キリスト教とイスラム教の大きな違い。「受肉」ってナニ?

 

はじめの一言

*「恰幅(かっぷく)」「識(し)」「慎み(つつしみ)」

(明治天皇のついて)
「外見上、日本人としては大柄で、恰幅がよかった。筆者(ベルツ。訳者注)が識っている三十年の間、かれはあまり変わっていない。公式の場所に出るときは、いつもかれは軍服を着けていた。一時かれは、乗馬に熱中したが、後はただ軍事上の機会しか、馬に乗らなかった。しかもかれは、自分の腕前を見せびらかせるようなことは、全くなかったが、それというのも、もともと慎み深くて、内気に近い性質だったからである(ベルツ 明治時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

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明治天皇(ウィキペディア)

大政奉還により王政復古の大号令を発する、「五箇条の御誓文」を宣布する、東京に遷都する。
近代天皇制国家を確立した偉人ですね。

 

 

では、クイズから始めます。

キリスト教の神(ゴッド)の教えは、どうやって人間に伝えられた?

スマホで送信した?
伝書バトで送った?
手紙で送った?

 

すべて違いますね。
天にいたゴッドが「イエス・キリスト」という人間になって地球にあらわれる。
そして直接人びとに神の教えを伝え、キリスト教の始祖となった。

イエス‐キリスト(Jesus Christ)

30歳ごろバプテスマのヨハネから洗礼を受け、ガリラヤで神の国の近いことを訴え、宣教を始めた。ペテロなど12人の弟子と活動を続けたが、ユダヤ人に捕らえられローマ総督により十字架刑に処せられた。

(デジタル大辞泉の解説)

 

処刑されたのだけど3日目に復活。
それを確信した弟子たちはイエスをメシア(救世主)だと信じて、キリスト教が始まった。

「イエス・キリスト」の「イエス」は、もちろん英語の「yes」でも「高須クリニック」のことでもない。

これは「神の救い」という意味のギリシア語だ。

英語読みだと「Jesus Christ(ジーザス・クライスト)」だから、英語で話をするなら「ジーザス」と言おう。

 

 

さて、天にいる神(ゴッド)が人間としてこの世にあらわれるためには、「肉体」が必要になる。

神が肉体をもった人として地上に生まれることを、キリスト教で
「incarnation(受肉)」という。

じゅにく 【受肉】

キリスト教で、永遠の神の子キリストがイエスという人間(肉体)になって地上に生まれたこと。霊が肉に結合すること。

(世界宗教用語大事典 )

 

神(ゴッド)が受肉して、「イエス・キリスト」という人間になって生まれる。
そして人びとにキリスト教を伝えたのだから、この受肉という概念はキリスト教にとって本当に大事なもの。

 

 

さて、もう一つ質問。

イスラーム教では、神(アッラー)はどのように教えを人びとに伝えたか?

キリスト教では、ゴッドが受肉して「イエス・キリスト」という人間になって地上にあらわれた。
同じように、アッラーも受肉して人として地球に生まれたか?

違いますね。
イスラーム教では、アッラーは受肉してない。
自分が直接に教えを伝えたのではなくて、大天使ジブリール(ミカエル)に自分の教えを伝えさせている。

 

下の絵は洞窟にいたムハンマドが、大天使ジブリールからアッラーの言葉を聞いているところ。

Mohammed_receiving_revelation_from_the_angel_Gabriel

天使ジブリールから啓示を受けるムハンマド
(14世紀,エディンバラ大学所蔵『集史』「預言者ムハンマド伝」載録の細密画)(ウィキペディア)

 

イスラーム教の場合、アッラー(神)が受肉して人として生まれてはいない。
だからアッラー(神)が直接人間に教えを伝えたのはない。
そうではなくて、大天使ジブリール(ミカエル)にアッラーの言葉をムハンマドに教えている。

 

前回、仏教の言葉である「輪廻(りんね)」の英語を覚えるなら、「reincarnation(輪廻)が良いですよ」と書いた。

というのは、それならキリスト教の根本思想である「incarnation(受肉)」も一緒に覚えられて便利だから。

そういうことで、こちらの言葉をおススメしたわけです。

 

 

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2 件のコメント

  • コメントありがとうございます。
    ジブリールとガブリエルは同じです。
    ガブリエルのアラビア語読みが「ジブリール」になります。
    「日本」を韓国では「イルボン」、中国では「ジーベン」と読むようなものですよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。