【反日の代償】資産現金化で“日本の怒り”が不安な韓国

 

そこに何があるかは分からない。
でも、絶対に行ってはいけない。

先日19日、韓国の最高裁判所が日本企業の資産現金化にゴーサインを出していたら、「戦後最悪」と言われるいまの日韓関係は取り返しのつかないほど悪化して、そんな未知のゾーンに突入するところだった。

これまで何度も書いてきたけど、核心的に重要だからくり返させてもらいたい。
この元徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で両政府が「完全かつ最終的に解決された」と確認したことでジ・エンドだ。
にもかかわらず、徴用工訴訟で韓国最高裁がこの国と国との約束を否定し、日本企業に賠償を認める判決を出したからいまのカオスがある。
国家間の合意を国内法でひっくり返すことは国際法違反。
だから日本はそのルールを破った韓国を非難し、いまはそれによって生じた問題の解決案を韓国政府が示すのを待ってるところ。

これまで韓国側からは、日本に納得できる案の提示がないまま時間だけが過ぎていって、8月19日に最高裁が現金化の判断を下すかと思われたが、最高裁はイイ意味で仕事をしなかったから、地獄の扉は開かれなかった。

とはいえこれは時間かせぎでしかない。
というのは、最高裁の判断は8月中に下されるという見方が有力だから。
それで最悪の災厄を避けるために、日韓が慌ただしく動き出したようだ。

朝鮮日報(2022/08/20)

韓国国内にある日本企業の資産が現金化されるかどうかの決定が秒読み段階に入ったことで、韓国と日本の両政府は近く高官級の最後の交渉に入るとの見方もある。

韓国大法院、徴用問題めぐり日本企業の資産現金化決定を延期

 

日本の警告を無視して、韓国側が現金化というデッドラインを越えた場合、何が起こるかはいまはダレにもわからない。が、ユン駐日大使は韓国への日本の制裁などによって、両国で数兆~数十兆円の損害が発生する可能性を示唆した。
それで大使は外交的解決を優先し、韓国の裁判所は現金化を凍結すべきだとの考えを示す。

こんな大使や韓国の保守派の人たちは日韓関係を重視していて、国内の行き過ぎた「反日感情」に懸念を示してきた。
保守的な論調の韓国紙・朝鮮日報は、4年前に最高裁が日本企業に賠償を命じた後、コラムで「韓日関係が悪化すると、これまで例外なく代償を支払ってきた」と書いて今後の日韓関係を不安視した。(2018/12/05)

「反日の代償」は高い

関係が悪化すると両国がダメージを受けることになる。
それは大ざっぱな一般論でもっと正確に言うと、受ける損害は韓国側のほうが圧倒的に大きい。
韓国の過去の政権が「反日」的な言動をして日本を怒らせると、

日本政府は韓日漁業協定を破棄した。
日本は在日韓国人系銀行の設立を拒否し、情報共有も拒否した。
日本は金融制裁として通貨スワップを中止した。
日本は在日韓国人に対する税務査察を強化し、留学生研修支援を中止した。

こんなブーメランが突き刺さったことから、韓国では「度を超えた対日強硬外交が生んだ惨事だという話が伝説のように言い伝えられている」とコラムにある。
判決が出た4年前の時点で、「韓国は国家としての体をなしていない」という言葉が飛び交うほど日本は怒っていたのだ。
だから関係が悪化すると「(韓国側が)これまで例外なく代償を支払ってきた」ということを、知ってる人はよく知っている。

それでコラムは最高裁や対日強硬外交をしていた韓国政府(文前政権)をこう批判した。

「外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構(OECD)加盟国にはほかにないと聞いた。」
「約50年間にわたり維持してきた合意や約束を覆せば相手が反発して関係が悪化するだろう、ということは誰もが知る事実ではなかったのか。」

資産現金化がおこなわれた後の世界を想像するのはむずかしい。
でもその場合、「反日の代償」は過去最高になることは間違いない。
それは日本も望んでいないから、日韓が高官級の最後交渉に入るという運びになったのだろう。
韓国側が解決案をまとめて日本に示せば、手痛い代償を回避することができる。
だけど、あと10日でそれができるかどうか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。