ヨーロッパ人からしたら、日本と韓国の違いなんてよくワカラン。
知人のドイツ人の話では、ドイツ国内に茶道やテコンドーの教室があるけど、どっちが日本(韓国)の文化か知ってる人はまずいない。
その事情は日本人も同じだ。
ヨーロッパの国のそれぞれの特徴を理解し、違いを説明できる人はなかなかいない。
例えば「ベルギーとオランダの違いってなに?」と聞かれたら、死んだフリをする人が続出する予感。
両国の正確な位置を知らない人も多いはず。
ベルギーは19世紀前半に、オランダ(ネーデルラント連合王国)から分離・独立した国だ。
「もう、あなたたちとは一緒にいられません。サヨウナラ」と、ベルギーの人たちがオランダに言った大きな理由に宗教の違いがある。
同じ神を信じるキリスト教徒でもプロテスタントの多いオランダと、カトリックの多いベルギーでは価値観が違うのだ。
オランダがカトリックの立場を無視してプロテスタントを押し付けたり、カトリックを差別するようなことをしたから、ベルギーの人たちは怒りを爆発させて、1830年に独立運動を起こして自分たちの国をつくるようになった。
こんなふうに、宗教の違いはヒトの違いになる。
歴史を見ると、オランダがスペインから独立した理由もソレだった。
1550年ごろのオランダ(ネーデルラント諸州)はスペインに支配されていて、その領土の一部として存在していた。
だがしかし、スペインはカトリックの国で、オランダにはプロテスタントがたくさんいて事情はまったく違う。
1556年にスペイン王になったフェリペ2世は超熱心なカトリック教徒で、彼はオランダのプロテスタントを弾圧する。
圧政が民衆の抵抗を引き起こすことは、アニメの世界でもリアル世界でもよくあることだ。
1568年に有力貴族のウィレム1世を中心にスペインに対する反乱がぼっ発すると、それがオランダ独立戦争(八十年戦争)になり、オランダはスペインから独立を勝ち取る。
*1648年のヴェストファーレン条約でオランダは独立を承認された。
宗教の押し付けを嫌がって「NO!」を突き付けて独立したオランダが、同じようなことをベルギーにして「NO!」と言われ独立された。
「歴史は繰り返す」といっても、同じ失敗を同じように繰り返すのは学習能力に問題があるのでは?
日本の歴史には宗教の違いをめぐって、分離・独立して国が成立したコトは無い。
でもあえて言えば、1488年にはじまった「加賀の一向一揆」はそれに近い。
まず蓮如がいまの福井県に滞在して、積極的に一向宗の布教をおこなったことで北陸地方で信者が増えていく。
すると加賀(いまの石川県のあたり)を支配していた守護・富樫政親(とがし まさちか)は、一向宗の勢力の大きさに不安を感じて弾圧するようになる。
こうなるとスペイン統治下のオランダ、オランダ統治下のベルギーと同じで、信者の激しい反発は避けられない。
1488年に一向一揆が起こると、信者らは高尾城にいた富樫政親を攻撃して自害に追い込む。
そして主に一向宗の信者が支配する国、「百姓の持ちたる国」といわれる“宗教国家”を成立させた。
織田信長(家臣・柴田勝家)によって、1580年に滅ぼされるまでこの不思議な国は約100年続く。
いまは国をつくるほどではないけれど、宗教の人を動かすはやっぱり大きい。
同じキリスト教文化圏にあるヨーロッパの国でも、カトリックとプロテスタントの影響の強さはそれぞれ違うから、それで区別することができる。
日韓でも、神道とキリスト教の影響は大きな違いになっている。
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