【折れぬ!】日本人の“ルール絶対主義”に、米国人あきれる

 

日本は先月、インド人の感覚ではあり得ないことをした。

日テレニュース(2023年3月2日)

林外相が国会対応でG20欠席…答弁たった“53秒” 「日本の信じられない対応にインド衝撃」 

このときインドで開かれていたG20外相会合は、アメリカのブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相など世界中の外交トップが出席して、「極めて重要な外交の場」となっていた。
そこに招待されていた日本は国会対応を優先。
林外相は欠席して、代わりに外務副大臣を派遣した。

日本はことし5月に開かれる「G7サミット」のホスト国で、失敗は絶対に許されない立場にいる。
それを成功に導くためにも、今回の外相会合で日本の存在をアピールしたり、各国の外相とあいさつを交わすべきだと思うのだけど、日本は「国会のルール」を選んだ。

*日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国の7か国がG7で、それに中国やインド、欧州連合・欧州中央銀行などを加えたのがG20。

林外相が国会でしたことは一回の答弁だけで、時間にするとザ・53秒。
キャンセルされたインドでは、主要メディアが「日本の信じられない対応にインド衝撃」と報じた。
それは日本も同じだ。
読売新聞はこんな判断をした日本の与野党を社説で批判。(2023/03/02)

政府は、林氏のインド出張の了承を求めたが、自民党も立憲民主党も「国会のルールが優先だ」として応じなかった。(中略)重要な外交交渉を担う首相や外相については、柔軟に海外出張を認めるべきだ。

外相のG20欠席 国会が日本の立場を傷つけた

 

立場も考え方も違うのに、与党と野党はこの件では一致した。
そんなところに「ルールは絶対」、「柔軟性や例外は認めない」といった日本人の”らしさ”が表れている。
良くも悪くも日本人は規則やきまりをそのままキッチリ守って、ルールの目的を置き去りにして、それを死守することにそれに全集中してしまうことがある。
組織の内側にいる人たちにとっては正解でも、外部の人間が見ると「日本の立場を傷つけた」と無意味どころか、大事な利益を失っているように見えることもある。

 

日本の常識やルールが通じないのがインド
でも、日本の「G20欠席」は世界の想像を超えていたのでは?

 

日本で英語を教えていたアメリカ人と会った時、「このまえ、とても日本人らしい光景を見たよ!」と言うから、その内容を聞いてみた。

10月のある日、地球温暖化のせいか、太陽神が怒っているせいなのか、とにかく気温がとんでもなく上昇したから、名古屋の街を歩いていて、ちょっと疲れた彼はカフェで涼むことにした。
ドアを開けると、店員が「いらっしゃいませ」とあいさつするのはいつものことで、店内が予想以上に暑いことに彼は違和感を感じる。
ガマンできないほどじゃないし、まあいいかと思ってアイス・コーヒーを注文すると、「ちょっと、店の中が暑いよ。もっとエアコンの温度を下げてよ」と近くの日本人の客が店員に文句を言うのが聞こえてきた。
「そりゃ、そうだろ」と思ったアメリカ人は、店員の予想外の返事にビックリする。

「10月の設定温度は〇〇度までとなっています。いまはその温度ですから、これ以上は下げることはできません」

「いや、今日はおかしいし、アンタも暑いだろう」と客が言っても、「申し訳ありませんができません。そういうきまりなので」と店員はサウザーのように一歩も引かない。
そのうち客が怒って、店を出て行ていってやりとりは終了。

 

 

アメリカ人はこの「エアコン対決」を見てどう思ったか?

彼に言わせると、店員はエアコンの温度を下げるべきだったし、それをしないのはケチじゃなくてバカ。
店は電気代を浮かすために、10月の限界温度を設定したのだろう。ひょっとしたら、回転率を上げるためだったかもしれない。
どっちにしても店の利益が第一にあって、そのためにルールが作られたはず。
でも、あの暑さでは不快感を感じる客はきっと多い。
店員の仕事の効率ややる気も落ちるだろうし、実際に客の対応で、本来ならイラナイことに時間やエネルギーを使っていた。
自分には店の利益を失っているようにしか見えないが、店員はルールを守ることしか見えてなさそう。
いちばん重要なことは店のきまりを守ることじゃなくて、ゴールを達成すること。
ルールが作られた目的や意味を考えれば、「10月の設定温度は〇〇度まで」は原則として守って、あとは状況に応じて必要ならそれ以下の温度にするべきだ。
設定された温度を絶対に守るのがエアコンで、店員なら店の利益を最優先に考えて柔軟に判断しないといけない。

 

そんなことを話す彼も、電車や地下鉄が時間どおりにきたり、社会に秩序があって快適に生活できるのも、日本人の「ルール厳守」のおかげであることのは分かっている。
だから、それを単純に良い/悪いと評価することはしない。
そもそもそのカフェの売り上げがどうなっても、自分には1ミリも関係ないからどーでもいい。

全体的な利益は頭から消えて、目の前のきまりを死守しようとする日本人は街中のカフェから国会まで全国にいる。

 

 

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【謎ルール】日本でポニテ、イスラム教で素肌を“禁止する”ワケ

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。