【イイハナシダナー】アジア人、円覚寺で“日本人の心”に感動

 

イギリスと戦ってフランスを守ったジャンヌダルク。
ドイツと戦ってイギリスを守ったチャーチル。
勝つことはできなかったけど、南宋のために女真族の国・金と戦った中国の岳飛。

外敵と戦って国を守った人物は当然として、守ることはできなくても、国のために最後まで戦った人物は、海外では国民的英雄になって尊敬されるのがフツウなのに、どうも日本はそうじゃない。
13世紀の元寇でモンゴル・高麗の連合軍を2回も撃退して、日本の主権や独立を守り抜いた北条時宗に対して、現代の日本人はわりと無関心で冷たいと思う。
1284年のきょう4月20日は、鎌倉幕府の執権で救国の英雄・北条時宗が病気で亡くなった日だ。
まさに巨星墜つ、または巨星乙。

時宗の遺体は、彼が建てた鎌倉の円覚寺に埋められてお墓もそこにある。
数年前に台湾人、タイ人、インドネシア人、香港人と一緒に横浜・鎌倉旅行をしたとき、この円覚寺にも行ってみたら、予想外の反応が出てきた。

鎌倉の神社仏閣めぐりをメインに2泊3日であちこちを見てまわって、どこがよかったか彼らにたずねると、夢のようなキラキラした横浜の夜景と堂々とした鎌倉の大仏のほかに、円覚寺を挙げる人が多かった。
なにゆえ円覚寺?
と思ったら、円覚寺が建てられた理由にとても感動したという。

創建の理由については円覚寺ホームページにこう書いてある。

「蒙古襲来による殉死者を、敵味方の区別なく平等に弔うため、円覚寺の建立を発願されました。」

北条時宗は元寇が終わったあと、この戦いで命を落とした両軍の人間を分け隔てなく考えて、その魂には同じように敬意と哀悼の意を示す。
日本語を学んでいて、日本文化にも興味があった台湾人、タイ人、インドネシア人、香港人はこの話を知って「イイハナシダナー」と感動した。
彼らの感覚だと、自国の勝利を誇らしく思ってその勝利を祝う記念碑とか、戦死した自軍の兵士を弔(とむら)うお墓だったら、それは常識だから特に驚くことはなし。
でも敵と味方を一緒にして、戦いで亡くなったすべての犠牲者のためにお寺を建てた時宗の発想はチョットあり得ない。
しかも日本は侵略された側だ。
仏教徒の台湾人、タイ人、香港人もキリスト教徒のインドネシア人も、その慈悲の心には深い感銘を受けて、敗者に対する敬意もすばらしいと感じたという。

 

彼らからみると、時宗がもっていたような平等感や思いやりの心はいまの日本人にもある。
日本では肉体労働者がバカにされないし、金持ちが周囲に配慮してあんまりエラそうな態度をとらない。
東南アジアの国はこの真逆で経済格差はすごいし、金持ちと一般人では同じ国でも住む世界や星が違う。残念ながら貧しい人を蔑視する風潮も強くある。
建物の写真バエは抜きにして、日本人の価値観や考え方、文化を知ることができたから、円覚寺はとても彼らの印象に残った。
やっぱり日本人は、北条時宗とかいう救国の英雄をもっともっと重視した方がいい。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。