パソコン・キーの Altは Alternate(オルタネート)の略で、この言葉には「別の、代わりの」といった意味がある。
で、いまの日本の学校で ALTといえば、Assistant Language Teacher(外国語指導助手)を指す。
まだそんな外国人の先生がいなかった昭和の時代、中学生だったボクには日本人の先生のこんな指導が耳に残っている。
「a littleの発音は教科書には『ア リトル』と書いてある。でも、実際には『アリトー』だ。有藤さんと覚えておくように」
でも実際には、a littleを「有藤」と発音するネイティブは地球上に存在しない。
まあ昭和の英語教育なんて、全国的にこんなレベルだったと思う。
令和のいまは進化して、英語の授業では ALTが「a little」の発音を正確に教えてくれる。
日本に住む外国人は増えてネットが当たり前になって、英語を学ぶ環境は飛躍的に良くなったわけだが、日本人の英語力はどうなのか?
日本人の英語力は日本政府がよく知っている。
このままでは、もう始まっている国際化の時代に対応できないということで、国民の英語力を引き上げるために国は英語教育の目標を設定した。
中3で「英検3級レベル以上」、高3で「準2級レベル以上」になった生徒が全国的に過半数になることを目指す。
*英検を受けていない生徒については、教員が3級(準2級)相当の英語力があるかを判断する。
文部科学省が中学・高校生などを対象に調査した結果(2022年度)、中3が49.2%、高3は48.7%で、どっちも50%以上とした政府目標にはわずかに届かず。
ただ全体的には生徒の英語力は向上しているから、もう「有藤」なんて言ってる時代じゃない。
上の数値は全国平均だから、地域によって英語力の差は(けっこう残酷に)分かれている。
自治体別で目標に到達した生徒の割合を見ると、中学のベスト3はこんな感じだ。
1位:さいたま市(86.6%)
2位:福井県(86.4%)
3位:横浜市(66.0%)
島根県(34.1%)、鳥取県(34.6%)、愛知県(35.2%)など12の地域が4割に届かなかった。
わが浜松市は「45.3%」とさいたま市や福井県の半分ぐらいしかない。
でもそれより、個人的には静岡市(51.7%)に差を付けられたというのが衝撃的DEATH(デス)。
高校のベスト3(都道府県のみ)はこちら。
1位:福井県(60.8%)
2位:富山県(60.5%)
3位:石川県(57.7%)
一方で宮城県、福島県、鹿児島県は4割にリーチしなかった。
英検2級レベル以上の高校生の割合は全国平均(21.2%)で、トップ3がこれ。
1位:東京都(30.8%)
2位:愛媛県(26.9%)
3位:富山県(26.7%)
*くわしい内容は「英語教育実施状況調査」をクリックだ。
英語力について、さいたま市や北陸三県の強みってなんだろう?
この結果についてネットの反応を見てみると、日本人のキャラや文化に英語不振の理由を求める人が多かった。
・今はALTがいる上にテレビでもネットでいくらでも生の英語に接することができるのになぜ?
・すべては日本の文化が悪い
コミュ障で引き籠もり気質で間違いを怖がる小心者
・日本で育った欧米ハーフが英語喋れないって
この国は英語不毛地帯なんだろ
・そもそも国語が出来ないじゃん
・日本人が英語を学ぶには、まず陰気で内気な国民性を変える必要がある
フィリピン人のように嫌なことがあっても笑ってlet it goさせることを学ばないと
日本人の英語習得では失敗を怖がらないで、フィリピン人のような陽キャになることはたしかに有効だ。
でも、英語教育にそのためのシステムがあるのか?
