久しぶりに知り合いのトルコ人と会ったら、
「日本に来る前から、絶対に行ってみたいと思ってた。だから、いますごくワクワクしてるよ」
と彼が目をキラキラして言ったのは、メイドカフェのことだった。
ユーチューブで見て、その独特な世界観に衝撃を受けた彼はすぐに「バケットリスト」(死ぬまでにやりたいこと一覧)に入れて、いつか経験したいと思っていた。
それがもうすぐ現実になるから、ワクワクが止まらないようす。
そうか。
なら、全身全霊で「萌え萌えキュン」をしてきてくれ。
日本人なら想像がつくと思うけど、一応、プロの教える基本を確認しておこう。
この日本発の萌え文化は世界的にも知られるようになって、海外にもメイドカフェがつくられるほどだから、英語版ウィキベテアには当然その項目がある。
そこにある説明はこんな感じだ。
特にマンガやアニメのファンなどに、三次元(現実世界)ではうまく人間関係を築くことができなくて、さみしい思いをする人がいる。
そんな彼らが別の形で親密さを感じて、心が満たされる場所としてメイド喫茶はある。
some people who cannot form organic relationships with others turn to other forms of intimacy in order to fulfill the missing intimacy in their lives. Therefore, maid cafes provide a place for people to do so,especially for those who are interested in manga and anime
いわゆる「コミュ障」な人が、人とのつながりを感じるためにメイドカフェへ足を運ぶ。
まあ、そんな要素もあると思う。
冒頭のトルコ人に聞くと、メイドカフェあったらトルコでも人気が出そうな気はするとのこと。
では、ほかの外国人はどう思うのか?
日本でメイドカフェに行ったことのあるドイツ人(30代・男性)と、未経験のアメリカ人女性(20代・女性)に意見を聞いてみた。
ーーあなたは秋葉原のメイドカフェへ行ったんですよね。
それはどうでした?
京都で経験した舞妓遊びと似てると思ったね。
もちろん舞妓とメイドの格好、店の雰囲気、やることはまったく違うけど、どっちもお客さんを楽しませる日本の「おもてなし文化」と感じた。
ドアを開けたら「おかえりなさい旦那さま」って言われて、頭を下げるメイドを見て「ワオ」って思ったし、メイドと一緒にオムライスへ「美味しくなる呪文」をかけるのも面白かったよ!
食べ物・飲み物、ゲーム、会話、写真撮影がパックになっていたのは、舞妓遊びと同じシステムだった。
ーーなるほど。
心が満たされたワケですね。
ドイツの常識からして、ドイツにもメイドカフェはできると思いますか?
残念ながらそれは無理だろう。
まずあんな店ができると知ったら、ドイツのフェミニストたちが絶対に黙っていない。
メイドカフェが好きな人もいるだろうけど、世間の広い支持は得られそうにないし、店は批判に耐えられないと思う。
ーー日本の「萌え」は、ドイツのフェミニストには「男尊女卑」で差別的に見えるのですか。
まあ伝統が違いますしね。
それとメイドがあぶない。
僕が店へ行ったときには「メイドに触らないでください」と注意を受けたけど、それだけなんだ。
店にはアルコールもあったし、ドイツだったらメイドに手を出したり、暴言を吐いたり卑猥なことを言う客が出てくるから、メイドを守る人間が必要になる。
日本人なら店のルールを知らせれば、それをしっかり守るからこんな店が成立すると思ったよ。
(次はアメリカ人女性の意見)
日本に住んでいたとき、わたしは行ったことないけど、友人でメイドカフェに行った人がいる。
食べる前にメイドが「美味しくなる魔法」をかけたけど、あれだとオムライスが冷めて、むしろマズくなりそうだと言っていた。
彼はきっとメイドカフェに向いていない。
ーードイツ人に聞いたら、きっとフェミニストが怒ると言っていました。
アメリカだったらどうだと思いますか?
もちろんフェミニストは怒るだろうけど、アメリカには「フーターズ」っていう店がいくつもあるし、メイドカフェも大丈夫だと思う。
*「フーターズ」は露出度高めのウェイトレスが接客をしてくれるアメリカ発祥の店。
それとアメリカ人では、メイドになりたいという女性は少ないと思う。
客を「マスター(ご主人さま)」と呼ぶのはまさに男尊女卑で屈辱的だし、かわいい制服に大きな魅力も感じない。
だから従業員を集めるのが大変そう。
でも、どうやって客にルールを守らせるの?
事前に説明するだけで、アメリカ人が言うことを守るとは思えないから、きっと何らかの対策が必要になる。
それとアメリカ人は人と人との距離が近くて、知らない人にも気軽に話しかける文化があるから、「メイドと話やゲームをして心を満たす」という需要は少ないんじゃないかな?
メイドカフェと聞いて、知人の頭に浮かんだ「フーターズ」とはこんな店。
個人的には、これはサービスというより公開処刑。
これじゃ「萌え」じゃなくて、萎えてしまう。
だったら、メイドとオムライスに「美味しく呪文」を唱えるほうがいい。
日本だったら、こんな格好よりメイド衣装を選ぶ女性が多い気がする。
外国人から見た日本の男性差別①その例:プリクラ店とレディスデー
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