【韓国人の眼】日韓の正月の同じと違い/日本で人気の旅行先

 

今月はじめ、以前は日本に住んでいて、いまはソウルで働いている韓国人(20代・男性)と話をしたから、今回はその内容を紹介しようと思う。
*これは彼の個人的な意見、十人十色の一色なので、別の見方をする人もきっといる。

 

ーー(韓国の正月は1月21日だったから)このまえはお正月でしたね。明けましておめでとうございます。

はいそうです。
明けましておめでとう ごじゃざいます。

*韓国語には「ざ」の発音が無いから、「じゃ」に近い音になる。
これは「日本語を話す韓国人あるある」のひとつ。

 

――韓国の正月は「ソルラル」って言いますよね?
漢字で書くとどんな感じですか?

「ソルラル」を略して「ソル」って言う人も多いです。
太陽暦の1月1日(日本の正月)を「新正(シンジョン)」、太陰暦の正月を「旧正(クジョン)」と言うこともあります。

「クジョン」と違って、「ソルラル」には漢字が無いですね。
というのは、ソルラル(설날)は中国から漢字が伝わる前から韓半島にあった言葉ですから、漢字で表記することはできません。
「ソウル」も同じです。
だから日本の地図では釜山や仁川は漢字なのに、ソウルだけはカタカナ表記になっています。

*日本でいう朝鮮半島は韓国では韓半島という。
1948年にはじまった朝鮮戦争は開戦日から「6.25戦争」、または韓国戦争とよばれる。
これは”じゃ”と違って政治的な理由で。
それと中国は漢字の国だから、空港なんかで「ソウル」は「首爾」と表記されている。

 

――韓国人は正月に何をしますか?

実家に帰って、ご先祖に新年のあいさつをします。
いろんな料理や果物を先祖の霊にお供えする「茶礼(チャレ)」をして、その後、お墓参りに行く人も多いですね。
日本の正月はどんな感じですか?

ーー日本の正月で大事なことは、一年の幸運を運んでくれる「年神さま」を家に迎えることです。
そのためにしめ飾りを玄関につけたり、鏡もちを家の中に置きます。
ご先祖の霊を迎えるのは夏のお盆です。

なるほど。
日本の正月は神道の考え方に基づいているのですか。
韓国の正月は、先祖崇拝の儒教がベースになっていますから違いますね。
伝統的に韓国では儒教の影響が強くて、それが日本の文化や価値観との違いになっています。

*1392年~1897年までの朝鮮時代、儒教は国教となって国民の間に深く浸透していった。
日本では明治時代に神道を国教化しようとする動きがあったけれど、うまくいかずにすぐ消える。
これに失敗した明治政府は、神道を宗教ではなく”道徳”と位置付けた。
知人の韓国人も儒教は宗教ではなく、道徳や社会的なモラルのようなものだと考えていた。

 

あっ、でも韓国にも、日本のお雑煮のような「トックク(トックック)」(韓国風雑煮)を食べる風習があります。
それと、子どもたちにお年玉をあげることも日本と同じですね。

*「餅」を意味する韓国語が「トッ(トク)」。
これに「ポギ(炒める)」をくっつけたのが「トッポギ(餅炒め)」。

 

ーー今年の正月休みには、たくさんの韓国人が日本へ旅行にきました。
日本で人気の旅行先はどこですか?

若い世代なら京都だと思います。
そういえば日本旅行について、まえにネットを見ていて意外に思ったコメントがありました。
40年ぐらい前の韓国人には東京や大阪が人気で、近代的なビルが林立する景色を見てビックリしたり、喜んだりしたという書き込みがあったんですね。
時代の変化を感じます。
いまの20・30代の韓国人も東京や大阪に行きますけど、そういう景色はソウルで見慣れていますから、ビル群を見てもその世代ほどの感激はありません。
韓国はもう先進国だと自負している人も多いですし。

若い人たちの間で京都の人気が高いのは、日本の伝統や歴史を感じられる場所だからです。
東京や大阪にも古いお寺や神社はありますけど、京都はそういう「点」のスポットではなくて、全体的に昔の日本の家並みや景色を見ることができます。
ぼくも京都は好きですよ。
清水寺とその周辺(二年坂・三年坂のあたり)はとても日本的だと思いましたし、ブラブラ歩いているだけでも雰囲気を楽しめました。

 

ーーなるほど。
今日はいろんな話が聞けて楽しかったです。ありがとうございました。

いえ、こちらこそ。
ありがとう ごじゃいました。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。