【日本のから揚げ】外国人の感想・独自性や世界で人気のワケ

 

このまえのゴールデンウイークに、インド人2人とバングラデシュ人3人をつれてピクニックに行ってきた。
「ランチを持ってきてくれ。忘れないように」と事前にちゃんと連絡したおかげで、ランチを忘れたのは5人中2人だけだった。
途中で寄ったセブンイレブンで何を選ぶのかと思ったら、彼らは2人ともから揚げ弁当をチョイス。
インド人&バングラデシュ人の話だと母国には揚げ物がたくさんあるから、生肉に比べると、から揚げには親しみや安心感がある。
それにイスラム教徒やヒンドゥー教徒だと牛肉や豚肉を食べられないが、鶏ならそのハードルをクリアしている。
南アジアの人だけじゃなくて、欧米人にも日本にきてから、から揚げのファンになったという人はよくいる。
この日本人のソウルフードは外国人にどんな評価を受けているのか?
世界中の料理を紹介する海外のグルメサイト「テイスト・アトラス」が発表したストリートフードの世界ランキングを見てみよう。

10 Best Rated STREET FOODS in the World

*これは2023年3月13日時点のもので、アップデートされたら順位も変わる。

堂々の1位は「パステル・デ・ベレン」で、2位は「パステル・デ・ナタ」。

この2つはポルトガルのカスタードクリーム入りのタルトで、ウィキベテアには「パステル・デ・ナタ」で統一されている。
日本でいうエッグタルトは、もともとはパステル・デ・ナタの影響を受けてマカオで考案されたものだ。

3位:鍋貼(中国)
これはいわゆる焼き餃子。
でも、中国では水餃子がふつうで日本の餃子を中国で「鍋貼」というから、これは実質、日本が3位とみていいのでは?

4位:ロティチャナ(マレーシア)
ロティチャナはマレーシアにあるパン。

5位:タコス(メキシコ)
6位:カーニタス(メキシコ)
7位:唐揚げ
8位:バインミー(ベトナム)
9位:ピエロギ(ポーランド)
10位:エスキート(メキシコ)

ということで日本の食べ物の中では、唐揚げが世界のベストストリートフードのトップ10に入っている。
ただネットを見ると、この結果に違和感を感じる日本人が多かった。

・唐揚げをストリートで食うの?
・たこ焼きが入ってないな
・おにぎりやパンや肉まんなんかが日本の方がストリートフードっぽい
・お祭りの屋台じゃ、唐揚は紙コップに入ってて爪楊枝で食べるでしょ
・寿司だろ
江戸時代は屋台で売ってたファストフードだし

 

そんな日本人の声は置いといて、上のサイトではから揚げについて「日本料理の技法」と紹介している。
いろんな食材に片栗粉をまぶして揚げる、日本料理のテクニックがから揚げだ。

「karaage is a Japanese cooking technique in which various foods are first lightly coated in arrowroot starch, then deep-fried.」

鶏だけでじゃなくて、ほかの肉や魚を揚げた食べ物をひっくるめて「唐揚げ」としているから、それがカバーする範囲はかなり広い。

 

でも、から揚げというとやっぱりメインは鶏で、それならフライドチキンとどう違うのか?
ということで、日本に住んだ経験のあるアメリカ人に上のサイトを見せて、から揚げとフライドチキンの違いを聞いてみた。
そのまえにポーランドで生まれた彼女からすると、ピエロギをストリートフードにされていることに納得がいかない。
あれは家で作って食べる料理、ポーランド人にとっては「おふくろの味」らしい。
ストリートフードというと、アメリカなら屋台で売ってるホットドッグやタコスのことだから、ピエロギは明らかにジャンルが違う。
から揚げをストリートフードと言われると、「え?」となる日本人が多いようにこのランキングにはツッコミどころが多々ありそう。

さて2つの違いを聞くと、アメリカのフライドチキンは小麦粉を使って2回揚げるから衣が厚くて、から揚げは片栗粉をまぶして揚げるからカラッとしている。
ということでまずは食感が違うという。
それにアメリカにあるフライドチキンには骨があって大きいから、一口サイズの多いから揚げとは大きさも違う。
日本に比べると、アメリカの食べ物は基本とにかく何でもデカい。
それとそのアメリカ人からすると、日本のから揚げの魅力は次から次へ出てくる味のバリエーションにある。
アメリカのフライドチキンはKFCにあるような味が基本で、種類はとても少ない。
でも日本では、彼女がよくお世話になったローソンの「からあげクン」だけでも、

チーズ、レモン、徳島すだち、ゆずこしょう、明太チーズ、炙りバーベキュー、ゆずポン酢、江戸しょう油…といった日本でしか味わえないような個性的な味がある。
彼女としてはこういう日本人の創造性はアメージングのひと言。

 

でも、どっちもチキンをキチンと揚げるという本質は変わらない。
アメリカにいる彼女にはフライドチキンがあるから、から揚げをなつかしむことはないけれど、ときどきタイ焼きを無性に恋しくなる瞬間がある。
このアメリカ人にとっては、これが日本のベストストリートフード。
彼女が考えるに、フライドチキンは世界中の国にあって外国人はから揚げに親しみやすいから、ランキングの上位に入ることができた。

フライドチキンとの違いとしては、このほかにも「先手必勝」がある。
古代中国の兵法家・孫子は先に戦場へ着いた者が有利になり、遅れた者はそれだけで不利になると「先んずれば人を制す」の考え方をしめす。
から揚げもその兵法を採用して(たぶん)、揚げる前の肉に味付けをするところが、それをしないフライドチキンとはすでに差がある。
ということで同じ鶏の揚げ物でも作り方や味の種類がまったく違うから、から揚げは世界で人気の「日本料理」となっているのだ。

 

おまけ

アメリカ人と話をしてたら、3位の焼き餃子をアメリカでは「potsticker」と聞いた。
これは日本式餃子の「鍋貼」をそのまま英語にした言葉だから、やっぱりあれは日本料理とみていい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。