フィリピン人が「うける~」とネットに投稿した写真。
この英語だと「価格がワクワクする」といった意味になるらしい。
知り合いの外国人のなかにも、日本の小中学校で ALTをしていた人は多い。
ある時そんなアメリカ人と話をしていると、日本の英語教育について彼女はとても残念に思うことがあるという。
それは学校の評価システムだ。
中学校で英語を教えていると、正しい知識はなくても、楽しそうに英語を使って話しかけてくれる生徒がどこの学校でも例外的にいた。
そういう生徒は細かい文法を気にしないから、「I like dogs(わたしは犬が好き)」を「I like dog」と言ってしまう。
するとそのアメリカ人は「この生徒は犬の肉が好きなのかな?」と一瞬、思ってしまうらしい。
「彼は犬が好きです(He likes dogs)」も、生徒は「He like dog」や「He like a dog」などと言ってしまう。
学校を離れて「三単現のS」をスキップするような英語を聞くと彼女は、「この人は英語を学んでいる最中なんだろうな」と思うだけで、意味は分かるし特に悪い気もしない。
そもそも英語を正しく話せないアメリカ人もいるから、そのぐらいの間違いは気にならないらしい。
そんなことよりも、生徒が英語を好きだということがうれしい。
英文法をぶっ壊しても、自分は何が好き/嫌いで、最近あったうれしい/腹立つことを生徒が話してくれて、生徒とコミュニケーションを取れることが彼女としてはすごく楽しかった。
でも生徒がそうやって、親し気に自分と話すのは休み時間や放課後のみ。
英語の授業の時には忍者のように存在感が消えて、いるかいないか分からないほど。
そのギャップに違和感を感じた彼女が聞いてみると、生徒は授業中は他の生徒や(日本人の)先生が聞いているから間違いをしたくない。正しい英語を話さないといけないから、話せなくなるという。
テストをするとその生徒の英語力は平均より下で、教室には「He likes dogs」以上の高度な英語を正しく書ける生徒はたくさんいる。
でも、そいう生徒は日本語を正しい英語にすることはできても、対面でのコミュニケーションは苦手で、意見や感想を聞いても「分かりません」と言ったり、黙っていることが多い。
そのアメリカ人が教えていた複数の学校では、生徒の英語力はほぼペーパー試験でしか判断されなかったから、意欲や積極性があっても、正しい知識がないと「英語ができない生徒」に分類されてしまう。
ネイティブから見ると英語の優等生ではないけれど、英語の「コミュ力」が飛びぬけている生徒がいる。
でも、客観性を重視する学校にはそれを評価するシステムがないから、本人は英語は好きでも自信はないし、自分を「ダメな子」と思っている。
それではいけない。こういう生徒も正しく評価されて、光が当たるような評価基準があるべきだ。
そう思って日本人の先生に話をすると、
「たしかに“やる気”は大事。でも学校では、第三者が正確に判断できる基準が必要だから、どうしてもそれは試験の結果になってしまう。それにもし本当に英語が好きなら、しっかり学んで正しい知識を身につけるようになる」
という否定的な反応が返ってきたから、アメリカ人はガッカリした。
ただ、こういう機械的な評価システムには国内でも批判があったから、いまの学校ではどうなっているか分からない。
きっと地方や学校によって違いもある。
ひょっとしたら北陸三県やさいたま市では地域文化の違いの他にも、生徒の英語意欲を試験結果に反映させるメソッドがあるのかも。
使える英語表現「fantastic」①出会いで「よろしく!」の意味で
外国人(アメリカ人とヨーロッパ人)との会話がで盛り上がる話題
韓国では「日本人は英語が下手だ」と広く知られています。
そして、それは日本人をからかうのに使われていますよね。特に、日本人は英語の発音が非常に悪いことをからかいます。しかもそれで”日本人は無知だ”と思ったりもします。
ノーベル賞科学部門で一つも獲得できなかった韓国が、日本を無知だと嘲弄するのがアイロニーです。言語というのはその国の人でなければ皆難しいのに、英語の発音で知識の水準を低評価するというのが話にならないですね。とにかく、韓国人は日本を無条件に卑下する習慣を捨てられません。
知人のアメリカ人が日本で英語を教えた後、韓国でも教えました。
そのアメリカ人も韓国のほうが英語が通じると言います。
ただ、きのう、「教育があるけど、教養のない人間はダメ」という記事を書きました。
英語力で相手を見下している人は、教養のない人と日本では見られます。