シリアの首都ダマスカスには8世紀に建てられた、世界最古のイスラム礼拝所のひとつ「ウマイヤド・モスク」がある。
モスクが建てられるまえ、そこにはイエス=キリストに洗礼(バプテスマ)を授けた聖人ヨハネのお墓とキリストの教会があった。
その教会を改修してつくられたウマイヤド・モスクには、聖ヨハネの頭部が埋葬されていると信じられているから、キリスト教徒も巡礼でここを訪れる。
異なる宗教との対話を呼びかけていたヨハネ・パウロ2世が2001年に、ローマ法王として歴史上はじめてイスラム教のモスク(ウマイヤ・モスク)を訪れて、世界的なニュースになった。
キリスト教の教派や、イスラム教やユダヤ教などの宗教の違いを超えて対話と協力を目指す運動を「エキュメニズム」という。
キリスト教とイスラム教の平和友好、エキュメニズムの精神を体現しているのがこの2人。
Photo: Tancrède Dumas | Public domain, via Wikimedia Commons
小柄の男はムハンマド(Mohamed)というイスラム教徒で、彼は歩くことができなかった。
そんな彼を背負うサミール(Samir)はキリスト教徒で、彼は目が見えない。
ともに孤児として育った彼らは同じ部屋に住んでいて、外出するときはムハンマドがサミールに指示を出して、ダマスカスの迷路のような道を移動していた。
サミールにはおしゃべりの才能があって、ダマスカスのカフェで客に千夜一夜物語を語り、ムハンマドはそんな友人の話を聞くのが好きだった。
あるときムハンマドはサミールが部屋で死んでいるのを見つけ、そのあと7日間泣き続けた。
「宗教が違うのに、なんでそんなに仲が良いのですか?」という質問に、ムハンマドは自分の心臓を指差して「私たちはここで同じだったのです」と答えたという。
写真は1899年にシリアのダマスカスで撮られたもの。
くわしい話は「Aleteia」の記事を。(10/05/21)
A picture of a friendship: The paralyzed Christian and the blind Muslim
宗教の違いを超えて、互いに足りないものを補い合いながら、協力して生きていくのはエキュメニズム精神そのものだ。
ムハンマドとサミールはそんな言葉を知らなかっただろうけど、彼らほどその意味を知ってる人はいない。
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