【漢字と悪意】“犬扱い”された日本の政治家・中国の皇帝

 

a・b・cのローマ字や조・선・글のハングル文字、ه, و, يのアラビア文字とは違って、表意文字の漢字にはそれぞれ意味がある。
だから知り合いのドイツ人に、「愛知を英語にすれば”Love Wisdom”になる」と説明すると「かっけー!」となって、わが静岡を「Silent Hil」と言うと「それ、やべーホラー映画じゃん」とドン引きされた。
ちなみに三重は「Triple」で特に面白みは無い。
そんな愛知も悪意でもって「哀痴」と書くと、かなりイメージは悪化する。

さて最近、自民党の高市早苗議員について、ある野党議員がツイッターでこうつぶやいた。

「高犬早苗さんを葬儀大臣に」

「高市(イチ)早苗さんを総理大臣に」にかけた言葉なんだろうけど、政治家が人間をイヌ扱いするのは一線を越えている。
結局この議員は投稿を「不適切」だったと認めて謝罪し、ツイートを削除。しただけでは済まされず、所属していた政党からの離党を表明した。
ただ、「悪い冗談のツイートとは言え」というイラナイひと言が燃料となって、さらなるムダな炎上を引きおこす。
これにあきれるネット民。

・Twitterのまともな使い方を党で教えないと…
・こりゃ辞職までいくだろw
・小学生でも思いつくが喋ったり書いたりはしないレベル
・悪い冗談とは言え、という時点で素直な気持ちが全く無いな
・こんなしょうもない悪口言うために政治家になったのか

 

この低レベルな騒動で思い出したのが、2000年ほど前の中国の皇帝・王莽だ。
王莽は皇帝の座を奪って漢王朝を滅ぼし、「新」という新しい王朝を始めたものの、政治家としては絶望的に無能だったため、中国社会を大混乱させて自分は暗殺された。
そして次に光武帝(こうぶてい)という名君が後漢を建国する。

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パソコンでは出てこないけれど、この「王莽」の「莽」は、本来は真ん中の部分を「大」ではなくて「犬」と書く。
あまりにヒドイ皇帝だったから、後世の人間が犬の字を入れて、王莽の名誉を汚したかったたと言われる。
王莽はファンタジー世界の住民で、数百年前の周の時代を理想として政治行なったり、敵を「おまじない」で撃退しようとしたり、現実からかけ離れしたことをしてムダに国費を使って民衆を苦しめたから、「イヌ扱い」されてもやむなし。
それに大を「犬」と書くことで、古代の中国人の悪意や蔑視がいまの日本人にも伝わるから、漢字は面白いしスゴイ。
でも、害悪でしかない中国皇帝と高市議員はまったく違うから、「高犬早苗さんを葬儀大臣に」はあまりに幼稚でむごい。
政党から損切りされて、そう言った人間こそ社会的に葬られそうなのも漢字の持つ威力による。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。