最近、アメリカ人とコストコで買い物をして、その後、コーヒーを飲みに行いった。
そこで、「ウインナーコーヒーって最初、わけが分からなかったよ」とか言ってた彼に、こんな質問をされる。
「正月になると家の玄関に飾るアレには、どんな意味があるんだ?」
ああ、しめ飾りね。
しめ飾りはお正月に神(年神さま)を迎えるためのもので、それを玄関に付けていると、一年の幸運をもたらす神様が訪問してくれる。つまり、無ければスルー。
しめ飾りは神社によくあるしめ縄の一種だから、魔除けになって、家の中を清浄で神聖な空間にするといった意味もあると思われ。
しめ飾りについて解説するサイトにも、「悪霊を侵入をさせないため」といった解説がある。
そんな話をすると、「なるほど。じゃあクリスマスリースと似てるな」と彼が言う。
しめ飾りと似てる…か?
たしかに欧米のクリスマスは1月5日までだから、どっちも飾る時期はかぶっているし、家の入り口に付けるという点も同じだ。
でも、外見のオシャレ感がまったく違うし、今までその2つをつなげて考えたことがなかった。
そういえば、クリスマスリースの意味を知らなかった。
あれはただのファッションではなくて、歴史のある伝統文化だから、それなりに深い目的があるのでは?
こうした欧米のことは英語版ウィキベテアが信頼できるから、ここでは「Advent and Christmas wreaths」をソースにしよう。
まず材料となるヒイラギやマツ、ゲッケイジュといった常緑樹は、一年を通して緑の葉が見られることから、神によってもたらされた永遠の命を表す。
そして花輪の丸いリングの形は始まりも終わりもない、永遠の存在である神を表しているという。
ただヨーロッパで花輪を使う習慣はキリスト教の前からあって、古代ギリシャ時代には「永遠の命の輪(a circle of eternal life)」の象徴として葬儀の際に用いられた。だからクリスマスリースは、こうした伝統を土台にして生まれたと思われる。
キリスト教では神が自宅へやってくることはないから、しめ飾りとは根本的に意味が違う。
でもそのアメリカ人が言うには、クリスマスリースにも魔除けの意味があって、それを付けていることで、邪悪なモノは家に入ってくることができない。
「Remodel Or Move」という海外サイトにも、丸い形は災いや病気を遠ざけると信じられているから、アメリカ人は魔除けとしてクリスマスリースを玄関に飾ると書いてある。
Americans also place wreaths on their front doors for spiritual protection against evil, as the shape is believed to ward off bad luck or illness.
この意味なら、しめ飾りの役割と同じだ。
クリスマスリースの材料である「常緑樹」に着目するのなら、しめ飾りと並ぶ正月飾りの門松がある。
これも年神さまを家に迎え入れるためのものだから、一般家庭はしめ飾りで、おカネのある商業施設なんかは門松を入り口に飾っておく、と勝手に考えている。
雪の降る冬になっても、豊かな緑をキープしている松は日本では強い生命力の象徴とされていて、皇居や伊勢神宮にもたくさん植えられている。
日本語的にも松は「祀る」に通じて、その意味でも縁起が良い。
中国でも松は不老長寿や繁栄の象徴とされたから、クリスマスリースの「永遠の命」と本質的に同じだろう。
東アジアでもヨーロッパでも人間は、松の木を見て同じことを考えるらしい。
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