日本人も水を神聖視するが、インドの階段井戸は異世界レベル

 

日本昔ばなしの世界や、いまでも発展途上国では生活必需品の井戸。
昭和の時代には、そこへ人が落ちる不幸な事故があったという話を聞いたことあるが、インドはスケールが違う。

朝日新聞の記事(2023年3月31日)

群衆が井戸に転落、35人が死亡 インド中部、重みで覆いが崩落か

当時、インドにあるこのヒンドゥー教のお寺では祭りが開かれていた。
それで大勢の人が押し寄せて、井戸の上部を覆っていた“フタ”がその重みに耐えられず崩落。
するとそれと一緒に上に乗っていた人たちも落下して、35人の遺体が見つかったという。

想像を超えた事故に驚く日本のネット。

・なにをどうしたらこんな事になるんだよ
・インド寺院もびっくり
・なんで寺院?
・階段井戸って凄いな初めて知った
・ひぐらしで見た
・貞子が上がれないくらいだしな

このコメントにある「階段井戸」というのは、日本人が一般的にイメージする井戸とまったく違う。
昔ばなしに出てくる井戸は地面をまっすぐ掘って作り、つるべと桶(おけ)を使って水をくむスタイルで、インドにある階段井戸とは人が階段を降りていって、水面に達して水を得るものをいう。
あえて日本でいうなら「まいまいず井戸」がこれに近い。

 

これはグジャラート州で見た階段井戸。
日本人の“井戸概念”をぶち壊すインパクトがある。

 

地下の水面に到達するために階段が作られた井戸。
そこには柱が何本もあって精緻で美しい彫り物がされていて、まるで神殿のようになっているのは、大事な水を神聖視するヒンドゥー教の考え方があったからという。
それで井戸の水をつかさどる神を祀るために、寺院が作られたところもある。
インドでは普通は女性が水をくむことになっていたから、女性は水と密接な関係があった。
井戸の女神に祈りを捧げたり贈り物をしたりして、その加護を受けるのも彼女たちだった。

Usually, women were more associated with these wells because they were the ones who collected the water. Also, it was they who prayed and offered gifts to the goddess of the well for her blessings.

Stepwell

 

階段井戸は暑い時期になると、人びとが涼をとるために集まる避暑地の役割も果たしていたから、そこではまさに井戸端会議が行われていたはずだ。
でも、この井戸水には衛生上の問題があったから、イギリス植民地時代になると、ポンプなどを使った井戸へ変わっていく。

 

多神教のヒンドゥー教と神道には似ていて、風、水、太陽といった自然物に“神”が宿るという発想はどっちの宗教にもある。
水が無くなったら人は生きていけないから、井戸を大事に考え、神聖視するのは日本人も同じ。
神道で井戸の神さまとしては、水神のミヅハノメがわりと有名だ。
「井戸を守る(井守)」からイモリの名前ができたという説もある。

宗教をあまり信じない日本人でも、神社やお寺からいただいたお守りやお札を、ゴミ箱にポイっと捨てることに抵抗を感じるだろう。
それまで神聖視していた井戸を埋める時にも、何か特別なモノを感じる人もいるから、その際には魔除け(お祓い)の儀式を行ったり、「息抜き」をすることがある。
この場合の「息抜き」とは、竹やパイプを上から通して井戸の底に当てること。
そうすることで、井戸に宿る神や精霊が呼吸をすることができるようになるという。
日本人にとって井戸は信仰の対象でもあったら、いまでも井戸じまい(井戸の解体)をする際にはお祓いや息抜きがよく行われる。

 

ということで本日付でまとめ

多神教の神道とヒンドゥー教には自然物に神が宿るという発想があるから、日本人やインド人には水や井戸を神聖視する。
でも、日本には階段井戸のような世界遺産レベルの建物はないし、一度に35人が死亡する事故もあり得ない。

 

「2:10」のところで息抜きが始まる。

 

 

宗教 「目次」

インド 「目次」

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【ヒンドゥー教と神道】もしインド人を神社へ連れて行ったら?

インド人を日本のお寺へ①きっと喜ぶ菩提僊那と奈良の大仏の話

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。