日本に住んでいて、たこ焼き器を持ってるイギリス人が友人を誘ってパーティーを開いた。
お好み焼き粉を水で練って丸く焼いて、その上に「とろけるチーズ」とオタフクソースをかけたそれは、360度どこから見てもたこ焼きだ。
とても美味しかったしみんな満足してくれたし、ぜひまた作りたいと彼女は満足そうにSNSで報告して、「However」の後にこう続けた。
「I should confess that I didn’t have tako in these. I only had bacon. So these are bacon and cheese…Yaki!」
告白すると、わたしはタコを入れませんでした。ベーコンしかなかったから。というわけで、これはベーコンとチーズ……焼きです!
ベーコンやチーズを使った「洋風たこ焼き」はいまの日本ではもうすっかり定番だ、というのは言い過ぎかもだけど、ネットにいろんなレシピがあるからめずらしくはない。
「bacon and cheese Yaki」は外国人にはオールマイティー。
まえにアメリカ人が開催した「たこパ」に参加した時、タコの「グニャっ」とした食感が苦手で食べられないというアメリカ人がいた。(なぜ来たし)
買いに行くのは面倒くさいし、ホストのアメリカ人が冷蔵庫を開けたらベーコンが「ハイ!」と言うから、それでベーコン焼きも作ることにした。
日本人だって水を使わずに、小石で海や川を表現する「枯山水」をつくったのだから似たようなもの、か?
日本と外国の食文化が出会うと新しいものが生まれる。
タイ人がタコの代わりにコーンを、韓国人がキムチを入れた「アレンジたこ焼き」を作ってSNSにアップしているのを見て、あれは美味しそうな予感がした。
納豆やチョコを入れて楽しむ日本人もいるし、本人がおいしかったら何でもアリだ。
たこ焼きは自由度が高いから、外国人にアレンジさせると本当に国際色豊かな「takoyaki」ができ上がる。
日本に住んでいていまは母国にいるドイツ人が突然、「たこ焼き食べたい病」にかかってしまい、それを作ろうと思い立つ。
彼はタコが好き。
だけど、ドイツには一般的にタコを食べる習慣が無いから、近所のスーパーに行っても売ってなくて、中国人経営の食料品店でイカを見つけた。
それとベーコンを具材にして、イカ焼きとベーコン焼きを作って食べたという。
海外だと材料が手に入らないこともあるから、自然と現地化・国際化していく。
日本人もアメリカから伝わったポップコーンを好き勝手いじってる。
まえにアメリカ人とコストコへ買い物に行った時、「なあ、これを知ってるか?”プローギィ”っていうんだ。言ってみればポーランドの餃子だな。本当にウマイから超おすすめだよ」と強烈に推すから、なんか追い込まれてしまって試しにひとつ買ってみた。
*「プローギィ」というのはアメリカ人の発音をカタカナ表記したもの。
調べてみたら「ピエロギ」のことだった。
ピエロギは東ヨーロッパやロシアによくある料理で、ポーランドでは国民食のようなポピュラーな食べ物らしい。
正確なことは忘れたけど、このピエロギにはマッシュポテトは確実に入っていて、あとはチーズと挽き肉があったような気がする。
これを作るのは簡単で、悩んだのは「何をかけるか付ければいいんだ?」ってこと。
ピエロギに合う調味料はなにか?
そのまま食べても軽い塩味で、それなりに美味しいけど何か物足りぬ。
それでケチャップやしょう油なんかを付けて食してみた結果、ピエロギのベストフレンドは「ゆずポン酢」であることが判明。(個人の経験です)
後日、それをアメリカ人に話すと「その発想はなかった!」と驚れた。
数か月後に彼と会うと、「オレもゆずポン酢を試してみたよ。想像以上にプローギィに合って美味しかった。いろんなソースを試したことがあるけど、あれは見逃していた。ゆずポン酢なら日本人にもよろこばれそうだ。アリガトウ」となんか感謝されたの巻。
欧米の食文化に日本人のフツウを当てはめたり、日本の食文化に外国人のノーマルを当てはめると、意外性があって新しい発見につながる。
それが受けると、ニューノーマルになるかもしれない。
「bacon and cheese Yaki」がそうだろう。
日本ではコストコみたいに海外食品を売る店がドンドン登場してるし、ネットショッピングは世界の当たり前だし、いまこういう食の国際化が世界のあちこちで発生しているはず。
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