンの発想で神社をアピールする。
伝説的武人ヤマトタケルにふさしく、この神社はかなり攻めている。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。