日本へ旅行に来る外国人の、最大といっていいほどの楽しみはグルメ。
いま日本料理のファンは増えていて、世界にある日本食レストランの数は2021年の時点で約16万店。
カナダのトロントで日本料理店を経営していて、寿司職人でもある柏原清一さんに言わせると、世界の主要都市で日本料理店のレベルが一番高いのはニューヨークで、その次がトロントだ。
ただ、トロントに800軒ほどある日本食レストランについて、フライデー・デジタルの記事で柏原さんは気がかりなことを言う。(5/28)
日本人の料理人がやっている店は10パーセントもないと思います。多くは、中国人や韓国人のオーナーが日本食を名乗って儲けることを第一に商売している。
「9割は中国人や韓国人のオーナーです」…カナダの日本料理店の現状・成功の秘訣を日本人経営者に聞く
こうした店との差別化を図るため、そして日本食の伝統を守るために、柏原さんの店は日本と同じ本物の料理を提供していてそれが成功の秘訣になっているという。
この手のニュースに対してネットでは、
「ニセ(インチキ)日本料理を許すな」
「日本政府は日本の食文化を守れ」
といった非難の声が上がると、
「何が悪い? 食の多様性だろ」
「日本でも中華料理店のオーナーはほとんど日本人。イタリア人でないとイタリアンを経営できないというのは差別」
といった反論がきてよく議論になる。
海外の日本食店で外国人がオーナーをしているのはいいとしても、実際の話、歴史問題でよく日本を非難する韓国・中国人は「別枠」で、日本ブランドを利用してカネ儲けをするのは許せないという人は多い。
中国人はどうか分からないけど、韓国人も同じで、日本人が韓流ブームに乗ってアメリカやカナダで韓国料理店をオープンし、韓国には無いような食べ物を出して、しかも儲かっていたらきっと不愉快になる。
日中韓の関係はとても複雑だから、文化の領域にも政治がからんで険悪な雰囲気になることが多い。
ただ日本ではイメージの悪い「ニセ日本食店」でも、そのおかげですごくステキな思い出ができて、韓国人に対する印象が爆上がりしたというレアな日本人もいる。
バンコクの宿で知り合った日本人旅行者4人とご飯を食べに行った時、あり得ないような食べ物を日本食として出すニセ日本料理店の話題になって、当然のように袋叩きになる。
でも、20代の日本人女性が自分の体験談を話し始めると空気が変わった。
その数年前、彼女は英語を学ぶために、ワーキングホリデーでオーストラリアへ行くことを決意する。
現地に着いた時はまだ覚醒する前で、単語をつなげて意思を伝えるぐらいの英語力しかなかったから、できる仕事もかなり限られていた。
日本料理店のウェイトレスはその少ない選択肢のひとつ。
わりと条件の良さげなレストランを見つけた彼女はアポを取って、そこへ行ってはじめて、店のオーナーは韓国人(系)だったことを知る。
面接で質問に答えて数日後に返事がくると思ったら、その場で採用が決まって、すぐに来てほしいと言われた。
嬉しさよりも先に、その即断即決にビックリする彼女。
「大丈夫、何とかなる」というオーナーの予言どおり、下手くそな英語でも仕事は何とかこなすことができて、定期的な収入を得てワーホリライフは安定していく。
ここまでの展開の早さは予想以上で、想定内だったのは果物やクリームを使った寿司とか、本物を知る日本人からすると謎のメニューの数々だ。
「コレジャナイ」と思いながら、客の料理を運ぶのはちょっと気が引けたけどすぐ慣れた。
それに日本人の視点でさまざまなアドバイスをしたから、少しは修正できたという自負はある。
仲良くなったオーナーにある時、英語の下手な自分を採用してくれたワケを聞いてみると、「たしかに英語力はまだまだ未熟だった。でも、あなたの笑顔には人を引きつける魅力がある」ということをほんの少し期待したけど、そんな理由ではなかった。
オーナーが言うには、これまで自分は努力してきて今はそれなりに成功しているから、日本料理店を選択したことは間違いではなかったと確認している。
それとオーストラリアから見ると、韓国の民族主義は行き過ぎていて自分に反日感情はない。
だから立場としては中立で、現在の自分があるのは日本のおかげでもあるから“恩返し”の意味で、正直言うと合格水準には達していなかったけど、日本人ということで君に働いてもらうことにした。
そんな話を聞いて「オーナー…」と感動したのが半分で、あとの半分は、自分のキャラや能力は関係なかったという絶望感。
とにかくこの韓国人との運命的な出会いがあって、日本のことを伝えて韓国のことを知ることができたし、いろんな人とのつながりもできて自分のワーホリライフは充実していった。
だから、中国・韓国人のオーナーが日本食を名乗ってカネ儲けを第一に商売していたとしても、自分はそれを全否定することはできない。
ここで話をバンコクのレストランに戻そう。
それまでサンドバッグのようにニセ日本食店を叩いていたのに、そんな店のおかげで楽しい一年を過ごせたという日本人の話が出てくるとピタリと止まった。
といってもこれは天文学的な確率で起こった超例外で、個人的な思い出を一般化することは不可能だから、その場の空気が一瞬浄化されただけでまたバッシングが始まる。
だいだい儲け第一主義の外国人オーナーによって、日本の食文化が海外で誤解されていることは間違いない。店内は不衛生で食材の扱いも雑で、日本料理のイメージを徹底的に破壊している日本食レストランもある。
だからこそ柏原さんの料理店のような、ホンモノを提供する店が支持されている。
良貨が悪貨に駆逐されないように、日本人や日本人の指導を受けた職人や政府が本当の日本食を広げてほしい。
私も10年前にオーストラリアでワーホリ利用していた人間ですが
エセでも日本食レストランは日本人の受け皿としてとてもありがたい存在でした
現地のお客さんはエセか否かは価格帯で判別してるようでしたね、肌感では。
日本への観光客が爆発してるこれからは
どんどん誤解も減っていくと私は楽観してます
そうなんですね。
日本でもイタリア人がサイゼリヤへ行ったらツッコみまくりですし、知人のインド人は日本の本格的インドカレーの店について「チャパティがないとはどういうことだ!」と文句を言ってまし。
「ニセ〇〇食」は日本もありますね。
それに海外ではそれで助かっている日本人も少数ながらいますし、日本がホンモノを知ってもらう努力をするべきと思います。