欧米列強の背中を追いかけていた明治日本が、一つの到達点に達したのは1872年。
明治5年の9月12日、ついに新橋~横浜間で日本初の鉄道が開通したのだ。
この事業で大きな貢献をするなど、日本鉄道の基礎を築いたイギリスの技術者エドモンド・モレルは「日本の鉄道の恩人」と言われている。
そして2年後の1874年には新橋駅に着く寸前に列車が脱線し、早くも日本初の鉄道事故が発生。さいわい死傷者はなし。
同じ年の12月1日には現在の尼崎駅を出発した列車が、線路内へ侵入したウシと衝突してこれまた脱線。
ウシさんの即死は免れなかったけど、人間の負傷者はゼロ。
0といえば、新幹線も1964年の開業以来、死亡事故はゼロをキープしている。
ただ、高校生が新幹線の扉に指を挟まれて、ホームから転落して死亡した事故などはあるから、車内にいる乗客が死亡する事故は起きていない、ということ。
大きな地震があって「あ、死ぬんだな」と思っても新幹線なら大丈夫だ。
1872年に鉄道が開通すると、1894年には日本初の本格的な時刻表『汽車汽船旅行案内』が出版された。
この時代の日本の鉄道がどれだけ時間に正確だったかは知らんけど、21世紀のいま日本の電車の運行は1分単位で正確で世界でもトップか、控えめに言ってトップクラスにある。
新幹線については安全神話のほかに、時間厳守でも日本は世界に誇ることができる。
先月亡くなったあの方も新幹線の“ファン”だったらしい。
テレ朝ニュース(2022/09/13)
エリザベス女王“来日秘話” 新幹線“楽しみ”女王が思わぬ行動に
1975年にエリザベス女王が初めて日本へやって来ると、天皇陛下主催の宮中晩餐会に出席したり、都心でのパレードに参加して積極的に活動する。
女王は伊勢では海女の実演を見学した。
5月でまだ水温が低かったことから、「寒いといけないから早く上げてやって下さい」と海女さんに配慮する優しい一面も見せたとか。
そんなエリザベス女王は「新幹線は時計より正確だと聞いています」と述べるなど、新幹線に乗ることを楽しみにしていた。
英女王のそんな言葉を聞いて、草葉の陰でモレルも「え?」と驚いたはず。
そんな女王の期待にもかかわらず、国鉄の労働組合が賃上げのストライキをおこなっていたため、東京から京都までの移動で新幹線を使えなくなるという、いまでは考えられない事態が発生し、空路に変更された。
このとき女王は「労働者たちの権利を最優先させるべき」とイギリス人らしい発言をしたという。
そこから東京へ戻る途中、名古屋で初めて新幹線に乗ることになる。
エリザベス女王は当日、予定より早くホームへ向かったという。
その理由は「新幹線がホームに入ってくるところを見たい」から。
どうやら女王には「鉄ちゃん」の一面もあったらしい。
エリザベス女王をそんな気にさせた日本の新幹線もスゴイ。
この日は大雨による徐行や、172個あった女王の荷物を積み込むのに時間がかかって時間は遅れていた。
でも定刻どおり東京駅に到着して、「新幹線は時計より正確」という女王の期待に国鉄は応えた。
賃上げストで女王を新幹線に乗せなかった労働組合のほかは、登場人物みんながスバラシイ。
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