日本独自の食文化「卵かけご飯」:外国人の反応・その歴史

 

ハロウィンの直前、10月30日は「卵かけご飯の日」。
2005年のこの日、島根県で「日本たまごかけごはんシンポジウム」が開催されたことからこの記念日がつくられたとか。
それにこの時期は卵の質が良く、新米も出回ることから、卵かけご飯を食べるには絶好のタイミングだという。
だから食うべし食うべし食うべし。

そんなことで昨日、卵かけご飯を「the most famous Japanese comfort food」(最も幸せな気持ちにさせてくれる、なつかしい食べ物)と称賛する外国人がSNSでこんな紹介をしてた。

「Beat and mix the eggs with rice to fold the air into the egg whites, making them fluffier.
Drizzle the soy sauce and maybe your furikake of choice for that nice savory flavor.」

卵とご飯を混ぜ合わせることで、卵白に空気を含ませフンワリとした食感になる。
しょう油とふりかけをかけると、食欲をそそる味になる。

なんか専門性と愛情を感じさせる文で、この人はかなりのTKGラバーに違いない。

個人的にはあんまり好きじゃないけど、このシンプルで奥深い食べ物は、世界からは日本の食文化と考えられていて、英語版ウィキペディアにはこんな説明がアリ。

Tamago kake gohan (卵かけご飯, “egg on rice”; also abbreviated as the Latin letters TKG) is a popular Japanese breakfast food consisting of cooked Japanese rice topped or mixed with raw egg and soy sauce.

Tamago kake gohan

画像:Degueulasse

 

まえに日本の学校で英語を教えていて、母国に戻ったアメリカ人と話をしていたとき、日本について恋しく思うことのひとつに「卵かけごはん」があるという。
はじめはあの食感が「きもっ!」と思ったけど、慣れてくると「うまっ!」と感じるようになったけど、そのころにはアメリカへ帰らないといけなくなった。

でもニューヨークなら、お米も卵も簡単にゲットできるだろうし、TKGを作ろうと思えばいつでもできるのでは?

そう思って聞いたら、アメリカで売ってる卵にはサルモネラ菌が付いているから、生で食べるのは危険すぎるらしい。
これは初耳で目からウロコがぽろりと。
日本の卵は生食を前提にしていて、出荷前にしっかり卵の洗浄・殺菌を行っているから安心して食べることができるのだ。
それに対して海外の卵は(すべてかどうか知らんけど)、炒めたり焼いたりすることを前提にしているから、そんな殺菌作業なんてしていない。

このへんの事情を知らなくて、海外で卵かけご飯を食べたら食中毒を起こしてお腹が悲鳴を上げて、しばらくベッドとトイレを往復する日々を過ごしたという日本人がいた。
でもこれぐらいならマシで、最悪死にいたることもあるというから、卵かけご飯がどれだけ「comfort food」だとしても、海外で危険な賭けはしない方が吉。

 

まえに香港人から、日本旅行で卵かけご飯を気に入った人がいて、最近では香港でもそれを食べる人がいると聞いた。
「香港の卵は生食が前提なんだ~」って思ったら、スーパーでは従来の卵と日本の卵が売っているから、生で食べる人は日本の卵を買っていくという。

もちろん日本に来た外国人がもれなく生卵のウマさを発見し、開眼して母国に帰るワケじゃない。
焼肉は大好きだけど、すき焼きでは生卵のドロ~っとした食感がどうしてもイヤで、肉をそのまま食べるという中国人やアメリカ人もいた。
海外では基本的に卵を生で食べる文化がないから、無理な人には絶対に無理。

日本が統治していた韓国と台湾では、卵を生で食べる習慣や卵かけご飯があるらしい。

 

日本ではもともと素材を生のまま食べることが多くて、寿司はその代表例だ。

 

歴史をさかのぼると、「生き物の命を奪ってはいけません」という仏教の影響もあって、日本人は肉や卵を口に入れるのを避けていた。
といってもゼロではないし、食べる人は食べていた。
日本で鶏卵を食べるようになったきっかけは、戦国~江戸時代にヨーロッパ人がやって新しい食文化をもたらしたことだ。

戦国時代から江戸時代にかけて、西洋人が来航した西日本では肉食とともに卵を食する文化が伝来し、カステラやボーロなど鶏卵を使用した南蛮菓子も伝来した。

卵かけご飯 

 

日本で初めて卵かけご飯を食したのは、明治時代の岸田吟香(きしだ ぎんこう:1833年 – 1905年)といわれる。
日本初の従軍記者として活躍した彼は卵かけご飯を気に入って、周りの人にもすすめたという。
ちなみに吟香の息子が超有名な画家・岸田劉生だ。

 

岸田劉生の「童女図/麗子立像」

 

いま日本で働いているスペイン人が母国にいたとき、ユーチューブで日本人がおいしそうに卵かけご飯を食べるのを見て「マジか!」と驚いたという。
感覚としてはゲテモノに近い。
でも、日本人にそのきっかけを作ったのは、実はご先祖さまだったという事実を彼女はきっと知らない。

 

 

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2 件のコメント

  • <<<でも、日本人にそのきっかけを作ったのは、実はご先祖さまだったという事実を彼女はきっと知らない。

    日本は"かつて海外が捨ててしまった文化"の避難所かも。

  • > そう思って聞いたら、アメリカで売ってる卵にはサルモネラ菌が付いているから、生で食べるのは危険すぎるらしい。
    > これは初耳で目からウロコがぽろりと。

    昔の日本では、海外へ赴任・旅行する者に対して「生水(飲料水用の氷を含む)と生卵だけは絶対に口にするな」と警告するのが常識だったのですがね。特に生卵については、卵かけご飯を食する日本人を見た欧米人から「なぜあのような衛生上の危険行為を!?」と呆れられ、非難されたものです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。