うっ、今朝いきなり寒くなっててビビった。
季節が一気に秋へ突入した感じだ。
となると俳句の神・松尾芭蕉が詠んだこんな句が思い浮かぶ。
「秋深き 隣は何を する人ぞ」
秋が深まってきた今日このごろ、隣の人は何をしているのだろう?
さて日本の隣人もこちらの様子に興味津々、細かい変化が気になって仕方ないようだ。
岸田首相が先日3日、国会で所信表明演説をおこなって、これから目指す国づくりの方向性を示し、「信頼と共感」を大切にすると強調した。
これは重要なことだから、日本の各メディアが社説で取り上げる。
日本ではこの演説について、首相が言及した防衛力強化や物価高・円安への対応、それと政治不信を招いた旧統一教会の問題などに注目した。
でも、韓国の視点はソコジャナイ。
中央日報の記事(2022.10.04)
「韓国は重要な隣国、緊密に意思疎通していく」 岸田首相が変わった
岸田首相がことし1月におこなった施政方針演説では韓国について、
「重要な隣国である韓国に対しては、我が国の一貫した立場に基づき、適切な対応を強く求めていく」
とだけ言及した。
昨年の所信表明演説もほぼ同じ。
でも、今回は韓国についてこう述べた。
「国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国」
「国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させていく必要があり、韓国政府と緊密に意思疎通していく」
2018年に韓国最高裁が日韓請求権協定をひっくり返し、国際法に違反する判決を出したことで、「戦後最悪」と言われるいまの日韓関係を生み出した。だから日本政府は韓国に対して、納得できる解決案の提示を繰り返し求めてきた。
それが「我が国の一貫した立場に基づき、適切な対応を強く求めていく」の中身。
先日の演説ではこの表現が消えて、「韓国政府と緊密に意思疎通していく」という言葉が出てきたことで、「岸田首相が変わった」と韓国側は注目する。
別の全国紙・朝鮮日報も同じ見方だ。(2022/10/04)
今回の臨時国会演説では否定的な文言を削除し、「健全な関係」と「緊密な意思疎通」に言及することで、尹政権に友好的なメッセージを送ったと言える。
岸田首相「韓国は重要な隣国、緊密に意思疎通していく」…日本政府にも姿勢変化の兆し
ただボクの見た限り、日本の新聞でこの部分を取り上げたところは無い。
日本の安全保障や経済対策を重要視していて、韓国に対して岸田首相の認識が変わったかどうかという点は、ハッキリ言って旧統一教会の問題よりも関心が低い。
国民の意識も同じで韓国への表現に変化があったことなんて、ほとんど誰も知らないだろう。
韓国としては日韓関係を改善させたいが、解決案の提示はむずかしい。
その手続きを何とかパスして、とにかく日本との話し合いで関係を前進させたいという熱い思いがあるから、日本では無関心な部分に大注目が集まった。
だがしかし、日本がその期待に応える気はないらしい。
ハンギョレ新聞の記事(2022-10-02)
日本、岸田首相のニューヨーク日程の英文広報から「韓日首脳略式会談」除外
先月9月、ニューヨークで岸田首相と尹(ユン)大統領が対面で話し合った。
それについて韓国は「就任後初めての韓日首脳間の略式会談」と公式に発表したが、日本はこれを「懇談」と表現する。
解決案の提示がない限り、韓国との首脳会談はおこなわないというのが日本の立場だ。
尹政権がその案をまとめることはなかったけれど、そのために努力していること確かで、それを認めたから日本は話し合いに応じたハズ。
去年のいまごろの「完全スルー」とは大違いだ。
中央日報の記事(2021.11.03)
バイデン大統領と単独で会った岸田首相…文大統領とは「遭遇」もなかった
かといって、日本が立場を曲げることはできない。
だから「正式」はもちろん、「略式」の会談だとも認めず「懇談」とした。
韓国の大統領室は「就任後初めての韓日首脳間略式会談」と、尹大統領と岸田首相が握手を交わしている写真を公式ホームページに載せた。
でも日本政府が公開した公式英文ホームページには、尹大統領と話した記録は一切ない。
ニュージーランドの首相との「懇談」(informal talks)あるのに、尹大統領と会った事実はホームページ上では無かったことになっている。
韓国としてはこの温度差が気にならずにはいられない。
日本は就任後の尹政権の取り組みを評価して、できる限りの「誠意ある呼応」をしている。
「遭遇」もなかった文前大統領とは違って、日本政府も尹大統領に期待しているはずだ。
でも、譲れない一線があることは、政府の使う微妙な表現に表れている。
韓国が日本の一挙手一投足に気になるのは分かるとしても、願望を基に拡大解釈しないで、今度は韓国が「誠意ある呼応」をしてほしい。
解決案の提示ナシでの関係改善はやっぱり無理だ。
ドルに対してウォンの為替レートが非常に下がっています。
韓国の経済が厳しいという意味です。このような時期に日本との関係が悪ければ、災いを招く可能性もあります。尹氏はそれを懸念しています。
しかし、彼の本音は相変わらず日本と親しくなりたくないでしょう。
彼の韓日間の近代史認識も前政権と変わりませんからね。
尹氏のほかで、日韓関係を改善させられる有力政治家は韓国にはいないように思います。
心の中はどう思っているか分かりませんが。